フリクリ オルタナ 第6話-2

【津金井市内】

隕石でも落ちたかのように陥没した地面。
そこから立ち上がったハル子。

【世界図】

メモを片手に制御盤を前にして立つ木滝。

木滝:えーと…上・上・下・下・左・右・左・右・B・A…

制御盤をメモ通り操作し

木滝:え?まだあるの…?(メモを読み)「蜂蜜を…プシューってする」…プシューってなに?なんなの?だいたい蜂蜜なんてないわよ…

蜂蜜が置いてある。

木滝:あるじゃない…なんで蜂蜜なんてあるのよ…?プシューってどうやるのよ…?

【津金井市内】

の駄菓子屋にいるカナ、矢島、本島。

本島:うお!きな粉棒!やばい

矢島:あー!やばい!

本島:大人買い決定!

矢島:ですな

カナ:ちょっと!こんなことやるためにお金貯めたんじゃないでしょ!

本島、カゴ一杯の駄菓子を抱え、

本島:大人になったらこんなに駄菓子を選び放題になれるなんて思いもしなかったよ…

カナ:…もおお…

と言いながらも、駄菓子屋さんの棚を眺めるカナ。

矢島:ね~、駄菓子屋さんなんて宝の山だったよね~

カナ:…うん、そうだね、、

本島:おー、ガチャガチャ!

矢島:あ、わたし一発でガチャガチャを何回もやる裏技知ってるよ

本島:犯罪だろ

矢島:めっちゃゆ~っくり回してって、出るか出ないかの所で…

本島:やめろ。犯罪だそれ。

カナ、駄菓子を手にジーッとしてる。

カナ:…

本島:出たー!これー!!

「共親製菓」の「青リンゴ餅」「さくらんぼ餅」シリーズ、カラフルな「フルーツの森」がケースに入ってるもの。

矢島:あー!それも懐かしい!

カナ:これ…みんなどうやって食べてた?

矢島:や、ふつーに、均等に。色がかたよらないように…

本島:え?なにそれ。一気に流し込むじゃなくて?

矢島:それあんただけだから

本島:えー?混ざりあって天国だよ?

カナ:わたしも、一個ずつ、ここから外に出して、赤、黄色、オレンジ、って食べて、その次は黄色、オレンジ、赤、っていうふうに…

矢島:そこまで律儀じゃないけど、わかる~!

本島:あー、マーブルチョコはやってたわ。色分けして、一色ずつザバーって食べてた!

矢島:豪快だねあんたは…

カナ、駄菓子屋を眺めていると、店先にいつの間にか現れた幼い本島(5歳くらい?)がマーブルチョコを手のひら一杯に溜め込み、口に流し込んでいる。(少し透けている?)
続いて駆け込んできた幼少期の矢島とカナ、辺田が重なりあいながら駄菓子を買っている。辺田はアイドル写真のくじ引きを引き、おじさん歌手のブロマイドが当たってしまい、泣きながら倒れている。その横で矢島とカナは三色おかしを丁寧に食べている。泣いていたチビ辺田がいまだにチョコを口に流し込んでいるチビ本島の姿に見とれて泣き止み、立ち上がり近づく。ボーッとチビ本島を眺めるチビ辺田。それに気付いたチビ本島。そこからなんとなく、おたがいを見合う、四人の少女たち。

カナ:…

矢島(現在)が、カナに声をかける。

矢島:カナ、そろそろ行かない?

カナ:…うん…

【世界図】

蜂蜜が飛び散っている世界図。
木滝がベッタベタの手で制御盤をいじっている。

木滝:もう何回目よ…上・上・下・下…すっごいくっつく!

と、世界図の日本が光り始める。

木滝:き…来た…!!やったったわー!

大喜びしている木滝。
世界図のアメリカ沖人工島に集まっていた光がモゾモゾと動き出し、蜂蜜のある方へ散っていく。そのさまは昆虫のよう。(これらはアトムスクの体に寄生する虫。つまりこれでアトムスクが火星にNOする対象がアメリカ沖から世界中にランダムに散った。)

【津金井市内】

神田が電話を受ける。

神田:そうですか…おめでとうございます…え?部屋から出る方法…?それは…えっと…

×  ×  ×
電話片手に立ち尽くしている木滝。
蜂蜜でベットベト。

木滝:…切られるってどういうこと…?

×  ×  ×
駄菓子屋にいるカナ達を見つけた神田が、歩き出そうとすると、体が宙に浮かぶ。

神田:へっ?へっ!?

ハル子:なんで逃げてないんだよ!!

神田:放せ!!怖い!放せ!!

ハル子:なにしてんの!全く!

神田:行く行く!ちゃんと行くから!

ハル子:はあ!?どうやって!?

神田:…えーと…

ハル子:…

ハル子、空中に神田をぶん投げる。

神田:わはー!

ハル子、落ちて来る神田を受け止め

ハル子:ヘタな嘘つくと落っことしちゃうよ?

神田:すんません!

飛んで現れたリッケンバッカーに捕まり、神田ごと飛び立つハル子。

ハル子:こんな時になにふらふらしてんの…全く…

神田:…どこにいくつもりだ…?

ハル子:どこって…「島」に決まってるでしょ?

神田:…やめろ…

ハル子:はあ…?助けてあげてんのに…

神田:俺を…選ぶな…

ハル子:…

神田:…選んじゃいけないんだよ…

空中で止まるハル子。

ハル子:…本気で言ってんの…?

神田:ああ…

ハル子:…そんで…どうすんの…?

神田:…どうもしないよ…

ハル子:…意味が分からない…

神田:長い付き合いだったな…

ハル子:…?

神田:ラハル…お前のことは忘れない…

ハル子:…なに言って

神田:お前の…フラタニティ特有の自由奔放さも、、、

ハル子:…

神田:人間特有の責任感も、、、

ハル子:…

神田:…うん。な。

ハル子:…は? なに?

神田:え?

ハル子:わたしの自由奔放さも、責任感も…なに?なんだっつってんの?

神田:…

ハル子:…

と、ハル子のおっぱいをサワサワする神田。

ハル子:死ねよ!

当然、ハル子にぶっ飛ばされる。

【津金井のMMアイロン】

終末時計の残り角度は3度。ジリジリと進んでいる。


読んでいただきありがとうございます!いただいたサポートは作家部やnoteの運営などに使わせていただきます。