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日本初の月面着陸に成功 「SLIM」JAXAの無人探査機

世界で5番目の偉業達成
2024年1月20日 午前0時20分頃に着陸成功


JAXAの無人探査機「SLIM(スリム)」が1月20日未明に、日本でははじめての月面着陸に成功しました。

普段なに気なく当たり前にある存在だと思っている夜空に輝く月ですが、世界で5番目に、人類史上に輝く偉業を成し遂げた日本の開発者たちのドラマに思いをはせるというのも、ひとつの楽しみ方ではないでしょうか。



出典:JAXA
月面へ降下するSLIMの想像図

月面着陸は世界で5カ国目


月面への着陸に挑戦した無人探査機「SLIM」について、JAXA=宇宙航空研究開発機構は、20日未明に「着陸に成功した」と発表しました。
 
世界では旧ソビエト、アメリカ、中国、インドに続いて5か国目となりました。


出典: ツギノジダイ

人類初の有人月面着陸


月面着陸は、文字通り地球の衛星である月への着陸することを言います。英語では他に、lunar landing とも言うそうです。

人類史上初の有人月面着陸は、アメリカ合衆国のアポロ11号計画における船長ニール・アームストロングと月着陸船操縦士バズ・オルドリンによるものでした。

月が眺めるだけの星から、人類が訪れるべき宇宙の土地になったのは1969年のことでした。

アメリカのNASA(米国航空宇宙局)によるアポロ計画で発射されたロケット、アポロ11号でのことでした。以降1971年のアポロ17号までの7回の飛行で、人類は計6回、18人の宇宙飛行士が月面に到達しました。

当時は第2次世界大戦後の冷戦時代。米ソ2大大国が対立し、国家の威信をかけて宇宙開発競争が進められました。

しかし、1971年を最後に、アメリカはアポロ計画を中止し、月面の探査からは撤廃したと言われています。

人類と月旅行


当時、朝日新聞社の記者だった記者によると、次のような証言が残っています。

「アポロ11号の月面着陸で人類が得たものは数多くありますが、一番の収穫は地球の尊さを知ったことでしょう。1961年に地球の周回飛行を体験したソ連のユーリイ・ガガーリンが至近距離から地球を見てその青さに驚いたわけですが、8年後にアポロ11号の月面着陸で人類は初めて月に立ち、宇宙の中に小さくぽつんと浮かぶ地球を見たのです。その儚い姿は、地球が人類の住むことのできる唯一の星であることを気づかせました」

アポロ17号の宇宙飛行士ユージン・サーナン氏によるコメントも、宇宙開発に関する有名な言葉として残っています。

「我々は月を探査しに行ったのだが、実際には地球を発見することになった」

ユージン氏の月面着陸の際に撮影された、月の地平線から地球が昇る「日の出」ならぬ「地球の出」の写真も当時大きな話題を呼びました。


出典:JAXA

宇宙先進国だったソ連の失敗


当時、宇宙開発をリードしていた旧ソビエト連邦(ソ連)でしたが、アメリカがアポロ計画を成功させた17日前にある計画を実行していたそうです。

ソ連による有人月面着陸計画は「ソユーズL3計画」とも呼ばれ、その2度目となる有人宇宙ロケットN-1が、打ち上げられました。その打ち上げは、極秘裏に行なわれる予定で、一切、公式発表はされていなかったと言います。

1969年7月に行われたソ連によるN-1ロケットの打ち上げは、残念ながら失敗に終わりました。

この打ち上げ失敗が、ソ連にとって月面着陸への希望を喪失させる引き金となったと言われています。

ソ連の宇宙開発の歴史は古く、世界で初めて月面に到達したのは、1959年のソ連が先でした。ソ連の無人探査機「ルナ2号」は地球以外の天体に初めて到達した人工物となりましたが、その後、月面に衝突。月への無人軟着陸は、66年のルナ9号が初めて成功していました。


出典:ロイター

その後の各国の宇宙開発


ロシア、アメリカに続いて各国でも宇宙開発は行われています。

中国の無人月探査機「嫦娥3号」は2013年、月面への軟着陸を成功させました。

この成功は、1976年の旧ソ連以来、世界で3番目の記録となりました。

中国有人宇宙プロジェクト弁公室は、その後、中国が2030年12月までに月に有人着陸して、その後、月科学研究実験ステーションを建設して、継続的な月探査を実施する計画を明らかにしました。

2023年8月、インドの無人探査機「チャンドラヤーン3号」が月面着陸に成功。インドは世界で初めて月の南極付近への着陸を成功させました。

インドの年間の宇宙開発費はロシアを数十億ドル下回っているそうで、米国の開発費と比較しても桁違いに少ないそうです。今回のミッションにかかった費用は推定7000万ドル(約102億円)と、インドの他のビジネスにも当てはまるようなコストパフォーマンスの高い成功モデルとして話題になりました。


出典:ロイター
無人探査機「スリム(SLIM)」


日本の無人探索機のSLIMの着陸


日本がはじめて成功させた月面着陸ですが、全てが計画通りに進んだわけではなかったそうです。SLIMは、月面への着陸後、通信を確立するも、太陽電池が作動しなかったそうです。

午前0時20分にモニター画面上では月面に到達したことを確認。その後、着陸の成否を2時間ほど確認したところ通信は正常に確立できており、地球にデータを送り届けているものの、太陽電池が電力を発生できていない状況だったということです。

20日未明、管制室には、SLIMから機体の状況を示すデータが送られてくる。「高度0キロメートル」となったため、月面に到達したとみられ、JAXAは、詳しいデータを整理し、機体の姿勢が正常かどうかなどを確認。

「ソフトランディングには成功したものと考えている」とJAXAの理事によるコメントが発表されました。

太陽電池が発電していないことから、バッテリーが作動する数時間内で可能な限り探査データを収集するとして、太陽の当たる角度が変われば、太陽電池は再び作動する可能性があるとも述べられました。

SLIMの最大のミッションは、目標地点から実際の着陸地点までの誤差を100メートル以内に抑えて降下することだと言われています。

つまり、月面の「降り立ちたい場所」に降りられる高精度着陸技術を実証することで、従来機の月着陸精度は数キロメートル―十数キロメートルだったが、スリムは100メートルオーダーで制御できる技術を取り入れています。

月は重力を持つ天体であるため宇宙機が降り立つのは難しく、この技術が実証されれば、将来の月・惑星探査に応用できると期待されています。

SLIMは当初2024年1月〜2月ごろに月へ着陸するされていましたが、運用が順調であるため、1月20日の未明に月面着陸に成功しました。

近年再び、各国で月探査計画が活発になってきており、民間企業も絡み、再び宇宙開発の国際レースが過熱してきています。

日本の探査機SLIMの月面着陸は、世界で日本が存在感を示す「足掛かり」としての意義もあるといえます。

日々の日常から少し視点をかえて、宇宙開発のドラマの背景に思いを巡らせてみるのもいかがでしょうか。

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