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NETFLIXが最高の人材を惹きつけて離さないワケ

先日発売された「NETFLIXの最強人事戦略--自由と責任の文化を築く」がスタートアップにとって必読書になりそうな良書だったのでまとめてみました。

著者は有名なNetflix Culture Deck(NETFLIXの企業文化や行動規範を定めたカルチャーガイド)をリード・ヘイスティングスと一緒に書き上げた元CTO(最高人事責任者)のパティ・マッコード。

NETFLIXといえば、無制限休暇、人事考課の廃止、報酬レベルの高さなど大胆な施策が有名ですが、どのようにして最高の人材を惹きつけ、最高のチームを作り上げているのか3つのポイントでまとめました。


1. 優秀な人材のみを採用する

実感値でもありますが、優秀な人材を採用するためには、優秀な人材“だけ”を採用しなければなりません。優秀な人材にとって、優秀な人材と働けることが何よりのインセンティブだからです。

自社でもよく話をしますが、自分よりも優秀な人を採用することにこだわり続けないと、チームの魅力は一気に低下していってしまいます。

NETFLIXは最初から優秀な人材“だけ”を採用できていたわけでなく、2001年の大量解雇を経て苦しみながらも事業が軌道に乗っていく中で以下のような気づきがあったようです。

“このとき私たちは最初の重要な気づきを得る。それは、最高の結果を出せる人だけが会社に残っていたということだ。したがって経営陣が従業員のためにできる最善のことは、一緒に働く同僚にハイパフォーマーだけを採用することだと学んだ。これはテーブルサッカーの台を設置したり、無料で寿司を提供したり、膨大な契約ボーナスやストック・オプションを与えたりするよりずっと優れた従業員特典だ。優秀な同僚と、明確な目的意識、達成すべき成果の周知徹底――この組み合わせが、パワフルな組織の秘訣である。
“チームのやる気を最大に高めるのは、優れたチームメンバーが、つまり、ともに切磋琢磨しながらすばらしい仕事ができるメンバーがそろっていることだ。”


2. 人材濃度を高める

優秀な人材のみを採用していっても、様々な理由で目標とする業績が出せないメンバーも出てきます。そのときにNETFLIXはタイムリーに必要なフィードバックを十分に行い、その上でも業績が回復しないメンバーに対しては、解雇手当をはずんでやめてもらい、優秀な人材の濃度を高め続けます。

人材管理の入口だけでなく出口にもこだわることが、最強組織を維持する重要なポイントです。

“リードと私は、ネットフリックスが必要な速度で変化し続けるためにはどんな文化を形成する必要があるかを考えるうちに、経営陣がチームをたえまなく進化させるつもりでいることを、全員に周知させることの大切さを痛感した。そしてこれを説明するために、「会社は家族ではなく、スポーツチームだ」という比喩を使った。優れたスポーツチームがつねに最高の選手をスカウトし、そうでない選手をラインナップから外すように、ネットフリックスのチームリーダーも継続的に人材を探し、チームを組み換えていかねばならない。そして、「会社が成功するためには、チームがどんな業績を挙げる必要があるか」ということだけを考えて、採用と解雇の決定を下すよう義務づけた。”


3. ムダなルールを取り除く

優秀な人材だけが集まるチームをつくったら、あとは彼らが最大限のチカラを発揮できるよう環境を整えることが重要です。

NETFLIXではメンバーを信頼し、ルールや承認を極力減らすことで高業績の追求にフォーカスできる文化をつくっているようです。

“あの大規模な人員整理で中間管理職をごっそり解雇して以来、いちいち意見を聞き承認を得ずにすんでいるせいで、全員が前よりずっと速く行動していた。そこで社内の方針や制度を廃止していけば、さらにすばやく動き、さらに多くの仕事を成し遂げられるのではないかと考えた。
“どうすれば従業員の創造性と生産性を解き放ち、満足させられるかを系統的に分析し続け、そのうちにこうした新しい働き方を「自由と責任の文化」と呼ぶようになった。私たちはこの文化を形成するのに何年も費やし、今も進化は続いている。”
“これらすべての根底には、「優れたチームづくりに本気でとりくむことが、経営陣の一番重要な仕事だ」という認識がある。会社に優れた人材を採用し、目標を設定するために必要なツールや情報を提供すれば、彼らは喜んで輝かしい成果を挙げ、組織の柔軟性を保ってくれるだろう。


人事制度はスタートアップの競争力になりうる

先日、馬田さん@東京大学FoundXとお話した中であった「人事制度はスタートアップの競争力になりうる」という言葉を思い出しながらこの本を読んでいました。

大企業ではこれまで培ってきたが故になかなか変えることのできない人事制度を、スタートアップは大胆に変えて本質にフォーカスすることができます。

NETFLIXが行ったように、大企業が行っている福利厚生の充実に注力するのではなく、事業の成功のために必要なチーム作りにフォーカスして文化を形成することが、スタートアップが採用や組織づくりにおいて勝っていくためのポイントになると思います。


メルカリではCulture Deckから学び実践している内容も多かったのですが、NETFLIXの徹底度合いを前にすると「まだまだやれることあるな〜」と改めて勉強させていただきました(がんばろー)

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!!