マーク・トウェインの『恐ろしい中世のロマンス A Medieval Romance』
第一章 秘密の露呈 夜であった。静寂がクルゲンシュタイン領の雄大な古城を支配していた。1222年は終わりに近づいていた。遥か遠く、城の最も高い塔に明かりがひとつ幽かに光った。其処ではある密談が行われていた。クルゲンシュタインの険しく年老いた貴人は椅子に座し沈思していた。やがて彼は、優しげな口調で言った。
「我が娘よ!」
頭から踵までを騎士の鎧で覆われた気品のある若者は、答えた。
「お話し下さい、父上!」
「娘よ、そなたの若き生を混乱せしめた謎の全てを明らかにす