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津田/古川/林川取水堰(つだ/ふるかわ/はやしかわ、広島県廿日市市)

●概要
中国電力玖波発電所4堰堤の3。
竣功:1956年?  型式:G  
目的:P
   最大取水量5.0(津田)、0.68(古川&林川)㎥/s
   合計最大取水10.7㎥/s
   有効落差227.0m
   最大出力20,700kW


●見学情報
駐車場:無 トイレ:無 自販機:無 天端:不可 直下:可 


●参考リンク・引用


●道中

中国電力玖波発電所(くば)。
最大20,700kW、常時5,500kWと中国電力でも指折りの出力を持つ水力発電所。
発電所は、大竹市を流れる普通河川・恵川の河口から約1.5km右岸に位置する。
ところが発電後、通常は恵川へ流れる事なく、小瀬川本流へと流れる(写真右から中央付近に流れ込み)。
(地理院地図より)
上図で言う所の青点線が発電水路、その後、紫点線により恵川方面から小瀬川へと流れる。
(地理院地図より)
がしかし、水力DBによれば放水路延長は358.8mとなっており、とても小瀬川には届かない。
では、その発電後358.8m地点がどうなっているかというと…
こちら。写真右が恵川上流方向。
接近。手前から玖波発電所の放水が流れ、また暗渠へと流れている。
どうやら、上記リンクを参照する限り、この溢流部が発電放水路終端であり、通常は小瀬川へと流れるものの、5㎥/sを超過した場合、この恵川へと溢れる構造らしい。
その5㎥/s+αはというと、勿論取水ダムである、小瀬川支川玖島川の渡之瀬ダムから来ている訳だが、
この渡之瀬ダムでの取水量は、
最大10.7㎥/s。
先程の5㎥/sは何ぞやというと、渡之瀬ダム上流に答えがある。
(地理院地図より)
発電所を巡って初めて気付いたが、上流赤丸部分に西から接続する水路が見える。
現地の様子がこちら。右奥から流れるのが玖島川。そして左に流れ込みが確認できる。
ズーム。
付近にはこのような看板が数枚あり、
その存在により、発電水路が山の向こうから続いている様が分かる。
(地理院地図より)
この水路の元を辿れば、そこは小瀬川本流。
(地理院地図より)
そしてその小瀬川をズーム。
何とこの赤丸部分には、表題に掲げる3基の堰堤が犇めく。
まずは小瀬川本流に構える、津田堰堤(以下、撮影時期混在)。
左岸より取水された後、
沈砂され、発電水路へ。停止時には中央から溢流する構造と思われる。
どういう時に採用されるのか知らんが、兎も角水の流れを想像するだけでゾクゾクする笑
溢流分は恐らく写真中央穴から排出される?
穴の中にも穴。
右岸から見ると雰囲気がある。
上流側は石で補強されている。
そんな津田堰堤の最大取水量が5㎥/sとなっており、先に挙げた5㎥/sの根拠を掴む事ができた。
津田堰堤取水の後、水路は地下へと潜り、
玖島川へと向かう・・・
と思いきや、何と地下に潜った目と鼻の先に用水路のような川があり、
取水を行っている。これが古川取水堰。左奥には津田堰堤の沈砂池が見える。
古川取水堰全景。
この古川が少し謎で…
(地理院地図より)
単なる支川というわけではなく、少し上流で小瀬川本流から水を引いてまた本流へと戻る人工水路のようである。
という事で、ズバリ取水地点へ向かった所、このような光景だった。中国電力絡みの看板や発電設備感は無く、ごく普通の灌漑用取水堰といった佇まいだった。
ちなみにすぐ下流にも似たような堰があり、何やら壮絶な歴史を背負っているような気がした。
で、その古川は、道中もやはり発電水路のようには見えず、写真のような降り口も複数見られ灌漑・生活用水としてできた水路ではないかと想像。
そんな水路にあって、発電取水。とても異質な感じがした。
ここと隣の林川を合わせて最大0.68㎥/sの取水らしい。どういう運用なのだろう…?
(地理院地図より)
そして3基目、林川取水堰。
この川はシンプルに小瀬川の支川。
上流から。堤体というより水門といった趣。
取水口。規模は違えど古川堰堤と似た構成。
津田・古川との位置関係。右奥に津田堰堤で工事作業中のクレーンが見える。
下流に回り込む。
この穴が維持放流分らしい。
計器類。
という事で、中々に見応え十分、玖波発電所の水路だった。
お邪魔しました~

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