サンホで武装していた、あの頃のときめき。

幼いころからアクセサリーを身に纏うのが好きだった。

自分本体に自信がないからこそ、アクセサリーで武装していないと心の小ささがばれてしまうのではないかという勝手な恐怖もあったんだと思う。
小学生のころからお小遣いでアクセサリーを買って身にまとって、小学校でも校則ぎりぎりを攻めた武装をして生きていた。


そんな小学生のころの僕を救う武装道具を提供してくれたお店がどんどん姿を消している。

サン宝石の民事再生。


驚いた。
まさかサン宝石までも姿を消してしまうのかと。
厳密にいえば倒産ではなく民事再生なので完全消滅にはならないのも分かった。
でも、小学生・中学生と、何かあるたびに足を運んだサン宝石がなくなりかけているという事実に驚き悲しみ、気が付いたら通販サイトを開いていた。

そう、僕もサン宝石に救われていた“かつての少女”の一人なのだ。

インターネットでの通販サイトを開いた。

昔と変わらない、低価格でとにかくカラフルでキラキラとした空間が広がっていた。
当時は限られたお金でどうにかしてたくさん買えないものかと綿密に計算をして購入していた。1円セールのものもとにかく買い物かごに入れた。

そんな懐かしい過去が一気によみがえってきた。

今はそのころとは違う。
あのころに比べればお金はかなり自由に使える。
サン宝石で気になったものをすべて籠の中に入れてもどうにかなるくらいには成長した。

でも、
そんなに多額にはならなかった。

勿論、超低価格なサン宝石だからというのは大きいと思う。
他のアクセサリーショップで同じだけのものを籠にぶち込んだらえげつない金額になる。

でも、それだけじゃない何かを感じた。

あの頃のときめきが薄れている感覚。

あの頃、サン宝石で買うアクセサリーを頼りに生きていたと言っても過言ではなかった。
サン宝石で買った安いアクセサリーを校則に引っかかるか否かのグレーラインを狙って着用して学校に通っていた。あのキラキラした世界に憧れて、何かあるたびに購入していた。

あの頃のときめきはもうなくなってしまった感じがする。

これが“大人になる”ということなのであれば、もう少し子どものままでいたかったと思ってしまう。

現実を知り、年相応を知り、お金の大切さを知り、その物品の必要性を考えることを知り、
そうして僕は大人になってしまったのかもしれない。

僕はもう少し、キラキラした武装で呼吸をしていたかったな。



…なんていいつつ3000円分は買ってしまったのでもしかしたらまだ十分子どもでいられるのかもしれませんが。

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