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第42回(令和5年度)食品ヒット大賞レビュー【前編】

【はじめに】
さすがにこれだけ紹介する商品が多いと、自社商品を紹介している可能性があるので、この手のレビュー記事はPR記事ということにします。
商品画像は各社HPから引用しております。

では本題。

君は食品ヒット大賞を知っているか!?

知っているかー!?(びしり)

はい。食品業界の皆様しかあまり関心を持っていない、その年のヒット商品を表彰する会です。主催は日本食糧新聞社で、毎回ホテルニューオータニで派手な表彰式、もとい経営者の集いが行われています。

今回は、そんな食品ヒット大賞・優秀ヒット賞の受賞商品をすべてレビューしてみようという試みです。やる前から心折れにけりですが、頑張ります。

ホントは今年のが出る前に昨年のレビューもしたかったのですが、やる前に今年の発表が来てしまったので今年のレビューから行きます。

食品ヒット賞(最優秀賞)

該当なし! 該当なしです!!

解散!

該当なしはなんと、今年で2年連続になります。
まぁぶっちゃけそうだよなぁと思っていた。昨年、インパクトある商品なかったもんね……。
それだけヒット商品が生まれにくい環境なのか。あるいは、メーカーの努力が足りないのか。我々としては後者だと信じて、ヒット商品を生み出せるよう頑張るしかないのですがね。

優秀ヒット賞

そしてこっちが23商品! ばか!
23商品と打った時点でタイトルに【前編】と入れました。こんなの一気に全部通したら書く方も読む方も力尽きてしまいます。命は有限。
そんなわけで、前編は一般加工食品部門のみになります。勢いで書いていきましょう。レッツゴー!

1.アサヒ 颯(アサヒ飲料)

「はやて」じゃないよ。「そう」だよ。

緑茶は、伊藤園「お~いお茶」、「サントリー「伊右衛門」、キリン「生茶」、コカ・コーラ「綾鷹」と強豪がひしめく地獄のようなカテゴリーです。よくまぁこんなに並び立っているなと思っているのですが、その中でアサヒは明らかに一歩出遅れた形になっていました。イメージ十六茶しかないもんな。

そんなアサヒが満を持して出してきたのが「アサヒ 颯」になります。微発酵茶葉を使った、とことん香りを追求した緑茶は、後発組だけあってかなり特徴的。
好き嫌いもかなり分かれそうですが、僕は結構好きです。

広告をかなり打っていたのも印象的でしたし、スーパーの売価とかも他より10円安いことが多かったので、かなり販促費も積んだのでしょう。
でもまぁ、おかげで2002W杯グループFのような地獄のカテゴリーである緑茶の中で一角を占めることが出来ました。バンザイ。

まだベッカムがいた頃

個人的には何度かXでも挙げさせていただいてますが、TI法という官能評価手法をパッケージに使っているのが好きです。

時間と感度を二次元で表現するTI(Time-intensity)法

こう言われて飲むと、ホントに香りを探しちゃうから面白いよね。


2.「Cook Do」<極(プレミアム)麻辣麻婆豆腐用>

ここ数年の麻婆豆腐におけるトレンドはなんと言っても、「シビレ」方向に寄せてきたことにあるでしょう。結構広東風が主流だったものが、今は花椒を使って四川寄りにし、イメージを黒で整えた商品が増えてきました。
この日本人の、ある意味節操のない、常に新しい味を求める性質は僕は嫌いじゃないです。

多分はじめにこの四川風麻婆豆腐のカテゴリでヒットしたのは、丸美屋の「贅を味わう麻婆豆腐の素」なのですが、それからどこのメーカーもかなりこの四川風の辛くてシビれる麻婆豆腐を出してきました。ちょっと売価上げられるんだと思う。多分。

そんな中で、食の王者味の素が満を持して発売したのが、『「Cook Do」<極(プレミアム)麻辣麻婆豆腐用>』になります。

極みと書いて、プレミアム。
……そうだな!

とかく食品メーカーは名前に「真」とか「極」とか厨二ゴコロをくすぐるネーミングが好きなのですが(一番強そうだし)、まぁでもこれは確かにすごかった。

何がすごいかって、これ挽肉まで買わせるんですよね。普通レトルトなんだから「豆腐を入れるだけ」だろと。挽肉炒めさせるのかと。それでいて値段は通常の他商品の1.5~2倍くらい。
きっと原料原価えっぐいぜこれ。

味はなんていうか、もう専門店の味です。これより美味しくない麻婆豆腐出す中華いくらでもあるでしょう。ガチの味です。
辛いシビれるウマイ(語彙力)。

でもやっぱ、これ上手なのは挽肉を炒めさせるところだと僕は思う。肉、レトルトかけるよりその場で生のものを炒めた方が食感も味もウマイに決まってるじゃん。もちろんソースあってなんぼなんだけどさ。

一時期Xでもバズってたので、いろんな方が味は認めている商品だと思います。僕も美味しいと思う。高いけど。
ただ思う。これ、CookDoの安い黒麻婆豆腐とカニバらないのかな……。


3.赤缶カレーパウダールウ 中辛(ヱスビー食品)

赤缶。
カーチャンが使ってたというご家庭も多いかもしれません。古き良きというか、カレー粉と言えばこれのイメージもあるかもしれません。我が家は常備していました。

赤缶・赤いアイツ。

ただこれ、カレー粉ではあってもカレーではないというか。なんやかんや料理の味付けに使うもので、カレーを作るときはカレールゥを使っていたというご家庭もまた多いのではないでしょうか。うちはそうでした。

「じゃあそんな赤缶で作ったオフィシャルのカレーってどんなの?」の回答がこちらです。創業100周年(おめでとうございます!)、エスビーが誇るスパイスの結晶である赤缶を使ったカレー、それが「赤缶カレーパウダールウ 中辛」です。

確かにベースは赤缶の感覚があるのですが、ルゥにすると不思議な深みがあるというか、古き良き、でも新しい感じもするという不思議なカレーです。もちろんとっても美味しい。

こういう看板商品を使った商品はメーカーの気合の入り方が違うので、多分良い原料使ってるんだろうなと思います。

最近のカレールゥの傾向でもあるんだけど、2皿分くらいで小分けになっているのもありがたい。スパイスは酸化すると香りが消し飛んでしまうので、開封後は必ず冷蔵庫にしまいましょうね。


4.「キリン おいしい免疫ケア」シリーズ(キリンビバレッジ)

機能性表示食品でいま最もアツいジャンル is 「免疫」。
コロナ禍を経て、免疫力というものが世間には求められるようになりました。僕には免疫力というものが何を指すのか、どういうパラメータでどういう状況になったら免疫力が強いと言えるのかイマイチ理解はできませんが、とにかく免疫力は求められているんダ!!!!

そんなコロナ禍においてヒットを飛ばしたのがキリンの「プラズマ乳酸菌」を使った「iMUSE」でした。そしてプラズマ乳酸菌をさらに横展開して、飲むヨーグルトみたいにしたり、乳酸菌飲料みたいにしたり、なぜか睡眠の質まで向上させてしまったのがこの「おいしい免疫ケア」シリーズです。

一番右の睡眠の質向上はGABAによるもの

iMUSEはどちらかというと飲み物として美味しいかというよりは、コロナが流行ってて免疫が不安だから飲んどけ的な感もあったかと思いますが(とても失礼)、こちらのシリーズはとても飲みやすいです。
なんていうか「このパッケージでこの色ならこういう味だよね」を裏切らない味。

なんかあんまりいいこと書いてないしいいこと書けないので、この辺にしとくわ……優秀ヒット賞に選ばれてるから、売れているのでしょう。
信じる者は救われる。

5.サッポロ一番 減塩 塩らーめん 3食パック(サンヨー食品)

袋ラーメンはなんやかんやたまに時流を掴んでくるから面白いと思います。「マルちゃん正麺」とか「これ絶対うまいやつ♪」とかね。

そんな中でも「サッポロ一番塩らーめん」といえば袋ラーメンの中で最も売れている商品の一つですが、その減塩バージョン。25%カット。

こういう昔ながらのロングセラー商品って、購入層も高齢化していくんですよね。当たり前なのですが。
そうなってくると「ラーメンは好きだけど血圧が気になるから塩分控えよう…」という需要は高いと思います。「俺は最近塩分控えてる、だけどサッポロ一番はめちゃ食べたい」みたいな層ですね。

すみません、メーカー間違えました。
眉村ちあきはかわいい。

減塩してもあまり味に影響を与えない技術、まだ途上感はありますが一昔前よりだいぶこなれてきました。
テクニックとしてはカリウムを使うとか、舌に接する表面にだけ塩をつけるとか、旨味を効かせるとか色々あるんですけど、この商品に関しては旨味方向に行きました。

超高齢化社会が迫る中、こういう減塩商品は今後も増えていくんだろうなと思いますね。今後の健康に関するトレンドの一つになるでしょう。


6.名店監修鍋スープ 天下一品京都鶏白湯味(ダイショー)

今年急に増えた気がする「鍋のスープはラーメンスープもアリじゃね?」系鍋つゆです。
ダイショーはこれ以外にも「すみれ札幌濃厚みそ味」「一風堂ごま担々風極からか」など、有名ラーメン店の監修鍋つゆを出しているのですが、シリーズではなく天下一品が受賞したのは、きっと審査員にこってりファンがいたに違いありません。

それは冗談としても、以前より「赤から鍋スープ」とか鍋の名店が監修するの鍋つゆはあったものの、ラーメンがここに来るとは思いませんでした。スープカレーはまだわかるんだけど、こんなところにまでラーメンの名店が来るとはね……。

ちなみに対抗として、ミツカンも「けやき」や「とみ田」といった有名店監修の鍋つゆを出しています。この流れ、果たしてどこまで続くのか。

それにしても、最近の天一の勢いはスゴイ。ピザハットローソンともコラボやってますよね。スープに個性がある事の強みを超活かしていると思う。


7.パキット(永谷園)

これは前にパスタソースの記事で触れたことがあります。ソースが入っているパウチに、パスタをパキっと半分に追ってレンジにシューッ!
超!! エキサイティン!!!

な商品です。下の記事もぜひ読んでね。

最初は「売れるのかなぁコレ」と思ってたのですが、スーパーには大体陳列されてるし、優秀ヒット賞ということは売れてるのでしょう。
なんとなく包材の勝利感がある商品。レンチンできるパウチ食品、ほんと増えましたよね。
味は普通に美味しいです。パスタなのに永谷園なのが面白い。


8.日清焼そば U. F. 0. 爆盛バーレル(日清食品)

爆盛にバーレル。全国の腹ペコたちよこんにちは。
商品としては単に量の多いUFOなのですが、2玉入ってるだけあって実物はなかなかの存在感があります。

爆盛系カップ焼きそばといえば「ペヤング超超超超超超大盛りペタマックス」という絶対王者(物理)がおり、流石の日清もそこまでは狂えなかったようです。まぁペタマックス、買うシチュエーション全然違うからね……ファミリーか、そういうの送っても許される相手へのプレゼント用だよね。

「ペヤング超超超超超超大盛りペタマックス」通常の7.4倍。
4,184kcalを誇る怪物。パッケージに「絶対に1人で食べないでください。」の記載 笑

一方こちらの爆盛バーレルは、普通のUFOにはない2種の揚げ玉で食感にアクセントをつけ、飽きないように食べ切ってもらおうという配慮。これは普通に大盛りとして美味しく食べてくださいねっていう優しさなんだと思う。
UFOのソースってちょっと粘度高めで飽きやすい感もあるので、あの揚げ玉はとても良かったと思います。

9.X-BLEND CURRY (クロスブレンドカレー)(ハウス食品)

我が家は大人は辛いものが好きで、子供は辛いものが苦手なため、カレーを作る時は途中で2鍋に分け味を変えています。
この作業って当然ながら面倒くさくて、出来るなら省きたいんですよね。

クロスブレンドカレーは、その手間をもしかしたら省いてくれるかもしれない商品。物理的な辛さとスパイス感をちょっと分離させたというか、甘口なのにスパイス感はある(辛口は言うまでもない)という不思議な商品。

これならうちの子も食べられる! ……と思い試してみたら、うちの子は香辛料が苦手だったというオチが付いたのですが、味としてはとっても面白かった。もうちょっと奥行きというかコクがあると良いなとは思ったけど、それはちょっと従来のカレーを求めすぎてたのかな……。

いやぁ、カレーの世界って奥が深いなと思う。赤缶もそうだけど、まだこういう方向性あるんだなと思ったね。
本挽きカレーとかすごく好きなんですけど、上の麻婆豆腐でも書いたようにスパイスの世界はまだ開拓途上という感があるから、香辛料に寄せた商品は今後も続々出てくるでしょう。我々はまだまだ楽しめる。

辛口はオトナの味ですが、この商品だと甘口の方がメーカーの意図はわかる気がします。


10.インドカレー屋さんの謎ドレッシング(理研ビタミン)

インドカレー屋で注文して並べられた料理。
カップに入ったカレー2種類、皿からはみ出したクソデカいナン、そしてサラダ、と、野菜にかかってるなんかオレンジの謎ドレッシング。あれです。

SNSで話題沸騰……とまではいかなかった気もしますが、インドカレー屋さんに行った人なら「あー、なんかわかるゥ」ってなるあの味のドレッシングです。謎ドレ。

パッケージも怪しさ満点。KALDIに売ってそう。実際売ってる。

リケンといえば「青じそ」をはじめとしたノンオイルドレッシングが主力ですが、これは普通の油が入ったドレッシング。ベースは結構野菜感が強く、オレンジはにんじんの色ですね。

ドレッシングって結構冒険しないカテゴリーだと思ってて、割と決まった1~3本を皆さんチョイスされると思うのですが、その中でドレッシングでヒット商品に入ってくるというのは上手く当たった格好だなぁと思う。

野菜多めなのでお子さんも喜んで野菜を食べてくれそうな商品です。


後編はこちらからどうぞ!

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