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Cartier cal.1904-PS MC

今回はカルティエの時計の内部になります。
正直言ってジュエリーメーカーというイメージが強いので信頼性はありません。
今回は1904という時計です。今回は急に時計の稼働時間が短くなったということで修理しました。
というわけで針を取った裏側がこれです。

普通の三針のデイト付きなので特に裏側にも特徴はありませんね。
普通にバラします。

受けを一枚取ったところで特に変化はありません。
ETA2892A2の互換モデルとして作られたうちの一つなので径や厚みなどほぼ同じです。違いはセンラーセコンドとスモールセコンドの違いくらいでしょうか。
カレンダー関連や運針の部品を取ってみると

まぁそりゃぁ変わりませんよね。
でもここから時計の基本的な運針関連の部品のみになるので稼働時間の短くなった理由がわかると思います。
と思ったら即発見。
地板から4番車の穴石がはずれてるじゃないですか。
針を取り付ける際に受けの穴石がずれることはまぁあるんですが(あくまでアンティークの時計ですが・・・)
地板側の石外れとなると、衝撃以外に思い当たらないですね。ケースに大きな傷はなかったんだけどなぁ。。。

よく軸折れが起きなかったなと思いました。
ということで複数あるかも知れない原因の一つを発見したので表の分解へ。

特に変わったことと言えばないですがツインバレルとラチェット方式の巻き上げ機構でした。

セイコーのマジックレバーに酷似してますわな。

上の歯をよくよく見ると歯先が丸くなっています。これで巻き上げ量が少なくなってるのも原因の一つかもしれないです。
刃先が滑らないよう尖るように、歯がしっかり噛むように根元を曲げるように調節し直しました。

よくよく見ると微動緩急針もカルティエのCの字になっています。
相変わらず自己主張だけは強い。

輪列受けと香箱受けが一体になっているのでそこを外すとこんな感じでした。
さっきの穴石が外れていた歯車はガンギ車から力をもらってるので相当なトルクロスがあるのかなぁ。
香箱もロングパワーリザーブの様式になっているしそこまでトルクはないのかもしれません。
この後は穴石をはめ直しマジックレバーの歯先を削り直して洗浄・注油・精度調整を行いました。
思ったよりトルクロスもなく振り角の落ちもなく調子も良かったです。

今回は以上でした。
次はパテックの手巻きとか紹介できればと思います。

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