上田雑記 #21

レコーディングを終えてダラダラと新作をミックスしている最中でございます。進捗状況は6割程度。だいたいのサウンドの方向性やコンプ感が決まったところ。これから長い。

パソコンをMac miniに買い替えたのをきっかけにシステムをLogicに移行したけど、笑ってしまうぐらい作業が楽になりつつ、まだまだ使いこなせていない感。ここまでくるとオーディオインターフェースやマイクプリもこだわりたくなってくる。

さほど多くはないけど今までの経験で分かったことは録音は入力が全て、ということだと思った。ドラムの出音、マイクの選定、マイキング、プリアンプ、ほぼこれで決まる。録り音がよくなければその後、ミックスでどれだけ処理しようが根本的に音質が向上するわけではない。ぶっちゃけ良い音で取れてば、マスタリングでコンプかけるだけでOKだと思う。

ただ、録る時点からある程度の完成形のサウンドがイメージできてないと、いろいろな意思決定をするのがすごく難しい。著名なクリエイティブ・ディレクターの水野学さん曰く「センス=知識の量」とのこと。経験や知識に基づく予測行為がセンスだと思う。自分は天性のものを持っているタイプの人間では決してないので、これからの努力と投資次第だよねー、と毎日自分に言い聞かせては格闘している。

ミックスをしていると、沼というか、正解が分からず最終的には自分の耳・感覚さえ疑ってしまう。iPhoneにラフミックスを入れて外に出かける。いつも聴いてるオーテクのイヤモニで再生して、良いとろこや悪いところを考えながらバランスを確認。

これも決して良いことではないが、だんだんとスピーカーから音楽を流す、という機会が一般的に失われつつあるのかもしれない。リビングや部屋で音楽をかけるという行為自体、まわりから聴かない。皆イヤホンで音楽を個人的に楽しむ時代、そしてフェスで共有する時代。その中間とも言える、部屋で音楽をかける、という行為。そしてそのためのミックスもだんだんと失われつつある気がする。ものすごいスピードで聴覚体験が変革している過渡期。どういう音を作るべきか毎日頭を抱えてる。

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