平グモちゃん ~誕生日の変~

 大和国信貴山城──

「久ちゃん久ちゃん! お誕生会やろう!」
「お正月じゃダメなの?」
「なにいってんの? お誕生会は生まれた日にやるって決まってんじゃん」
「生まれた日っていってもなぁ。閏月に生まれた人はどうするの?」
「…………」
「次にいつ閏月がくるかなんてわからないよ?」
「うん! そうだね! お誕生会にはケーキがいるよね! あたしちょっと作ってくる! 久ちゃんはみんなを集めといて!」
(全力でごまかした……!!)

 一刻後──

「ケーキできたよー! はっぴばーすでーとぅーゆー♪」
「あの……お姉ちゃん? 久秀さんに呼ばれたから来たけど……どういう集まりなのかな?」
「ハレルヤ! ハレルヤ! お誕生日 祝え とにかく祝え」
「目出たき日 食べる甘味に 舌鼓」
「お誕生日には年の数だけロウソク立てて一気に吹き消すって聞いたことあるけど一本もないじゃない。あーやだやだ。貧乏くさっ」
「ホントだ! 久ちゃんロウソクぷりーず!」
「蝋燭? ちょっと待ってて、もってくる」
「みんなごめんねー。久ちゃんって、ちょっと気が回らないトコあってさー」
「そんなことないよお姉ちゃん。久秀さんはいい人だよ?(にこにこ)」
「人柄の良し悪しなんてどうでもよくない? 大事なのは金よ、金」
「愚か者、目先の金に目が眩む 真の大事は官位官職」
「信仰心 ある いい人。ない人 死ね」
「お待たせ。何本いるのかわからないからありったけ持って来たよ」
「はぁ!? 百目蝋燭そんなに持ってきてどーすんの!? なに? 逆さづりにして足の甲から五寸釘貫通させてそこに立てるの? 古高俊太郎ごっこ?」
「そんなことしないよ……持ってこいっていうからとりあえず持って来ただけだって」
「まーいいや! ほらみんな! 蝋燭に火ぃつけて!」
「だーだー」
「茄子たん! そっち火があるから危ないって! 行っちゃだめ!」
「だー」
「ぎゃー! 茄子たんがロウソク倒したー!! 茄子たん大丈夫!?」
「お、お姉ちゃん! ロウソクの火が導火線に引火してる!」
「主よ 救え たまえ」
「火の先に待ち構えたる火薬樽……」
「冗談じゃないわよ! アタシだけでも逃げるわよ! とーーっ!!(ひゅーー……)」
「とりあえず! お誕生日おめでとーーっ!」

 どーーん!!


 おわり



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