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『魔法のことば』|言葉を楽しもう、生命力を感じよう。力強く鮮やかな絵の生き物讃歌|大人こそ楽しめるおすすめ絵本

私は日本人として、日本に生きている。(多分)先祖代々日本人で、日本人の両親に育てられ、一度留学で日本を離れたことはあれど、日本産を自称するくらいには日本にどっぷり浸かってきた。つまり、日本語をずっと使ってきた。

そういった背景もあって、日本語という言語が好きだ。日本語がとりわけ素晴らしい言語だとか、それ以外の言語がどうだとかそういうことではなく、ずっと付き合ってきたパートナーだから、ずっと自分に寄り添ってくれた表現手段だから、信頼しているし、素敵なやつだと思っている。

子どもに絵本を贈るとき、言葉を、日本語を味わえる絵本をと考えるのはそれが理由だ。日本語が素敵だとか言葉っておもしろいなとかそんなこと考えしなくていいから、ひたすら言葉との触れ合いを楽しんでほしい。

そんなふうに思っていた時、運命的な出会いを果たした。このタイトルを見た時、おおお!と思った。こういうスタンス!ほんとにそれ!と思い、血が巡るってこういうことなのかというくらい、体が熱くなった。それが『魔法のことば』との出会いだった。

『魔法のことば』
絵:柚木 沙弥郎
訳:金関 寿夫
福音館書店
定価: 1,650円(税込)
ページ: 40ページ
サイズ: 28×24cm

柚木沙弥郎(ゆのきさみろう)さんは染色家。この絵本は型染のイラストで描かれている。

柚木沙弥郎さんの公式サイトに『魔法のことば』についてのページがあったので、こちらで紹介する。

金関寿夫(かねせきひさお)さんは英文学者・翻訳家として活動された方。

エスキモーの人々に伝わる詩をもとにした絵本とのこと。脈々と、親から子へ、あるいは友から友へ、受け継がれてきたのだと思うと、その口承の過程すら魔法の力を感じてしまいそうだ。

言葉のもつ力、言葉単体もそうだが、言葉を使う人間を鼓舞すらしてしまうエンパワーする主体としての力。言葉には、人知を超えた力があるのかもしれない。そんな風に思わせてくれる。

大人こそ楽しめる絵本。年を経るにつれ味わいが増してくる、感じ方が変わってくる絵本だろう。



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