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bornウェブマガジン『ざっくり紙のことがわかるコラム』

(「bornウェブマガジン」に寄稿したのと同じ内容です)

noteで作品を発表している方なら、自分の名刺やチラシ、フライヤーなどを作ろうと考えたこともあるのではないでしょうか。私も最近、自分のブログを人に紹介するときに、こういうものがあればいいなあ、と思ってます。口頭で「ブログやっています」って伝えるのもそれはそれでいいんですが、名刺がさっと出てくると、やっぱりかっこいいですよね。

また、自分の名刺のデザインを考える、というのは、とても楽しいものです。会社の名刺と違って、色もフォントも自分次第。自分をどのように見せたいのか、改めて考える機会にもなり、あれこれと頭を悩ませるのも名刺づくりの醍醐味かと思います。

さらに、自分で作ったデザインを、どういった紙に印刷するか、ということも、名刺づくりにおいて非常に重要なポイントです。紙のチョイスによって、同じデザインでも印象はかなり変わります。今回は、名刺などを作るさいに使う印刷用紙について、どんなものがあるのかざっと見ていきましょう。

○塗工紙と非塗工紙

そもそも紙はパルプというものから出来ている、ということはご存じかと思います。では、パルプとは何か。ざっくり言って、木から取り出した繊維です。紙というのは人間の目からすると平らなようでも、顕微鏡で見るとざくざくした繊維のかたまりであるわけです。

ところで、紙の種類によっては、そのパルプ繊維のうえに石灰岩のような鉱物の粉末をベースにした顔料や、耐水化剤を塗布しているものがあります。こういう、むきだしの繊維のうえに表面加工をしているタイプの紙を、「塗工紙」と言います。インクのむらを抑えたり、水に濡れても比較的丈夫な紙を作っているわけです。

反対に、表面になにも加工を行っていない紙のことを、「非塗工紙」と言います。非塗工紙の代表は、「上質紙」という紙です。ごくごく普通に目にする、コピー用紙のことです。また、「ケント紙」なども、非塗工紙として有名です。非塗工紙は、表面加工をしていないので、インクのムラが出やすいものが多いのですが、ナチュラルな感じをだしたいときには、名刺にも使われます。

普段目にする上質紙や、ケント紙は、使い捨てのコストが安いものなので、名刺などにするさいにはチープな感じがしますが、じつは、より高級な非塗工紙が存在します。たとえば「アラベール」という紙。これは高品質の非塗工紙として有名で、ナチュラルな手触りと風合いが持ち味の上品な紙です。

○塗工紙のなかの分類(光沢系、ツヤ消し系、その他)

表面加工を施した塗工紙には、表面が平滑で、ツルツルとした光沢のある紙と、表面を凸凹にして、光沢を抑えたものがあります。光沢系の紙でいちばん身近なのは「コート紙」、一般的なポスターや雑誌、カタログでお馴染み。ツヤがあって指にくっつく感じの紙です。

光沢系の紙にもグレードがあり、高級紙として知られているのはいろいろありますが、ここでは「ハイマッキンレーアート」をあげておきます。高い平滑性を持ち、インクの発色の良い紙です。少し青みがかっているのが特徴。

光沢系とは逆に、表面のツヤを抑えた塗工紙もあります。ポピュラーなのは「マットコート」。落ち着いたイメージの仕上がりです。また、光の反射が少ないために、文字が読みやすい、という利点があり、文字の多いカタログなどにマッチします。関東では「ユーライト」関西では「シルバーダイヤS」などが有名です。

ここまで、光沢の有無で塗工紙を分けてきましたが、じつは、高級紙のなかには光沢系と、ツヤ消し系の長所を併せ持った紙が存在します。
「ヴァンヌーボ」という紙は、インクの乗った部分は光沢が出て、インクの乗っていない部分は光沢がない、というすごい紙で、文字を目立たせながらも、全体としては落ち着いた雰囲気を持っています。このヴァンヌーボという紙、デザイナーや印刷業界では知らない人はいない、と言われるほどです。こういう、部分的にツヤが出て、他のところはマット調という紙は、「ラフグロス系」という呼ばれ方をします。

○文章を読んでも質感がわからない!

ここまで、紙の種類をざっくりと説明してきましたが、残念ながら、実際に手にとったときの質感は、言葉では伝わりません。しかし、朗報です。ネットの印刷屋さんに頼めば、紙のサンプルを無料で一式送ってくれるんです。私がプリンパ( https://www.prinpa.net/mypage )というネット印刷屋さんから送ってもらったのが、これ。

今回ご紹介したアラベールも、ヴァンヌーボも、実際に触って、特徴を比較することができます。また、じぶんだけのお気に入りを見つけることができるかも。無料で! すぐに名刺を作る予定がなくても、サンプルだけ送ってもらって、あれこれ触ってみると楽しいです。夢がふくらみます。


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