デザイン留学の資金調達、絶望と歓喜の全記録

この7月からNYのパーソンズ美術大学のMFA Design & Technology学科に留学することになったので (留学記一覧はこちら)、この記事では日本人が留学するにあたり1番のネックになるだろう、お金の問題について書く。

アメリカの美大は世界的にも学費は高く、私の行く大学院も学費だけで約1050万円(2年間)するため、全て自費で賄うのはかなりの負担になる (MBAはもっと高いですけどね・・)。私の行く学部の生徒もなんと半分くらい中国・韓国の富裕層の生徒で、日本人はほとんどいない現状のため、今後、デザイン留学を志す日本人がもっと増えてほしいという思いも込め、私が資金調達に奔走した全ての記録を残す。

私の場合、結果から言うと、学校から学費75%(約800万円)のmerit scholarship (出願書類・ポートフォリオの内容に基づいて与えられる奨学金) 付きで合格を頂いたので、なんとか行けることになった (それ以外の生活費も高いが・・)。
一方、日本の奨学金は結局全落ちし、一時期絶望の淵に立たされたこともあったので、それらも含めて、資金調達の道筋を、獲得可能性が高い順に以下に記す。

1. 学校から奨学金付きで合格をもらう

デザイン留学の場合、個人的にはこの学校から支給されるmerit scholarshipを狙うべきと考える。ステートメントやポートフォリオを評価して頂いての奨学金なので、自分のやってきたこと、やろうとしていることが間違っていなかったという証明にもなるし、何より学校から認められたという自信になる。額は数百ドル〜学費の100%までと幅があり、私はパーソンズから学費75%のPresident's Scholarshipという高い評価で合格を頂いた。他の合格した美大からはここまで高額の奨学金は受けられなかったこともあり、コスト面も含め進学先はパーソンズ一択になった。

この奨学金のメリットは、自分の作品やポートフォリオのクオリティが奨学金に直結するので、出願書類作成に集中できる点だ。
デメリットは、運もあるほか、合格が決まるまで、もらえるのか否か、額はいくらなのかが分からない点である。日本の奨学金だと合格前に決まるものもあり、それらに決まっていれば精神的に楽になるが、私の場合は日本の奨学金には全く引っかからず、受かっても経済的に行けなかったらどうしよう・・というプレッシャーで心折れそうな時期もあった。パーソンズから奨学金の連絡が来た時には本当に嬉しかった。

奨学金獲得のポイント
・学校の出願締切の1ヶ月前に出願完了する
これは私も先輩に聞いたテクニックだが、学校は早く届いた出願書類から見ていくので、早く出せば出すほど、額の大きい奨学金をアサインしやすいらしい。私もパーソンズは締切の1/1より早い12/1に出願を完了し、出願した学部では1番早いロットに入り、奨学金付きの合格をゲットできた。そのため、出すなら早く、というのは必ず覚えておいてほしい。

2. 日本の奨学金をもらう

日本人が狙う最も正攻法の調達法だと思うが、非常に倍率は高い。これまではMBAの人が多く、MFAの奨学生はほぼ聞いたことが無いので、デザイン留学にとっては高い壁だが、出願年の夏頃に募集があり、志望動機などを一つの文書にまとめる機会でもあるので、出願はしておくべきだと思う。ここで書いたことやダメだった理由の振り返りが、学校への出願書類のクオリティ向上につながる。

以下に私が出願した(社会人が出願可能な)奨学金を記載する。
合格前に出願
フルブライト・ジャパン
 - 出願7月頃、$7万以上の支援、J-1ビザでの派遣になる
伊藤国際教育交流財団
 - 出願8月頃、$6万以上の支援、A4 8枚の書類手書きで出願必要
ロータリー財団
 - 出願9月頃、$6万の支援、テーマに即したエッセイ出願必要
平和中島財団
 - 出願10月頃、約$5万の支援
合格後に出願
米国伊藤財団 東大友の会(出身大学の奨学金)
 - 出願2月頃、$10万以上の支援、要推薦状
神山財団
 - 出願4月頃、200万円の支援、テーマに即したエッセイ出願必要

その他、PhD向けだったら船井情報科学振興財団などの有名どころや、年齢・留学地域に応じた奨学金もあるのでこちらを参照し、必ず出せる奨学金がいくつあるかは確認した方が良い。

私は夏に出願したものはまだ志望動機がふわっとしており、全て書類落ちだった。MBAの方とかがブログに輝かしい奨学金獲得体験を書いているが、その裏にはその何十倍の奨学金を得られなかった人たちや、留学を諦めざるをえなかった人たちがいることを知った。私も心折れかけたが、学校からの奨学金を目指してとにかく出願を進め、奨学金付き合格後に幸運なことに道は開けた。その後、神山財団はMBAの方に囲まれつつ、最終面接に残ったが、不合格(通ればデザイン系初の奨学生だったが)となったため、あまり参考になることは言えないが、一応ポイントを示す。

奨学金獲得のポイント
・ビジネスの観点で自分が学ぶデザインを語れるようにする
今回の出願、面接を経験する中で、競争相手はHarvardやStanfordなどのトップMBAに留学する人たちとなるので、デザイン系だとしても自分が学ぶ分野をどのように市場に還元できるのか、どのようなマーケットを生み出すことができるのかを具体的に語れるようにすることがポイントだと思う。私の場合、スペキュラティブデザインを学びたい、という概念的なものはあったが、それを活用してやりたい具体的な事業などを問われた時に少し弱かったかな、と思う。経産省から「デザインx経営」宣言が発表され、デザインがホットワードになっていることは間違いないが、そうしたコンセプトレベルだけでなく、具体的な事業のビジョンまで語りきれなかったのが、MBAの人たちと相対した時の敗因だったと今は思う。

3. 日本でお金を借りていく

家族や知り合いに頼れるのであればもちろんそれも選択肢に入る。私の場合、もう社会人なのでこれ以上親に迷惑はかけれないなということと、日本にすぐに戻ってくるイメージもないので、国から借りるということもなるべく避けたいと考えてこの策は最終手段として考えている。

・日本の奨学金(返済なし)を借りる
 ・JASSOの海外留学教育ローンで300万円ほど借りれるとのこと
・親族・知り合いに借りる

4. 留学後に稼ぐ

これも1つの考え方で、向こう行ってから何とかしても良い。大体の学校は週20h程度、学校でのアルバイト(カフェテリアでのバイトから、リサーチアシスタントやティーチングアシスタントなど)が認められているので、そうしたことをしたり(時給$9-10程度)、夏休みにはfacebookやgoogleなどの大企業がインターンを採用しているので、これらにエントリーしていくことが考えられる。インターンはgoogleクラスの大企業なら月給$7000-10000で働けるほか、卒業後の採用にも大きく関わるので、チャレンジしたいと思っており、本項目は留学後に再度更新する。

また、日本の仕事をリモートでやったりすることも一応選択肢としては考えている。ただこの場合、日本で給与or事業所得を得ることになると、日本の住民票を抜いた状態で確定申告はどうするのかなど、公的手続きの確認が済んでおらず、なんとも言えない。むしろ知っている人はぜひ教えていただきたい。

・留学後、学校でRAなどのバイトをする
・留学後、企業でサマーインターンシップをする
・留学後、日本のリモートワークやクラウドソーシングなどで稼ぐ

おわりに: まず出願せよ、さすれば道は開かれん

色々と書いてきたが、お金がないからという理由で留学を諦めてしまうのはもったいない。周りに聞いても、だいたいお金は足りないので、だいたい親に借りたりバイトしたりしているが、だいたい生き抜いている。なんだかんだ、熱意と高い志があればきっと何とかなると皆信じている。私もそうなれるように、オール私費なのできっと裕福な生活にはならないだろうが、がむしゃらに、地を這ってでも頑張っていきたい。
多分何とかなるから、無理な理由を並べる前にまず出願せよ。さすれば道は開かれん。

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