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[31]計画された偶発性理論

 キャリアデザインは重要と思います。しかし、少し違う言い方をしている学者もいます。クランボルツです。クランボルツは「計画された偶発性理論」を唱えています。キャリアの80%は予期しない偶発に支配されると言い、 計画的キャリアは現実的でないと説きます。そして予期せぬ出来事を柔軟に受け止めることが大事なのだと言うのです。彼の唱える説は他のキャリアデザインを説く学者とは違って聞こえます。しかし、①機会を積極的につくる行動が重要で、②機会を活かせる能力が備わっていることを大前提としています。クランボルツの説に同調するにしても、事前に大まかなキャリアデザインが必要です。
 クランボルツは、「将来の職業(仕事・職種)を決める」ことを勧めません。正確にいえば、当面のなりたい職業を持っていてもいいのですが、それに固執すべきではないと主張しています。なぜなら、ある職業を目指すということは、言い換えるとほかの職業の選択肢を捨てていることになるからです。もし特定の職業にこだわりすぎると、その職業になかなか就けなかったり、実際にその職業に就いてみたものの、自分には向いてないことが分かったとき、途方に暮れてしまうことになります。ですから、例えば、本当は自分がやりたいと思っていた仕事ではないけれど、上司などから「この仕事をやってみないか」といわれたら、無碍(むげ)に断るのではなく、「自分の新たな可能性を試すチャンスだ」と考えて、積極的に引き受けてみるのです。その結果、思いもよらなかった仕事が、実は自分にとって「天職」と感じられるほど大好きな仕事だと分かる可能性もあります。
 クランボルツ自身、若いころにテニスに熱中しすぎたため、大学3年からの専攻分野をなかなか決められなかったそうです。そこで、テニスのコーチに相談したところ、コーチはたまたま心理学を専攻した人だったため、クランボルツに心理学を薦めたとのこと。同氏はその提言に素直に従い、今では世界的に著名な心理学者となりました。彼は、「心理学の世界に偶然足を踏み入れ、心理学者になった私ですが、いまではこれが自分にとっての最高のキャリアだと確信しています」と述べています。
 人生は思うようにはいかないことが多いのも確か。クランボルツの言うように、そのつど柔軟に対応していくことが重要だし、柔軟に対応できる思考を持っていなければいけないという考えには私も賛同です。
 

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