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「史料」についてーその① 一次史料

「歴史学」「史学」の基本となるのは、歴史について書かれた「史料」です。「資料」と書く人もいますが、歴史については「史料」です。この「史料」ついてわかりやすく解説してあるのが、国立国会図書館のデジタルライブラリーの「歴史史料とは何か」です。以下同HPより。

<さて、過去に存在した事象を把握し筋道を立てるのに役立つ材料を「史料」と呼ぶ。紙に書かれた文献史料がすぐに頭に浮かぶが、口頭伝承、金石文、絵画、録音、映像(写真、動画)など様々な種類がある。遺物・遺跡なども広い意味の史料である。

史料は一つ一つ、歴史研究を行う上での有効性・信頼度(信憑性)が異なり、これを見極める作業を「史料批判」と呼ぶ。文献史料を例にとると、その目安となるものは、その史料を「いつ」「どこで」「だれが」書いたか、の三要素であり「そのとき」「その場で」「その人が」の三要素を充たしたものを「一次史料」と呼び、そうでないものを「二次史料」と呼んでいる。>

一次史料

ここで、「一次」「二次」という言葉が出てきました。具体的に一次史料に該当するものといえば、書簡、日記、メモなどがあげられます。ただし、注意しなければいけないのは、一次史料の製作者がどんな目的でそれを作成したかです。例えば、原敬日記のように後世から見られるであろうことを想定して書かれたものもあります。そうなると、事実が書かれているかどうかは読み手側の判断が必要となります。書いてあることをそのまま信じると、他の史料と整合性がとれなくなってしまう。

そう考えると、日記より書簡の方が信憑性は高いと言えるでしょう。なにせ、相手のあることですから、そうそういいかげんなことは書けません。また、当時当たり前だった人名や事件などが当事者間では当たり前となっており、きちんと書いてない場合も多々あります。そうなると、その時代の出来事についての知識と書簡を交わす人間たちの関係(親しいか疎遠か)などもよみとらなければなりません。

また刊行されていればよいのですが、未刊行の史料を研究などに使う場合はくずし字の解読が必要となります。これは、大学の史学科でならうものですが、くずし字を読むには慣れるのが一番なので、積極的に読んでいくしかありません。その際、最初は面倒でも「くずし字事典」で一文字ずつ読むのがいいでしょう。

昔の書簡には、ある一定の形式があります。冒頭には時候の挨拶と近況など。また締めの文章も形式があり、これは定型なので、重要な情報が含まれることはあまりありません。問題は、時候の挨拶以降の本文です。最初はめちゃくちゃでどう読んだらいいかわからなくとも、ある重要なことに気づくはずです。そう「同じ字が多い」ということ。

例えば「〇〇候」これは読んでいるうちに気づくでしょう。さらには「御」という字。これも頻出します。「御願申上」のように。こうして、頻出文字を拾っていくと、その前後についてもわかることがあります。「くずし字」単独で見るよりも、一文をみれば何をいいたいのかがわかったりします。

国会図書館にある憲政資料室の「〇〇文書」などとまとめられている場合は、その人が出した書簡ではなく、その人の下に寄せられた書簡があるのが基本です。書簡の発信者が誰に手紙を出してかを調べたいときは、憲政資料室入って右手にある「発信者」の名前が書いてあるカードを見て確認できます。史料はリールかマイクロフィッシュで見ることが多いと思いますが、拡大や縮小、反転などもでき、プリントアウトもできます。家でじっくり、これらの史料に取り組むのもいいでしょう。

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