008:センサとセンサのフィードバックループ

私はそもそも技術者でして、人と共存するロボットの開発なんかを生業にしていたりします。今日は久しぶりに昔の上司と長く話す時間があって色々なことを話しました。色々話が展開して面白かったのですが、一つのテーマを少し掘ってみたいと思います。

ロボットにはセンサというデバイスが非常に重要な構成部品になるのですが、こいつが曲者で信頼性を追求すればするほど、センサ単体がとってくる値をどこまで信じていいのかという話になります。要は、センサはデジタルデータな存在ではないので必ずばらつきを持ちます。そして、ある一定の確率で故障します。で、センサの厄介なのが壊れて嘘の値を出力していてもそのこと自体に気づけないし、どれくらいずれているかを知ることもできないです。ただ、システムとしてはセンサが感じた値を元にやりたい動作を実現するために計算をして、モータなんかを動かして動作を実現します。普通、設計というのはこのようにシステムの要素がばらついてもある範囲で所望の動作ができるように設計します。
ここに一つのループがあります。

かたや人間。人間もほぼ同じ構成でよりエネルギー効率よく複雑なことができるシステムだったりします。人間のセンサ〜五感も十分にばらつきを持っていますが実に上手にそのばらつきを吸収して所望の動作をします。そしてそれは訓練することによってできないことができるようになったり、最初は下手でもめちゃくちゃうまくできるようになったりします。
ここにも一つのループがあります。

そしてこの二つのループが相互作用するのが人と共存するロボットがいる世界です。

それで話題になったのが、ロボットは暴走するかもしれない、もしくは人はロボットが近くにいることに気がつかないかもしれないので、ぶつかったり挟まれたりする可能性がある。センサやモータなどの部品が正しく動いていたとしても接触は避けられないんです。
これが起きる可能性を下げるにはセンサ周りをうまく設計することがポイントになります。いかにして正しい値を保証するか。

でも可能性は下げられてもゼロにはできません。
おじいさんにぶつかったら?!
マッチョなお兄さんだったら?!
たまたま疲れてたり酔っ払ってたりしたら?!
そう、人間側のセンシング、つまり感じ方もその時の状況によって異なり、結果が異なるんです。

結局、ロボット側のセンサと人が持つセンサのせめぎ合いだ、と考えると人と共存するロボットがいる系の考え方が少しスッキリしたな、というお話でした。

で、具体的な問題は人ごみの中にどうやって自律移動するロボットを投げ入れられるかということだったりします。

エンジニア、そしてソリューションを提供する者の腕の見せ所、という訳です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?