私は高校を卒業し、すぐに就職した。
(正しくは、公務員試験に失敗し、いろんな事情から就職するしかなかった)

就職先が決まるとすぐ、運転免許を取りに自動車学校へ通った。

高校の卒業式が終わり、1ヶ月も経たないうちに就職先での研修が始まった。3月21日くらいからだったかな。
初めて出る「社会」
周りは年上の大人たちばかり。
それだけで心臓が飛び出そうになるくらい、毎日ドキドキしていたのに、慣れない運転(片道40分)、仕事内容も覚えなくてはならず、毎日毎日必死だった。
もちろん、幼い頃から真面目だ真面目だと言われるほどのクソ真面目人間だったので、それはそれは自分自身もきつかった。
帰ったらお風呂とご飯済ませて寝る、みたいな生活がしばらく続いた。

職場の先輩たちは本当に良い人たちばかりで、新卒の私を気遣いながらも、きっちり仕事を教えてくれた。ご飯にも誘ってくれたりして、本当に良い人たちだった。今でもこの先輩たちとは、時々ご飯食べに行ったり、飲みに行ったりする。
3ヶ月くらい経つと、1人で業務に入ることが増え、少しずついろんなことを任されるようになり「責任」が増えた。
それは嬉しいことなんだけど、どこかでその責任を負うのが怖くて。元々の性格もあって「これでいいのかな」といつも不安が隣り合わせだった。
そしてその不安と隣り合わせの仕事で、1つミスをしてしまった。職場の先輩はすぐにフォローしてくれて、注意はされたけど怒られなかった。
今考えると、注意程度のミス。
でもその時の私には重大なミス。
自分が悔しくて、帰り道車の中で涙が溢れてきた。その時に流れてきたのがSEAMOの「Cry Baby」だった。

で始まるこの歌は、この時の私のためにあるのではないかと思うくらい、歌詞が私の心情を抉ってきた。さらにSEAMOさんの優しい声が、私に歌いかけているようにしか思えなかった。

ここなんかもう、「泣いてみな」って言われたら泣くでしょ！笑
職場でも家でも流す訳には行かない(心配かけたくないから)涙を、車の中では思い切り流すことができた。
誰かの役に立ちたい、母を安心させたい、早く1人前になりたい、家族にも職場にも心配させるわけにはいかない。
長い通勤時間も、気持ちの切り替えには良い時間だったのだ。

あの時期を乗り越えて10数年。
今でもこの曲を聴くと、心がツンとなる感覚に襲われるし、元気をもらえる。あの時流した涙が、今日の私をつくっている(と思っている)。

そして今でも、仕事でつらいことがあった時はこの曲を聞きながら帰る。

SEAMOを聴きながら、新社会人や新しい生活を始めた人に伝えたいのは、

自立とは依存先を増やすこと

早く1人前にならなきゃ、自立しなきゃ！この気持ちはきっと持ってしまう。1人でなんでもかんでもこなそうとすると、絶対身体か心が壊れてしまう。私が職場の先輩に助けてもらっていたように、周りに「頼れる人」がいるというのは本当に心強いし、誰かに頼れるということこそ"自立"への第一歩だと思う。

私は今でも泣きながら帰ることある。
だから今は不安や悲しみや悔しさで泣いてもいいと思う。
家に帰ったら、あのプリン食べよう
今日のドラマ絶対見なきゃ
帰ったら友達とLINE通話しよ
こんな感じで1日の小さなご褒美作るのも良いと思うよ(経験談)

私は、誰かの人生に責任を持てないから「逃げてもいい」なんて言えないけど、逃げたり休んだり立ち止まったりすることは絶対に悪いことじゃないよ。これだけは言うね。

春はどうしても不安定な季節。
新たなスタートをきった皆さんが、どうか1日でも早くその環境に慣れて、笑顔で過ごせることを願います。