雑文集


 忘れよう。全てを忘れよう。しかし全てを忘れることはどうせできないのだから、何か1つ決めてそれを忘れてしまおう。しかしどれか1つなんて決めることはできない。だから忘れてしまおう。何かを忘れてしまおうと思っていたことを忘れてしまおう。

----------------------------------------

 巨人は起き上がらない。いくら殴っても、どれだけ蹴っても巨人の瞼は開かない。針で刺しても火で焼いてもほんのちょっとの反応すら見えない。山よりも大きな体を持つ彼は、ひとたび目覚めたら人々を圧倒することは間違いないのに。彼は目覚めないからいつまでも人に知られることはない。にもかかわらず巨人の寝顔がこんなにも安らかなのはなぜだろう?


この記事が参加している募集

自己紹介

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?