バハマ（The Bahamas）は、カリブ海に位置する島国で、北大西洋に浮かぶ700以上の島と島嶼から構成されている諸島だ。フロリダの東側に位置し、アメリカからとても近い。ボランティアの仕事が休みで１週間ほど時間ができたのと、日本から次男がNYに遊びに来たのを機に、二人でバハマに行くことにした。親子といえど、男二人でリゾートは如何なものか？とも思ったが、こんな機会は死ぬまでに、もう二度とない！と思い、決行した。
 
ニューヨークから飛行時間約3時間。Blue JETの LCCを利用しても往復約８万円かかる。思ったほど安くはない。バハマには３つの空港があるが、ニューヨークから行く場合、ナッソー国際空港が多いようだ。
チケットを買って、行き先に 「Lynden Pindling International Airport」とあるのを見た時、ちょっと驚いた。行き先の空港が「ナッソー」ではないからだ。「Lynden」と見て、「間違ったかな！？」と正直焦った。事前にバハマを調べてはいなかった。２度めとはいえ、一度目はカリブ・クルージングで、宿泊は船内。近場を散策したのに過ぎない。だからバハマは知ってはいたけど、初めてと言っても良かった。にもかかわらず、何も事前に調べずに出掛けたのだ。でも「Lynden」はナッソーの国際空港のこと。ホッとした。
 
バハマの大きな島の、地図でいう右側に小さな島がある。これがナッソー。この島の、更に右端に小さな島がある。出島のような島。これがアトランティス・パラダイス・アイランド。この島の殆どはアトランティス・パラダイスのホテル敷地で占められている（全部かな？）。
私達は空港で拾ったタクシーに「パラダイス・リゾート・ホテル」と告げ、ホテルに向かった。車中で運転手が聞く。「どこのホテルだ？」。聞こえなかったのかと思い、再度、「アトランティス・パラダイス・ホテル」と告げた。「だから、どこだ？」、「？？？」。
 
ようやく分かったのは、アトランティス・パラダイス・ホテルには４つのホテルがあり、それぞれ距離があるということだった。慌てて、メールを確認し、「コーラルホテル」と告げ直した。やれやれ。
それほど私達親子は事前調べもなく、バハマに来たのだった。
 
アトランティス・パラダイス・ホテルは巨大で、私が知っている中では世界一の規模だった。島全体がアトランティス・パラダイス・ホテルの敷地のよう。内地も海岸線もプライベートエリア。そんなに多くの海外を知っている訳では無いが、私が知っている中では最大で、ハワイのヒルトンリゾートよりも、ラス・ベガスのMGMよりも巨大だった。
 
建物は古代アトランティスの都市を再現しており、フラミンゴ色の装飾を施された石柱や壁面、洞窟の造り、地下にある水族館などは、いずれもどこか神秘的で、現代を忘れる。そんな装飾は１００メートルほどある廊下にも続く。またプールの数も半端ではなく、更に巨大。すべてのプールを十分に経験するには１週間はかかるとさえ思えた。まったくヒュージ！
 
ここで有名なのは地上３０メートルから落下するスプラッシュ。斜度６０度。上から見ると直角に見える。スキーでも斜度４０度は上級クラスで、滑るのが怖くなるくらいだ。それが６０度。恐怖で足がすくむ。腹を据えて滑り台に立つ。「エイ、ヤァ！」。滑り落ちる時､お尻が浮く。しかし、あっという間の着地。そのまま水中に突入し、クリスタル・チューブの中から、左右にサメが泳いでいるのがチラリと見えるが、じっくり眺めている余裕も時間もない。
こうして私のスプラッシュ初体験は終わった。所要時間10秒足らず？

部屋はキングサイズのベッドが２つ。広さは４5m²ほどだろうか。宿泊料金は二人で一室約６万円。このようなリゾートホテルなら、まあまあ、ふつうだろう。しかし、アメニティはあまり充実していない印象。シャンプーもトリートメントも高級品とは思えないし、親子二人でそれぞれ１個。普通なら二人分、別々の用意があってもおかしくない。更にはボディシャンプーもまた二人で１個。これは寂しい。しかし、私達は親子なので、まあ、いいか！と思ったが・・・。また普通にあるミネラルウォータのサービスもない。氷もない。ちょっと残念。しかし、３５０mmのクーラーボトルのプレゼントがあったから、まあ、いいか。
 
ホテル内に水族館があることは先に触れたが、カジノもある。ここのカジノはラス・ベガスに比べても遜色ない。今はないようだが、韓国のウォーカー・ヒルよりも遥かに大きかった。そんな広大なカジノだが日中の人影はまばら。まあ、昼間からプールにも行かないでカジノを楽しむ人は少ないのだろうが・・・。しかし、私は賭け事は嫌いなので夜のカジノの姿は知らない。夜は凄いのかもしれない。
 
ホテル内ですべての支払いが可能なのは、まあ、それはリゾートホテルのビジネスモデルそのものだから、まあいいか。そして確実にホテル内のレストランはいずれも高い。私だけビールを少々たしなみ、息子はノンアル。腹持ちするつまみを取ったら１万円はする。だからピザやスタバのファスト・フードで済ます家族連れも多くいた。まあ、気持ちはわかる。
 
次男と街に繰り出すことにした。街で夕食を取るためだ。それに知人から頼まれたラム酒ケーキを買うためもある。ラム酒ケーキはバハマの名産品だという。お土産として買うために、その製造工場まで出掛けることにした。
アトランティス・パラダイス島から街に出るには長い橋を渡る必要がある。この長い橋を渡り、街まで徒歩４０分。歩道もない土埃の舞う道を、車に気を付けながらひたすら歩いた。そして見つけた「ラムケーキ・ファクトリー」。ここでラム酒のケーキを６箱、購入した。計４２ドル。約６０９０円。しかし、これが面白い！帰りの空港で全く同じ商品が売っていたのだが、１箱３２ドル。６個で２７８４０円！
いくらなんでも、それは無いでしょう！製造工場直売で買ったら７ドルの商品が空港では３２ドルなんて聞いたことがない。５倍近くの値段を付けるバハマは信じられないほど恐ろしいボッタクリの国？観光で成り立つ国所以か。
 
１週間ほどのホリディを味わい、ニューヨークへの帰途についた。LCCのためか、出発時刻が何度も変更になった。結局、４度の出発時刻の変更で、計２時間の遅れでニューヨークに戻った。帰りは行きと違って２時間ほどで帰ってきた。ラ・ガーディアでは入国チェックがなかったので変だと思ったが、バハマで出国するときにアメリカへの入国手続をしたのだった。
 
バハマは家族連れかカップルで行くのに適した観光地というのが、結局、わたしたちが得た教示だった。