安倍首相批判で最低限弁えるべき事実–岸信介について−

ご存知の通り、現・安倍晋三首相は元首相岸信介の孫にあたります。そして、その事実をもって「安倍晋三はA級戦犯の孫」と、批判的な文脈で語る一部の人々がいますが、これはまちがっています。

単純な事実として岸信介はA級戦犯ではありません。岸はあくまでも「容疑者」であり、「犯人」ではないのです。起訴されていません。岸・安倍についてどれだけ嫌おうとも自由ですし、極東国際軍事裁判についてどんな考えを持っていてもいいのですが、事実ではないことをいうのは「嘘」です。

「いや、岸のしたことは許されない」とか「アメリカと密約があった」と言う人も(中にはひょっとしたら)いるかもしれませんが、それとは関係なく、「岸は戦犯ではない」という事実は揺らぎません。これは意見ではなく、単なる事実です。なので、本来どの政党を応援していようが関係なく承知しておくべき事なのですが、どういうわけか無視する人がいる。これは議論になる事柄ではありません。しつこいようですが、「岸信介は戦犯ではない」。これは与野党政治思想全く関係のない、単なる事実です。

私はtwitterで何度もこの事実をつぶやいていますが、いまだに妙なケチの付け方をしてくる人がいて困っています。この程度の知識すら持ち合わせず、また受け入れられずに政治を語るというのは、一体どういう心境なのでしょうか。

安倍首相を批判する際に、根底にこの事実についての間違いが巣食っているのであれば、その上に展開される批判も信用性を失うでしょう。

岸信介については多くの伝記といくつかの回顧録がありますが、文春学藝ライブラリーの一冊として復刊された『岸信介の回想』をまず読まれることをおすすめします。伊藤隆氏がインタビューを行い、岸と、彼の友人である矢次一夫が回答しています。


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