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詩集 「まるい地面のプレイグラウンド」

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日々の歩みの中で、大切にしたいと感じた気持ちや思いを詩集として書き綴っていきたいと思います。
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天は二物を罰す

天は二物を罰す

ひとつ誰かがうらやむものを手にした人は

もう何も欲しがってはいけません

この国のルールです

もしも二物を得ていると悟られようものなら

あっという間に火あぶりの刑です

三物、四物得るなど もっての外

嫉妬の炎に焼き尽くされます

もしもたくさん得たいなら

圧倒的に得るのです

他の人よりも 十も二十も得るならば

天はあなたを咎めずに

他の誰かを責めるでしょう

脇目も振らずに駆け抜

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「ママノリア」

「ママノリア」

ありのままが一番という

しかし私は化粧をする

ありのままが一番という

しかし私は笑顔を作る

他所行きの服を着て

いつもの自分に蓋をして

はみ出さないように注意する

ありのままに

一歩玄関を出る瞬間に

本当のわたしを脱ぎ捨てる

求められているのは こっちの私

いつからだろう

ありのままが一番いい

そんなふうには思えない

「大回転」

「大回転」

頭の回転が遅いな と言われるのは

遅いんじゃないんだ

スピードは同じなんだけど

大きく回っているだけなんだ

だれかの物差しで 測ることはない

測かりしれない わたしだから

『手土産を抱えて』

『手土産を抱えて』

波のように何度となく訪れる試練

どんどん大きくなってやってくるそれに
打ちひしがれ

ひとしきり泣いたあと

どこからともなく声がきこえる 

転んでもただで起きるな

すーっと熱が引いていく

乾いた喉が唸る

ゆっくりと視界が明るくなる

ここにきた者だけに与えられた特別なご褒美

見渡すと気付くはずだ

このどん底は 宝の山だと

抱えられるだけ抱えて這い上がれ

もうこれまでの自分じゃな

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「成長曲線」

「成長曲線」

赤ちゃんは 本当にあっという間に子供になるし
子供は あっという間に大人になる

親というものになってみて
子供の成長の速さには感嘆する

昨日まで出来なかったことが 当たり前のように今日出来るようになっていく

そんな奇跡も日々起こり続けると当たり前のような錯覚に陥り またその成長速度に追いつくために走り続ける道より他はない

ただ ある時ふと我に返ると思うことがある

そんなに目覚ましい勢いで

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ある日 生まれ

ある日 生まれ

ある日 生まれ

まずは 殻の中で温められ 大切に育まれ

早々に 大きな溜め池に集められ

大人になるまで 濁ったぬるい池を転々とする

成人した途端 一斉に溜め池を出て海へ放たれ

そこで初めて 海の泳ぎ方を模索する

淀み 腐った沼からようやっと抜け出し 生き生きと泳ぐものあり

突然 荒波に放り出され 泳ぐことすら出来ずに溺れるものあり

なんとか大海に泳ぎ出るも 敢えなく食物連鎖の波に

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「喰う」

「喰う」

作物を育てれば 土を汚し

料理を作れば 空気を汚し

皿を洗えば 水を汚し

弁当を買えば ゴミを増やす

残したものは 廃棄をして

命は 食物連鎖に加わることなく葬られるのみ

そうまでしてでも 喰らう我ら

ーーーーー #写真 #詩 #ポエム #人間 #食 #食べる #命 #意味

メンタルヘルス

メンタルヘルス

心が疲れたときは 泣けばいい

行き場のない気持ちを 涙と一緒に流して 軽くなれ

自力で泣けなければ 何かの力を借りればいい

映画でも 本でも 音楽でも

力を借りて泣けばいい

つべこべ考えるな

とにかく泣け

泣いて 泣いて ひとしきり泣いて

いつの間にか涙が止まったら わかるから

心がスーッと晴れるのが

重い荷物は 涙と一緒に

流れて 乾いて 空まで飛ばせ

ーーーーー #詩

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静かな叫び

静かな叫び

脳と口が直結しているひとがいる

わたしも昔はそうだった

思ったことが 口から出た

ある日 ある拍子に それは切り離せることを知る

極端なわたしは その回路を完全に切り離してしまった

少しだけ残しておけば よかったのに

考えたことの中から どれを口にするのか 選べば よかったのに

もう誰にもわたしの声は聞こえない

ーーーーー #詩 #ポエム #写真 #心の声 #理性 #大人 #気

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「舵を」

「舵を」

この広い海には 舟がごまんと浮いている

小さいのや 大きいの

新しいのや 古ぼけたの

重いのや 軽いの

一艘だけで進むのと 群れをなして進むの

色んな舟が無数に浮かんでいる

途中で他のと合流するの 途中で別れるのもある

海が荒れている日 最高の日

それぞれに経験をしている

前進する日ばかりではない

止まったり 後退したり 同じところを旋回する日もある

ただ どの舟も同じことが

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「さなぎ」

「さなぎ」

相手の様子を伺って
その場に合う自分を用意する
まるで洋服を選ぶみたいに

周りの様子を伺って
その場に合う自分を取り繕う
まるでメイクをするみたいに

時にフォーマルに
時にフランクに
時に明るく
時にトゲトゲしく

いくつかの自分を使い分ける

いつしか装うことばかり上手くなって
それぞれの自分が一人歩きしていく

最初は些細な違いだったのに
今ではもうハッキリと違う

今さら白状なんかできや

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「ノーコントロール」

「ノーコントロール」

好きすぎて 好きすぎて
嫌われるのが怖かった

好きすぎて 好きすぎて
何度確かめても 足りなかった

抑えきれない気持ちと比例して
色んなことが信じられなくなった

不安で 不安で
疑っていることに気がつかなかった

いつの間にか 自分のことを守るだけで精一杯で

ちゃんと向き合ってなかった
ちゃんと笑えてなかった
ちゃんと見つめてなかった
ちゃんと思いやってなかった

そんなことに気がつくの

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「まだ分からない大きな何か」

「まだ分からない大きな何か」

目の前にあるものが大きければ大きいほど
それを実感し 受け入れるのは難しい

目の前にあるものが大きければ大きいほど
視界に収まりきらないし 大きさも計り知れない

ただ なんとなく感じるのが精一杯
ただならぬものが目の前にある気配を

そうして目の前の何かと対峙しているうちに
その何かのある一部を捉えられる瞬間がある

それを分からないなりにしっかりと掴み
焦らずに少しずつ手繰り寄せていく

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