フリクリ オルタナ 第6話-3

【郊外のバイク屋】

の前。
ZOOMにまたがる矢島。

矢島:ジャジャーーーン!!

バイク屋の兄ちゃん、矢島、カナがそれを見ている。

カナ・本島:かっこいいーーー!!

矢島:かっこいいよねー!マジやばいこれ!やったー!!

カナ:やったねーー!!で、モッさんは!?なににしたの!?

本島:わたしはこいつよぉ!

店員のお兄さんが

お兄さん:お姉ちゃん渋いねえ!

と、カブを押してくる!

矢島:カ…カブ!!

カナ:しぶーーい!

カブにまたがった本島が、封筒をお兄さんに渡す。

お兄さん:まいど!あ、一応免許見せてね?二人共!

矢島、本島、免許を見せる。

矢島・本島:でーん!

カナ:…えっ

お兄さん:(免許を見て)はい!確かに!(カナに)さて、それでお姉ちゃんが…

矢島:やばいなにこれ!超楽しいんだけど!

本島:カナは何選んだの!?

カナ:あ、うん…

お兄さん、黄色のベスパを出してくる。(初代でハル子が乗っているベスパ)

矢島・本島:かっこいいーー!

お兄さん:これは正直、お兄さんも欲しい!いいセンスしてるよお姉ちゃん!

カナ:…あ、ありがとうございます…

お兄さん:じゃ、一応ね、免許を…

カナ:あの…それが…

お兄さん:…

カナ:持ってないです…

矢島:え…?

本島:嘘でしょ?

カナ:持ってない…免許が必要な事自体…忘れてた…

矢島:…うあ…

本島:マジか…

お兄さん:…一応決まり事だから…

カナ:で・す・よ・ね…

カナ、凍り付く。

矢島:やばい!カナが死ぬ!

本島:行こう!とりあえず行こう!

矢島:でも、どうする?バイク二台しかないし!二人乗りできないし!

と、チャリンチャリーンとベルを鳴らして現れる佐々木。

佐々木:すんませーん、パンクしちゃったんでえー

矢島と本島がカナを佐々木の自転車の荷台に載せる。

矢島:走れ佐々木!

佐々木:えっ!?なになに!?

本島:今お前が走らないと、カナが死ぬ!

佐々木:えっ!?カナ!?これ、カナ!?

カナに見えないほど老いぼれたカナ。

矢島:ほら!急いで!

矢島、本島がバイクで走り出す。

本島:ついて来い!!

佐々木:ちょっと!そっちバイク!

と、佐々木、走り出す。が、重たいのとパンクしてるのでノロノロ。
お兄さんがエンジンらしきものを抱えて店の前に出てくる。

お兄さん:(佐々木に)おい兄ちゃん!こいつをー!

お兄さん、エンジンらしきものをぶん投げる。
上手い具合に佐々木の自転車にはまり、佐々木の自転車はうなり声をあげてスピードをあげる。

佐々木:わわわわわ!すげー!これ!なにこれ!

お兄さん:特に説明はしねえ!行って来い! 

【国道】

国道を走る2台のバイクと佐々木の自転車もどき。
老婆のようになっていたカナが、風を受けて甦っていく。

佐々木:カナ…大丈夫か!?

カナ:…さ…佐々木君…!?

気付けば、すごいスピードで走っている自転車もどき。
並走する矢島、本島が手を振る。

カナ:すごーーーーーい!気持ちいい!!

本島:すごいねこれー!

矢島:最高だぁぁああああ!

×  ×  ×
バイク屋のお兄さんが、黄色いベスパを見つめている。
×  ×  ×
嬉しそうに風を受けていたカナが、ベスパを思い出し、少し寂しそうになり…

【海】

砂浜に並んで立つ、カナ、佐々木、矢島、本島。

矢島:きれいだねー

本島:だねー

波打つ海。陽を受ける一同。

カナ:ほんと…なーんにもないねー…あれ?

海を泳いで来るものが

矢島:なにあれ…?

本島:怖い怖い…

泳いでいるのは、ペッツ。女子らしからぬ、凄まじい必死の形相で泳いでいる。

カナ:ペッツ!?

矢島:嘘でしょ!?

本島:どこから現れたの!?

ペッツはカナ達に気付くと、手を振る。

本島:おー!手振った!

矢島:おーい!

ペッツ、沈む。

本島:おー!沈んだ!

矢島:ここにきて溺れた!

佐々木:た、助けろ!助けなきゃ!

みんなで「ペッツー!」と叫びながら海に駆け込んでいく。

【人工島】

に到着した潜水艦

【潜水艦内】

カナ達から辺田が貰った服やアクセサリーを山盛りにつけた、一見辺田に見える人。

父親:さあ、いい加減行くぞ。

と辺田の手を引くと、辺田の上半身が崩れ落ちる。

父親:ひあー!

【海辺】

びじゃびじゃに濡れた一同が、辺田を担いでいる。

矢島:おかえりー!

辺田:ただいまー!

カナ:ペッツー!!

本島:どこ行ってたんだよー!

辺田:ちょっとねー!

と、「ゴゴゴゴゴゴ…」地響き。
海岸沿いの陸地から民間のロケットが次々に飛び立っていく。
一同、あっけにとられてそれを見る。

カナ:…

×  ×  ×
津金井市内上空で、未だに宙に浮いているハル子と神田。
さんざん引っぱたかれたようでぷっくぷくに晴れ上がっている神田の顔。ロケットの発射音を聞いた二人がそれを見る。
×  ×  ×
打ち上がったロケットが空高く昇っていく。
と、続いて弾ける様なミサイル発射音。
陸地から次々と発射されたミサイルが生き物のようにロケットに向かっていく。

カナ:…!

カナはとっさに、佐々木の手を握る。

佐々木:…へっ!?

ロケットに向かっていたミサイルの軌道がぐにゃり…。

カナ:…おねがい…

カナの佐々木の手を握る力が強くなる。と同時に、カナの頭に花が咲く。
ミサイルが空中で爆発。花火のように炸裂する。

辺田:うっひょー!きれいーー!!

花火の様にミサイルが次々炸裂する中、空へ突き進んで上がっていくロケット。

矢島:たーまやー!

本島:いってらっしゃーーい

佐々木は驚きの表情でカナを見つめる。

佐々木:カナ…

カナ:…えへへ…


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