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【マッチプレビュー】2023明治安田生命J2リーグ第39節 いわきFC対清水エスパルス

2023明治安田生命J2リーグ第39節。いわきFCは10月21日(土)、ハワイアンズスタジアムいわきに清水エスパルスを迎える。この試合の見どころについて解説していこう。


■ポイント&レビュー

現在、11勝11分け16敗の勝ち点44で17位。今節の相手は2位・清水エスパルスだ。

清水はここまで38試合を消化し、18勝13分け7敗の勝ち点67で自動昇格圏内の2位。勝ち点65で並ぶ3位・ジュビロ磐田、4位・東京ヴェルディに2差をつけている。自力での2位確保を見すえ、確実に勝ちに来ることは間違いない。

何よりいわきFCにとって、清水は前期の対戦で1対9と屈辱的な敗北を喫した相手。田村雄三監督体制となった6月以降、持ち前の躍動感を取り戻したいわきFCにとって、成長度合いを測る絶好の機会ともいえる。第37節で首位を独走するFC町田ゼルビアを倒し、積み上げてきたパワーと走力をはっきりと示したいわきFC。清水に勝ち、あらためてポテンシャルを証明したい。

試合のポイントは
①先制点を取れるか
②FW乾vsMF下田
③クロスの狙い所の共有

といったところだろう。では、清水はどのようなチームか。

分析を行う前に、いわきFCの至近の戦いを振り返ろう。

10月8日の第38節は東北勢対決。ホームでベガルタ仙台との対戦となった。スターティングメンバーはGK31高木和徹、DF24山下優人/3遠藤凌/4家泉怜依/6宮本英治、MF33下田栄祐/14山口大輝/19岩渕弘人、FW17谷村海那/18吉澤柊/杉山伶央。前節に続き宮本、山下をSBに置く4-1-4-1をチョイス。負傷復帰を果たした杉山がスタメン入りし、FW有田稜はベンチスタート。

事前の予想通り、仙台はロングボール中心の展開。両チームのセカンドボール争いはほぼ互角。そんな中で18分、杉山のクロスのこぼれ球を岩渕弘人が押し込み、いわきが先制する。岩渕は11試合ぶりの7ゴール目。

その後、先制された仙台が徐々に流れを手繰り寄せる。いわきは33分にDF家泉怜依が痛恨のPK献上。仙台はこれを決め1対1の同点に。そして後半も仙台ペース。57分、ペナルティーエリア右で受けたFW山田寛人のクロスに鎌田大夢が頭で合わせ、逆転に成功。

68分、チームを救ったのは、町田戦でもゴールを挙げていたFW谷村海那。右サイドからゴール前に進入して折り返し、こぼれ球を途中出場のMF永井颯太が押し込んで同点。永井はうれしいプロ初ゴールを記録した。

いわきはその後も激しく攻め立てるが得点ならず、試合はドロー。是が非でも勝ち点3がほしいゲームだったが、仙台と勝ち点1を分け合う結果となった。

▼前節のハイライトはこちら

そして翌週10月14日は、Jヴィレッジスタジアムで 横浜FCとの復興支援マッチに臨んだ。いわきFCはこれまで出場時間の少なかった選手を中心にメンバーを組んで試合に臨んだが、0対5で大敗。スターティングメンバーとサブの力量差が浮き彫りになる悔しいゲームだった。

シーズン終盤。残り1カ月をどう戦うのか。選手達は厳しい課題を突き付けられた。

仙台戦を終え、いわきFCの通算成績は11勝11分け16敗の勝ち点44で順位は17位。降格圏の21位・大宮アルディージャとの勝ち点差は8となった。

今節決して忘れてはいけないのは、前回対戦の9対1という屈辱的なスコアだ。悔しさを忘れることなく、何としてもホームで借りを返したい。

今のいわきFCは、あの時のチームではない。選手もリーグ後半のここまでの戦いを経て、明確な自信をつけた。同じ轍を踏んではいけないし、決してそうはならない。

■戦力分析~清水エスパルス

清水エスパルスは、静岡県静岡市をホームタウンとするプロサッカークラブ。ご存じの通り、Jリーグの「オリジナル10」の一つである。

1993年のJリーグ創設に当たり、地域に根ざした欧州のクラブ組織を理想とするリーグの理念を体現。静岡県社会人サッカーリーグ所属の清水FCをベースに、クラブは誕生した。

初年度の93年は1stステージ4位、2ndステージ2位の好成績。1996年にヤマザキナビスコカップを制し初めてのタイトルを獲得。1999年の2ndステージで初優勝を果たし、2000年にはアジアカップウィナーズカップを制覇。ディビジョン制導入後も2015年までJ1の舞台で戦い続けた。

2015年に17位でJ2に降格するも、2016年のJ2を2位でフィニッシュ。J1に返り咲いた2017年、天皇杯3回戦で対戦したのが、当時福島県社会人リーグ1部に所属していたいわきFCだった。

当時のいわきの選手達はほぼ全員、アンダーアーマーの倉庫で日常業務をこなすアマチュア契約。それでも就任1年目の田村雄三監督のもと、2回戦に敵地でコンサドーレ札幌を撃破する大アップセットをやってのけ、敵地・IAIスタジアム日本平へと乗り込んだ。

試合は開始早々、ロングスローを起点に清水が先制。後半にも1点を追加し、守ってもいわきの攻撃を抑え込んで清水が2対0で勝利。だが、いわきの選手達も随所で高い走力を示し、J1クラブの胸を借りて堂々の健闘を見せたといえる。

清水はその後もJ1で戦い続けたが、2022年に17位でJ2降格。2023年はゼ・リカルド監督体制2年目。開幕からクラブワースト記録を更新する7戦未勝利と低迷し、4月に監督を解任。昨季まで水戸を率いていた秋葉忠宏コーチが監督に就任するとチームは息を吹き返し、14試合負けなしのクラブ記録を樹立した。

いわきFCとの2度目の対戦は5月7日の第14節。いわきは6年の時を経て清水と同カテゴリーに上り詰め、IAIスタジアム日本平に凱旋。しかしここで、厳しい現実を見せつけられる。

3連敗中、そしてDFの中心選手・遠藤凌を出場停止で欠くいわきと、秋葉新監督のもと調子を取り戻しつつあった清水。勢いの差が露骨に出る結果となった。試合は開始早々に動き、2分に元日本代表MF乾貴士のゴールで清水が先制。16分には乾のトリッキーなパスからMF中山克広がゴール。そして前半アディショナルタイムには中山が2点目。

後半に入っても、いわきは悪い流れを変えられない。FWチアゴ・サンタナのハットトリックなど、後半だけで6点を献上。最後は意地を見せ、後半アディショナルタイム、左サイドからMF芳賀日陽が上げたクロスにFW吉澤柊がダイビングヘッドで飛び込み、どうにか1点を返す意地を見せたが、試合はそこまで。清水が9対1で大勝した。

この試合をきっかけに勢いを増し、上位争いに食い込んだ清水。この試合で自信を失い、最下位に転落して苦しい時期を過ごしたいわき。両チームにとって、大きな分岐点となった一戦だった。

▼前回対戦のハイライトはこちら

清水は至近の第37節で藤枝MYFCに0対2で敗れるも、第38節ではジュビロ磐田に1対0で勝利。勝ち点67で現在2位。

前回の大敗のイメージから攻撃力の高さに注目が集まる清水だが、もともとは一人一人のスキルを前面に押し出して1点、2点を取り、守備を固めて確実に勝ち点を取るのが勝ちパターン。J1経験者を多数擁するチームは一つのミスを許さない。その点で突出しているのが今の清水といえるだろう。

この試合、特に大事になるのが先制点だ。清水は先制したゲームで負けておらず、先に得点を許せば、かなり厳しいゲームになるのは間違いない。開始から積極的にボールを動かし、前へのパワーを出し続けることが、この試合は特に大事になる。

フォーメーションは4バック。第38節のスターティングメンバーはGK57権田修一、DF70原輝綺/4高橋祐治/50鈴木義宜/2山原怜音、MF14白崎凌兵/3ホナウド/11中山克広/カルリーニョス・ジュニオ、FW33乾貴士/9チアゴ・サンタナ。

最も警戒すべき選手は元日本代表MF乾だろう。ヨーロッパでのプレー経験も豊富で、チーム全体のプレーを大きく左右する存在。ポジションはトップ下と思われるが、ビルドアップからゴール前の崩しまで幅広いエリアを自由に動き、積極的に関わってくる。ベテランが故にボールタッチの数は決して多くないが、パワーを上手く温存しながらここぞと言う時に卓越したスキルを見せる。いわきは90分を通じて、GKを含む11人が一瞬も気を抜いてはならない。

キーマンとなるのは、攻守で乾に対峙するであろうアンカーの下田。自由に動く乾の動きを常に監視し、的確に受け渡す。そして、奪ったボールを積極的に動かしていきたい。

清水の失点パターンを見ると、インスイングのクロスをきっかけとするものが多い。前回対戦の1点もそうだったように、幅を使いながらクロスの狙い所をチーム全員で共有していく意識も重要だ。攻撃の注目選手は今季6ゴールを挙げているFW谷村か。町田戦の左サイドからのゴールを始め、仙台戦でもいい動きを見せた。身体のキレもよく、彼が積極的に仕掛けられるよう、周囲がしっかりとサポートしたい。

この試合、特に大事になるのは先制点。だが、仮に先制できたとしても安心はできない。仙台戦では先制した後に後ろ向きのプレーが増え、ミスから逆転を許した。同点に追いつけたのはプラス材料だが、清水は甘いチームではない。課題をしっかりと認識し、克服することが求められる。

■「ミスを得点に結びつける力はJ2ナンバーワン」田村雄三監督

「仙台戦は内容のよくない試合でした。選手達には試合内容は負けに等しかったと伝えました。失点は単純なミスによるもの。修正してやっていくしかありません。

先週の横浜FCとのゲームは0対5で敗れましたが、大敗して逆によかったと思っています。出場機会の少ないメンバーを中心に臨みましたが、今まで守れていた状況で一発でパスを通されたりと、個人の質の違いが浮き彫りになった。特に差を感じたのは判断スピード。パワーや走力以前に頭がついていかず、よさを出させてもらえない。結果、無駄に走らされる。そんな試合だったと思います。全てにおいてレベルアップが必要。もっとやらなくてはいけないと教えられました。

試合に出た選手達には厳しいことを言いましたが、この現状をバネに変われるか。彼らが自分に矢印を向け、どう成長するか。足りないことは山ほどある。それを埋めるために、普段の生活からどう変えていくか。ピンチはチャンス。休んでいる暇はありません。止めて蹴ることのクオリティを上げなくてはいけないし、フィジカルもやらなきゃいけない。好きなプレーばかりせず、ウィークポイントを補うトレーニングをしなくてはいけない。悩んでいるならコーチを捕まえて話し、課題の克服に努めなくてはいけない。そこに尽きます。プロですから。

彼らが今週の試合でいきなり成長を見せるのは難しいでしょうが、横浜FCさんとの試合をきっかけに成長してほしい。厳しいことを言われて、1週間ぐらい変わることはみんなできる。これを1カ月、2カ月と続けていける選手が、プロサッカー選手として残っていく。そういうことだと思います。

清水さんはみんな上手くて判断ができ、何かが起きても選手同士がグラウンド内で解決できる。相手の些細なミスを得点に結びつける力はJ2ナンバーワンでしょう。過剰に恐れる必要はありませんが、受けたらやられてしまう。時間とスペースを与えたら何でもやってくるので、試合を通じて自由を与えないこと。そしていつも通り、勇気を持ってボールを持ち出し、前につけ、どんどん関わっていく。ここまで続けてきたことを、しっかりとぶつけていきます。

立ち位置、メンバーについてはおおむねイメージしていますが、横浜FC戦のこともあり、サブはまだ決めかねています。ただし、やることは変わりません。リスクを恐れず、清水さんに対抗していきます」

■挑戦はまだまだ続く。

2023明治安田生命J2リーグは、第38節が9月27日に1試合、10月7日に4試合、10月8日に6試合、延期分の2試合が10月14日に行われ、全チームが計38試合を消化した。結果は以下の通り(左がホーム)。

9月27日(水)
徳島0 - 1熊本

10月7日(土)
大宮2-1山口
清水1-0磐田
東京V1-0大分
長崎5-1藤枝

10月8日(日)
山形2-0栃木
いわき2-2仙台
千葉1-1水戸
町田3-3甲府
金沢0-2秋田
群馬0-0岡山

10月14日(土)
秋田1-2町田
藤枝5-1群馬

上記を踏まえた順位表は以下の通り。

いよいよシーズン終盤。J1昇格が目前に迫る首位の町田ゼルビアは、ブラウブリッツ秋田とアウェーで対戦して勝利を収め、勝ち点75。J1昇格に王手をかけ、今節のロアッソ熊本戦に勝てば昇格が決まる。

自動昇格圏の2位・清水(勝ち点67)を2ポイント差で追うのは3位・東京ヴェルディ(勝ち点65)と4位・ジュビロ磐田(勝ち点65)。プレーオフ圏内の5~6位は8月半ばから負けなしのジェフユナイテッド千葉(勝ち点61)、そしてV・ファーレン長崎(勝ち点58)。7位はヴァンフォーレ甲府(勝ち点57)。第41節のホーム最終戦で相まみえるモンテディオ山形(勝ち点55)は、現在8位。

注目は藤枝MYFC。プレーオフ圏内を争うザスパクサツ群馬をホームで一蹴し、5ゴールの大勝。勝ち点48で順位を12位に上げ、残留をほぼ手中に収めている。最終節にアウェーで行われる昇格組同士のゲームは、互いのプライドを懸けた激闘となるだろう。

いわきFCは11勝11分け16敗の勝ち点44で17位。15位徳島ヴォルティス、16位ベガルタ仙台と同勝ち点で並ぶ。J2残留に向け光は差したが、残り4試合は清水、千葉、モンテディオ山形、藤枝MYFCと、今シーズンの成長度合いを示すには申し分ない相手ばかり。

失うものは何もない。ここまで貫いてきた「魂の息吹くフットボール」をさらに進化させ、確かな爪痕を残したい。

明治安田生命J2リーグ第39節 清水エスパルス戦は10月21日(土)13時より、ハワイアンズスタジアムいわきにてキックオフ。試合の模様はDAZNでライブ配信される他、福島テレビでも中継される。

ホームゲームは残り2試合。ハワイアンズスタジアムいわきで、DAZNで、福島テレビで。強敵に挑むいわきFCに、熱きご声援を!

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