LATE 90's 再び光を当てるべきジャパニーズロックバンド

鈴木淳史氏と原偉大氏によるラジオ番組「よなよな」の木曜日、先週放送時に唐突にPLAYされた、GREAT3にPLECTRUMというミッド90's選曲。これが局地的に話題となっている(2人くらい)。ちょうど私と妻の中でも98年デビュー組前後の音楽シーンとその変遷について語り合うのがブームになっていたので、とてもタイムリーな内容だった。誰に求められているかは考えず、あまり振り返られてはないものの単純に忘れがたい珠玉の楽曲を残したバンドたちを紹介したいと思う。気の向くままに。

まずはこのバンド。
pre-school/PRIME

ブラーチルドレンとしてデビュー当時から人気を博し、特に外資系レコード会社では面出しが当たり前だった彼ら。伝説のライジングサンロックフェス99では、ブランキーとミッシェルに挟まれるという逃げ場のないタイムテーブルの中でパフォーマンスを披露。後期はエレクトロ色を強めていくがのちに活動停止。現在まで再結成には至っておらず、元メンバーの活動もかなり不定期なため、再評価の声は小さい。が、そのコンセプトのはっきりしたデザイン・ビジュアルワークも含め、当時田舎で育った高校生の私の心にもバッチリ響いた。この曲は通称ブラックアルバムと言われた無題の2ndアルバムより。日本語英語をスタイリッシュに駆使したボーカルとサウンドは今聴いてもクール。3rd「this album」のCM、うんこがモロに出てくるんだけど覚えている人いないかな。


kook/to the noise

和歌山県出身のシンガーソングライター。OASISとSUEDEを独自解釈したグラムロック(というかまんまの曲もあるけど)、「日本語の重さをなるべくなくしたい」との意図から、発音を崩した日本語詞で歌い上げる。1stはホッピー神山プロデュースだったが、2ndはそこから離れリリースされた再デビュー盤。美メロ満載。のちに元ブランキーの照井氏とユニット・カルネでも音源をリリースした。

the autumn stone/中央特快

布袋寅泰がバンドを気に入り、プロデュースを買って出たという逸話を持つ北海道は小樽発のギターロックバンド。中でも名曲と言えばこれなのでは。サビからサビへと渡りゆくようなリッチなメロディラインは確かな疾走感があって最高。

PLECTRUM/Tears For Beers

92年結成、96年ポリスターからデビュー。当初は難波ベアーズを中心に活動。ベアーズ随一の爽やかさと言われていたらしい。さらにデビュー前、吉本興業にフックアップされた結果、ダウンタウンらも活躍していた伝説の心斎橋・二丁目劇場でライブを行っていたことでも知られる。この曲は千ヶ崎学、森信行をメンバーに迎えて再始動後、2年前に発表されたアルバムより。爽やかなメロディの中ににじむ熟成と滋味に涙がこぼれる一曲。ちなみにバンド名の名付け親はティーンエイジ・ファンクラブのノーマン・ブレイク。

スクーデリア・エレクトロ/BETTER DAYS

スパイラルライフのメンバーだった石田ショーキチが始動させたプロデュースユニット。そのデビューシングルはハーモニーの美しさにも惹かれるギターポップ。80’S愛を強く感じさせるエレ・ポップ感も特徴で、石田の繊細かつ伸びやかな声もハマっている。このあとも「MISS」や「太陽道路」などの名曲を生み出す。個人的に好きなのは“秋”のイメージを感じさせるミニアルバム「ULTRA SONIC」。

WINO/loaded

昨年だったか一昨年だったか、Suchmosが突如として番組でWINOをカバーしたとき、家庭内は沸き立った。OASISにシャーラタンズなど、スケール感の大きなUKギター・ロックを直輸入したようなサウンドとボーカル。マイクの持ち方も強烈なインパクトがあった。ボーカルの吉村潤がJUNとしてソロとなり、エレクトロ・ダンス・ポップに移行したのも趣深かった。

せっかくなので。JUNの名曲マジックタイムも。

DOG HAIR DRESSERS/オレンジジュース

Oh,オルタナティブ! 轟音ギターと心地よいメロディの黄金比を知っていただろうスリーピースインディー・ポップ。今聴くとヨ・ラ・テンゴのようなギターの音も最高で。

GuniW Tools/Looser Suger

ヨ・ラ・テンゴで思い出した。90年代中期~後期はビジュアル系が一世を風靡していた時期で、その反動として(グランジ~ブリットポップの隆盛と相成って)、カジュアルな服装で演奏するバンドが多数現れたと考えているが、ここではビジュアル系の枠組みで語られていたGuniW Toolsを。ビジュアルにかなりこだわりを持ったサイケデリックよりの世界観が持ち味。が、この曲はヨ・ラ・テンゴの「suger cube」オマージュ、というかそのもの。つまりはオルタナサウンドなのである。完全に文化的には分断されていた感のあるビジュアル系とギターポップ系だが、やってることはかなり共振していたことの証明とも言える。

デイジー/僕は不機嫌

松田マヨという不世出のソングライターを中心としたガールズバンド。曽我部恵一のレーベルからアルバムを出したりソロとして作品を作ったりしていたものの、現在は表立った活動はしていない模様。だが、当時、歌謡曲やシティポップスといった範疇に収まることを拒否したようなメロディセンスは今でも光り輝いている。デイジーは大体名曲。

Daily-Echo/復活

昨年開催されていた信藤三雄展にてジャケットを発見し、思わず胸にこみ上げるものがあったデイリーエコー。佐野元春の主催イベントにも出演するなどかなり将来を嘱望されており、実際にその音楽もメロウでキャッチー。特に復活はラジオなどでもヘビーローテーションだったはず。じわっとくる良い曲だ。

とりあえずの10選。気が向いたらまたアップしていきたい。



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