海外デザイン留学タイムライン

デザイン留学は2年で決めよ

留学は人生を掛けた一大プロジェクトだ。仕事や授業の合間を縫って、究極にマルチタスクになるので、私はマスタスケジュールを引いてストイックにタスク管理した。

これが私ののべ2年間の留学準備期間のマスタスケジュールになる。
google spreadsheet版も置いておくので自由に利用して頂いて構わない。

留学の成功体験について語られたブログは多いが、その過程や失敗について語られたものは少ない。ことデザイン系留学に関しては日本人留学生の少なさから、全般的に情報自体不足しているので、私は自分の反省含め、全てを晒け出して、経験から得られた知見を残しておく。

上のスケジュールの中で、2点の重要なマイルストーンについて話す。

1. 出願年の11月末に全てのマテリアルが揃っていること

出願が12-2月ごろの学校が多いので、11月末を目安に全てのマテリアルを揃えておく必要がある。当たり前だろと思うかもしれないが、以下のような落とし穴があるので、早め早めの準備を心がけたい。

秋〜冬にマルチタスク化し、炎上し始めるマテリアル作成
ここでいうマテリアルとは、英語のスコアの他、Statement、推薦状、Portfolioなどの出願書類全てを指している。それぞれ仕上げるまでに相当の工数がかかり、それぞれの弾が後ろまで残れば残るほど、全てを並行して進めなくてはならない。出願前のただでさえ焦る時期に、1つ当たりに掛けられるコストが減るのは致命傷で、全てが中途半端になり、肉体的にも精神的にも破綻するリスクがある。11月末という時期から逆算して、前々からそれぞれに対しシングルタスクで十分な検討時間を確保するのが鍵である。

出願校ぶん倍倍になる、Statement作成
Portfolioや英語スコア、CVは全学校共通で良いが、Statementと推薦状については、学校独自のお題を出されることもあるし、志望動機などの細部の記述を学校毎に切り替えた方が読み手の印象は良くなる。私はのべ12校出願したので、骨子は流用したものの、細部のブラッシュアップで想定 x 4〜6倍の工数が結局かかったので、何校出すかはスケジュールの余裕も考慮して決めたい。推薦状も当然、12校出すなら12校ぶんの作成&推薦者への依頼が必要になる。

複数回往復する、英語の校正
Statementや推薦状は当然英語で書く必要があり、純ドメの私は校正サービスを利用してネイティブに英語を正してもらった。この作業も、1回目の叩き台レベルで校正してはい完了ということにはならず、私は校正を受けてまた構成やメッセージを推敲し、計3回くらい校正サービスを往復利用してstatementを磨き上げた。出願校に合わせ細部の表現を変えた際も、その部分だけ文法校正をかけたりしたため、そのような往復のやりとりや、校正を受けての推敲リードタイムも考慮しておく必要がある。

2. 出願年の6月末に英語のスコアが揃っていること

上述のように、出願年の秋冬は怒涛のようなマルチタスクが始まるほか、7月〜9月は日本の奨学金出願シーズンでもあるので、6月末に英語がひと段落ついていて、忙しい7月以降に英語を考えなくてよい状態になっているかどうかが、私の中ではその年に出願できるかどうかの大きな判断ポイントだと思う。デザイン系の学校では英語はあまり見られないと言われるものの、最低点数が明記されている以上、達していた方がもちろん良いし、とりあえず英語はそれ以降考えずに済むので精神衛生上も良い。以下、ポイントとなる考え方を挙げておく。

どこまで英語にカネをかけるか
MBA合格者のブログなどでは留学コンサルやTOEFL塾に通うのが当たり前くらいな勢いだが、私費留学の私は金銭面でそのようなサービスは使う余裕がなかった。また、IELTSやTOEFLも1回$200オーバーというクレイジーな価格設定なので、力を蓄えて弓を引き絞り、最低限の回数で突破という戦略を取った。その結果、上のスケジュール上、2016年は何もしていなかったかのようにスカスカに見えるが、英語の勉強に全振りしていた。もちろん捻出可能なら塾に行ったり毎月のように試験を受けてもいいだろう。

IELTSか、TOEFLか、そしてGREもか
学校によって、出願に利用できる英語試験が異なるので、必ず求められる英語の試験と点数は確認した方が良い。IELTSかTOEFLどちらかで基本は出せるが、Media LabはIELTSのみだったり、Stanfordなどのアメリカの総合大学系はTOEFLしか出せず、その上GREもかなり高いレベルで求めてくる。特にGREは驚異的に単語が難しく、特殊な試験なので、攻略にかなりの時間を要する。IELTS, TOEFL, GREの3つを揃えれば相当出願の選択肢が増えるため、それも狙ったのだが、私は結局中途半端になってしまい、StanfordやHarvardなどには出せなかった。

奨学金はデザイン系はもらえないんじゃないか
7〜9月辺りが日本の奨学金の出願ピークなので、この時期はそれに注力できるようにスケジュールした方が良い。ここを英語に当てれば英語マイルストーンをもう少し後ろにずらせるが、金銭面で余裕がないのなら、みすみす出さないよりは挑戦はしておいた方が良い。奨学金は倍率が高く、私も結局日本の奨学金はもらえなかったが、デザイン系で過去受給を受けている人もいる。また、ここでしたためた志望動機や、卒業後のキャリア目標はStatementのドラフトにもなっていくので、落ちたとはいえ全てが無駄だったとは思わない。

あとはスケジュールにコミットするマインドセット

上記の考慮点に従い、どの時期に何をしなければいけないか見えたら、あとは飲み会や週末遊びに行きたい誘惑を断って、平日の業務終了後、終電まで英語を勉強して帰る生活、土日も引きこもってstatementを悶々と推敲する生活をストイックに続けることができるかどうかだと思う。仕事も定時に終わるような仕事ではないので、疲れていたりやる気が出なかったりする日も多かったが、毎日10分でも良いので歩みを止めず、努力を蓄積していければ、絶対に結果はついてくると思う。

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