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データ分析で見るスト6がつえーやつの特徴

書いた奴

CジュリとM春麗でMaster到達。データ分析はNew Challenger。雇ってほしい。


この記事に書いてあること

  • スト6最上位勢1000人分のCFNデータを集計した平均値や中央値

  • CFN上のデータの中でMRの変動に大きな影響を与える要素は何であるか

  • 注意事項やら考察やら

うるせえ、結論だけ見せろ!

俺たちチンパン格ゲーマーにごたくはいらねえ、とにかく結論が大事だ。
スト6公式サイトやゲーム内から見れるバトルの傾向をMR上位1000人分集計した。自分の数値と見比べるなりしてみるとなにか見えてくるものがあるかもしれない。

最上位プレイヤーの傾向

この1000人分のデータを色々こね回して分析するとどの項目がMRに影響を強く与えているか可視化することができる。申し訳ないが小さくなってしまったので拡大推奨。どうやってこんなグラフを書いたのか気になるモチベの鬼がいたら「ラッソ回帰」でググってちょーだい。

どの要素がMRに影響を与えているか、それが問題だ

このグラフの読み方

  • 棒の長さ(係数)がMRに与える影響の大きさ

  • 右に棒が伸びている要素がMRが上がっている要因

    • ジャストパリィ

    • ドライブリバーサル

  • 左に棒が伸びている要素がMRが下がっている要因

    • インパクトを受けた回数

    • 投げられた回数

※ どちらにも棒が伸びていない値が0のものが必ずしもMRに影響が無いとは言い切れない。今回は見やすくするために影響が強いものを抽出したと思って欲しい。

つまりどういうことだってばよ

先の平均値、中央値と係数のグラフを見て自分の数値でどこを伸ばそうかなとか、相手に通されすぎな項目はどれだろうとか考えてみると良いかも。
以下はそんなこと考えてられねえ格ゲーマー向けのまとめ。

  • ジャストパリィはどんどん狙え!!

    • MRが伸びる理由1位はジャストパリィの多さ

    • 「自分のパリィが投げられた」は係数が0!影響が小さいから恐れずにパリィを押せ!

  • ドライブリバーサルは強い!!

    • つえーやつらの平均値、0.1回より多く使え!

  • インパクトを受けるな!!

    • 枕もインパクトに変えろ!

  • 投げられるな!!

    • 投げは大マイナスなのに投げ抜けはプラス査定。散々シミーされて嫌になっていても、投げ抜けはしなければならない!

ここまで読んでくれたみなさんありがとう。ここから先はおまけパートみたいなもん。書いておかないと不公平だろうなという注意事項やら、その他の解析も合わせた考察やらが機械学習周りの専門用語などの解説もなくウダウダ書いてあるだけなので、読まなくても大丈夫なはず。マスターリーグでお会いしましょう。

おまけパート

分析したデータ

今回分析したデータは、スト6公式サイトのバックラーズブートキャンプ内、またはゲーム内で見れるCFNの情報になります。
2024/02/17にMRのランキング上位1000名それぞれのバトルデータを集計しました。CFNやカプコンIDの利用規約を確認し、スクレイピング(Webサイトからプログラムで情報を集めること)禁止が明記されていないことを確認しています。負荷がかからないよう十分な時間間隔を開けて利用者が少ないであろう深夜に集計を行いました。

MRランキングはキャラ毎であるのに対して、バトルデータはユーザーごと(しかも直近の100戦のみ)であるため、必ずしもMRランキングに載るに至った対戦と集計時点の対戦が一致していない場合があるはずです。ユーザーが気軽に取得可能な情報がCFNの情報であること、1000人分あるため上記のようなノイズの影響が薄まること等を考慮し、CFNのバトルデータを使用しています。集計した時期もActが切り替わって2週間程度かつED及びバランス調整の配信前なので、比較的ノイズが入り込みにくい時期だったのではないかと思います。

また、今回はドライブゲージの使用割合や、SAゲージの使用割合は分析の対象から省きました。これらの要素はキャラクター毎に理想となる値が大きく異なるはずです。(リュウとラシードではSA2に回す割合は全く異なるはず)
こういった値は機械学習においてもあまり意味のない情報となってしまいますし、解釈性の観点でもあまり意味を持たないと思われます。

分析手法

MRを目的変数とし、ドライブリバーサル、パリィ成功回数、相手のドライブパリィを投げた、自分のドライブパリィを投げられた、ジャストパリィ成功回数、インパクト決めた回数、インパクトでパニッシュカウンターを決めた回数、相手のインパクトにインパクトを決めた回数、インパクト受けた回数、インパクトでパニッシュカウンター受けた回数、相手にインパクト返しされた回数、スタンさせた回数、スタンさせられた回数、投げた回数、投げられた回数、投げ抜け回数、相手を追い詰めている時間、相手に追い詰められている時間、の18項目を特徴量としてMR予測を行う線形回帰モデルを作成しました。各項目は事前に標準化を行い、係数の比較を行うことで項目の重要度を分析しました。このモデルで5Foldを3回行った際のMAEは47.58でした。

図1 線形回帰モデルの係数

(注釈:表中のpunish_counterはドライブインパクトでパニッシュカウンターを取った回数)
このグラフでは特徴量が多く解釈性に欠けるため、ラッソ回帰(alpha=0.3)モデルを作成、同様に係数の比較を行いました。
このモデルで5Foldを3回行った際のMAEは47.01でした。わずかながら精度向上が見られ解釈性も向上したため、グラフを清書し採用しました。

図2 ラッソ回帰モデルの係数

考察

ラッソ回帰モデルによる係数では、概ねプレイヤーとしての実感と係数が一致していると感じられるため、今回の分析にはある程度の妥当性があると考えられます。
線形回帰モデルで係数を見たとき、本来なら試合が有利になりそうに感じられる「ドライブインパクトでパニッシュカウンターを決めた回数」がマイナス要因になっていたり、逆に不利になっていそうに感じられる「壁に追い詰められていた時間」がプラス要因になっていることがありました。
前者ではインパクトを狙う過程で垂直されたりインパクト返しされてフルコンをもらうリスクがあること、後者では下がりながら低リスクに戦っていたり入れ替えコンボを決めて大きなリターンを取っている等のCFNデータ上では確認できない要因があることが考えられます。
他にもMRに大きな影響を与える要素として、CFNで取得できる項目以外に「コンボ精度」「投げ抜けを狩られた回数」「リーサル判断の成功率」「対空精度」等など、様々な要素が存在するであろうことはプレイヤーのみなさんなら実感として感じられるはずです。
本来であれば、こういったデータを収集したり、要素を組み合わせた新たな特徴量を作成するべきところです。本稿では、読者が自分のデータと見比べる手軽さを維持することと、データ収集コストの高さを鑑みてそこまでの深入りはしません。

図2の特徴的な項目についても少し考察をしましょう。
ジャストパリィ成功回数の係数が27.97と高い値なのに対して、自分のドライブパリィを投げられた回数の係数が0になっています。このことから、自分のドライブパリィを投げられる回数が増えるリスクはあっても、ジャストパリィを狙う価値があると考えられます。

ドライブインパクトを受けた回数の係数が-85.95と最大のマイナス要因となっているのに対して、相手のインパクトにインパクトを決めた回数(インパクト返し)の係数は0となっています。ドライブインパクトはとにかく食らってはいけないが、インパクト返し自体は必須ではないことが考えられます。ジャンプでも、パリィでも、SAで返すでもよく、端でなければガードしても問題がないと考えられるため、インパクトが返しが押せないことで悲観しすぎる必要はないのかもしれません。

投げられた回数の係数が-14.01と2番目のマイナス要因になっているのに対して、投げ抜け成功回数の係数は1.15とわずかながらもプラスの値となっています。投げ抜け成功回数が増えるということは、投げ抜けを押している≒シミーに負けるリスクも増えるということになります。また、投げ抜けを行うシーンに遭遇しているということは密着不利のシチュエーションを背負っているということでもあります。そんな中で投げられた回数が大きなマイナス、投げ抜け成功回数がプラス要因になっているということは投げられる回数は減らす必要があり、投げ抜けはある程度押してしっかり読み合いを行うことが勝率の上昇に繋がっていると考えることができます。投げ抜け回数の平均値は0.48、中央値は0.5であるため、0.4~0.6回程度は投げ抜けを押したほうが良いということでしょう。投げられた回数が平均値の2.1回より多い場合はもっと投げ抜けを押しても良いということです。

本稿ではスト6最上位プレイヤーの特徴と、MRを上げるための要素をCFNから得られる限定的な情報から明らかにしました。他のMR帯や、マスターリーグ全体での傾向、CFNには出てこない重要な特徴量を含めて再分析を行う等、より踏み込んだ解析を行うことが課題として挙げられます。

最後に

ここまで読んでいただいて本当にありがとうございます。データ分析の勉強はしているものの、アウトプットをしたことが全く無かったため慣れ親しんだスト6を題材に練習も兼ねて本稿を書かせていただきました。データ収集部分から全て自力でコーディングを行いましたが、大変なのはデータ収集と結果の解釈の部分でした。私の考察以上のことをグラフから読み取れる方も多いと思います。この記事からより深い考察を行い、読者の皆様のスト6攻略にひとつまみのスパイスとして取り入れていただければ幸いです。
最後に、スト6という素晴らしいゲームを開発してくれたカプコンへの感謝を持って本稿の結びとさせていただきます。


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