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得意分野に何かをかけ合わせると思いがけない強みが生まれるかもしれない

どんな世界でも頭一つ出るのは容易なことではありませんが、得意分野に何かを掛け合わせれば、思いがけない強みが生み出せるかもしれません。

私は偶然ではありますが、趣味としてずっと続けていたCGがダンボールアートとつながって、それが自分の個性や強みになっています。


趣味CG歴は長いが業界で即戦力になれるほどではない

私は趣味でずっと続けていたCGが、あるときにダンボールアートとつながり、ダンボールアーティストという肩書きで独立しました。

かつてCG制作には高額なワークステーション(超高性能なパソコンみたいなものです)が必要でしたが、いまやノートパソコンでもCGを作れます。

ネット上には無料・有料のチュートリアルが溢れていて、やる気さえあれば、短期間である程度の技術習得が可能です。

田島さんのように専門学校のときに猛烈に努力して、一気に頭角を現している人もいれば…

成田さんのように45歳から本格的にCGを始めて、一線で活躍されている方もいます。2人ともすごすぎ。

一方、私は趣味CG歴は長いものの、ゲームやアニメーション、建築などの業界は未経験で、当然ながらそれらの会社に入って即戦力になれるような能力は持ち合わせていません。いばれることではありませんが…

思いがけずCGとダンボールアートが融合して強みに

CGに関しては平凡ですが、ダンボールアートがきっかけで思いがけず、その能力を役立てられるようになりました。

ネットの海外ニュースでダンボールアイアンマンを見て、情報を探していたところ、色々あってCGソフトで設計図が作れるとわかったのです。

以降、私はCGソフトを使ってダンボールアートの設計を行っていますが、これが仕事ではとても役に立っています。

具体的には次のようなところです。

・事前に完成予想図を作れる
・実制作前にデザインやサイズを調整できる
・必要に応じてCGデータも提供できる

今年(2019年)、那須塩原の再処理施設向けに2メートルほどのダンボールアート作品を納品したのですが、発注元は民間企業、納品先は公営施設で、双方のご担当者に承認していただく必要がありました。

まずリアルな感じにするか、またはデフォルメしたキャラクターのようにするかという選択肢があり、CGでラフを制作して提供。リアル案が選ばれた後でやりとりを重ねて、デザインを詰めました。

作品を設置するための台座を特注していただいた際、作品の正確な寸法を伝える必要がありましたが、CGソフト内ならシミュレーションが可能。ぴったりサイズの台座をご用意いただけました。

きゃりーぱみゅぱみゅさんのMVでは監督達と衣装のデザインやポーズを考えるときにCGを活用。

CG制作を行う会社の方が最終的にきゃりーさんをスキャンしてデジタル化する前に、あたりとなる情報が欲しいとのことで、作成中のダンボールアートの写真に加えてCGのデータも送りました。

ダンボールアートそのものはアナログな表現ですが、私の場合は制作過程の序盤ではデジタルを活用しています。

デイリーポータルZに取材していただいたときの記事の見出しが「CGをダンボールで実体にする男」でしたが、まさにそのとおり(笑)

このデジタルとアナログを組み合わせた制作過程は、結果的に仕事ではとても役立つことになり、私の強みになりました。

「ダンボールアート x CG」でデジタルとアナログの交差点に立った

いまから20年ほど前に「CGバブル」といわれる時代がありました。CGの仕事が増え始めた時期だったんじゃないかと思います。

当時はCG専門誌も数多く発行されましたが、ブームが終わると次々に休刊してしまい、現在残っているのはCGWORLDのみ。

そのCGWORLDがこれから業界を目指す人向けに発行しているフリーペーパー、CGWORLD Entryに先頃インタビュー記事を掲載していただきました。

「x CGで広がる世界」と題した特集でファッション、建築など様々な分野での活用事例が取り上げられていますが、私以外はまっとうなCGの使い方で(笑)、ダンボールアートに利用するのは異色です。

しかしこの特集どおり、私はまさに「ダンボールアート x CG」を仕事にしています。(これだけで生計を立てているわけではありませんが)

この組み合わせがよい点は「デジタルとアナログのいいとこ取り」になっているところだと思います。

これを狙ったのならすごいのですが、私の場合は偶然の産物です。1つだけ頑張ったといえる点を挙げるとするなら、CGをやめなかったことかな。

CGソフトは何十万もするし、それを動かすパソコンの性能も高いほどよいというお金のかかる世界。

会社員時代、仕事が忙しくなり、こんなにお金がかかるのに何の役にも立たない趣味は辞めてしまった方が楽になるかもしれないと思ったこともありました。

それでもやめずに続けられたのは、運営しているC3Dというコミュニティの存在が大きいです。いつも集まってくれる皆さんに感謝。

そうやって長年、「役に立たない趣味」を続けてきた結果、ダンボールアートというCGを活かせるものに出会い、「デジタルとアナログの交差点に立てた」のです。(スティーブ・ジョブズがAppleを「テクノロジーとリベラルアーツの交差点」と表現したのの真似です笑)

厳密にいうと「ダンボールアート x CG x ブログ」というのが私の軸になっています。「ダンボールアート x CG」が多くの人の目に触れることになったのは、間違いなくブログで発信していたからです。

特にフリーランスとして仕事をしている場合、自分を印象付けて覚えてもらうことは重要だと考えていて、そこはずっと意識しています。

そのために自身の得意分野に何かを掛け合わせるということも重要なことの1つなんじゃないでしょうか。

ダンボールアート、CG、ブログ、それぞれをさらに磨いて相乗効果を高めていきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございます! TwitterではCG方面のつぶやきが多めです。 https://twitter.com/Iwai ダンボールアートの主な作品はこちらでご覧いただけます〜 https://iwaimotors.com