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【全部嘘日記】 2024.4.7.

気温が上がり、花見にはうってつけの日曜日。
坐骨神経痛で痛む脚を引きずりながら、近所の公園に出かける。
人工林とはいえまあまあの数の木が植えられた公園には、当然ながら桜も少なくない数が植えられている。
この季節にはレジャーシートを広げて花見を楽しむ住人も多い。
そこかしこから聞こえてくるのはどれもこれもたわいのない話ばかり。桜が梅でも木蓮でもきっと似たり寄ったりの話しかしないのだろうが、それをあげつらうのも野暮なこと。桜の下でする四方山話は一味も二味も違うはず。

「桜の樹の下には死体が埋まっている」と言ったのは梶井基次郎だったか。
とてもきれいな言葉だけど、どうしてあの一文を読むと、埋まっているのはきれいな若い女性の死体、しかも腐乱など一切していない、なんなら泥のひとつもついてない死にたてホヤホヤみたいな像が浮かぶのはどうしてなんだろう。
それも桜のマジックか。

夜、NHK『坂本龍一 Last Days』を観る。
偉大な音楽家と自分の人生では比較などできるはずもないのだが、生きて死ぬことに限れば誰もが似たり寄ったりのはず。あと15年もすれば自分もきっと同じ道を辿るだろうから、これも一つの予習なのである。
予習と復習はとても大事なのだ。残念ながらこの学びには復習はない。
(ついでに言うと、偉大な音楽家の最後を予習の教材に使うのはいささか贅沢すぎる)

———全部嘘です。

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