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「たらい」をつくる仕事

こんにちは。岩沢兄弟の兄・ひとしです。

突然ですが、僕は最近、「たらい」と「洗濯機」という喩えがお気に入りです。

あるプロジェクトで「都市の体験にはどんなデザインが必要だと思いますか?」と、聞かれました。

そのときまず考えたのは、今の都市空間では、つくる側が人間の動きをコントロールし過ぎている気がする、ということ。場所の使い方が決められすぎているというか。

その結果、都市に暮らす人が都市の使い方を主体的に考える機会が減り、「場所への興味」を持つ機会も奪っているんじゃないかな、と感じています。

だから、これからは人々が都市を自分達の場所にしていくための「考えさせる装置」が大切な気がします。

人々を刺激し、都市に暮らす人みずからが新しい使いかたを編み出すような「装置」です。

そのような装置を、僕は最近「たらいのようなもの」と呼んでます。あの、コントに出てくるような金物の、大きくて丸い「たらい」です。

「たらい」は、洗濯に使うこともできますが、水浴びをしたり、スイカを冷やしたり、船に見立ててレースをしたり……と、さまざまな用途があります。少し昔なら、たらいの産湯につかった人もいるかも。

「たらい」を中心に、人が集まり、さまざまな行動や発想が生まれる。そんな光景が浮かびませんか。

かたや、「洗濯機」は、高機能だけど単機能。洗濯にしか使えません。新しい用途を編み出したり、アイデアを生むような「考える装置」ではないのです。

都市空間には、みんなが関わりながらそのモノを理解し使い方を考えるような魅力的な「たらい=考える装置」が必要じゃないか。

そんな想いで、岩沢兄弟では、空間から家具、ちょっとヘンテコな道具までコミュニケーションのためのありとあらゆる「考える装置」をつくっています。

みなさんだったら、どんな「たらい」を自分のまちに置きますか?

(いわさわひとし/岩沢兄弟


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