平グモちゃん WENT!! その3

 見たところベトナムの交通ルールは2つ。

 一つは右側通行(一部一方通行あり)。そして物や人にぶつけない。この2つです。

 よって中学生くらいの女の子が携帯で話しながら原付二人乗りという光景も見ることができます。できますが! 4、50メートル幅の道路中央にあるバス停に降りた私達は途方に暮れるしかありません。なにしろ信号も横断歩道もないので注意しながら20メートル程の道路を渡るしかないのです。もうフロッガーです。轢かれたらピョン吉です。ウソです。轢死体です。

 こんな時、助けになるのは地元民! 私達は地元の方の横に並びおっかなびっくり横断に成功しました。ちなみに市内には信号や横断歩道がある場所もありますが、歩行者信号が5秒くらいで点滅し始めたり、横断歩道だけ描かれていて信号がなかったりとあまり役に立ちません。

 さて町中。

 建物の細かい雰囲気はネットで検索してもらうとして、通りはそれぞれ問屋街のように同じ物を売っている店が道を挟んでズラリと並んでいます。おもちゃ通りかと思えば角を曲がると女性下着通りとかその次は靴屋通りとか、そんな感じの町をスマホのナビに従って進みホテルに到着。

 カンカン照りの中、荷物を担いでカートもゴロゴロと徘徊していただけに汗はダラダラ。水浴びして一休みとなったのですが、なんということでしょう。水が出ません。正確には『体温くらいのぬるいお湯』しか出ません。どうやら貯水タンクが熱せられて冷水という概念がなくなっている模様。さらにシャワーは旅慣れためておさんをして「身体の危険を感じるほどの水圧は初めて」というウォーターカッターばりの勢いでした。でも水量は少なく、これでおいおい苦労させられました。

 一休みしてから食事に、となったのですが私にとって休憩とは喫煙も含みます。さっそく喫煙エリアを訊きにロビーへ。受付のお姉さんに「表で勝手に吸っておくれ。灰皿もあるし」的に答えられ、出てみるとその通り灰皿がありました。ここの灰皿は花瓶のような物に白い砂利が盛られた物でした。

 どうやらベトナムは屋内全面禁煙、屋外全面フリーなようです。ただ歩き煙草をしているのは観光客が多かったです。地元の人は一般向けの喫茶店で座って吸うか、原付を運転しながら吸っている方が主で歩き煙草の人は若干しか見かけませんでした。こういう事情もあってか路上の吸い殻は東京より多いですが事前に思っていたより少なく感じました。

 そして日が暮れてから食事となります。

 ベトナム滞在前半に食べた物は「あれ、これどこかで食べたな」という物が多く、とても口に合う食べ物ばかりでした。香草と共にライスペーパーに巻いて食べるウナギも成田で食べたウナギを思い出させるおいしさでした。

 日本と決定的に違ったのはドリンクです。アイスティーを頼んだのですが、甘いのはともかくとして、氷の浮いた上部は冷たいのですが氷の届いていない下部はホットでした。これは多くの店で共通した傾向で、どうやらベトナムでは『お湯で淹れたものに氷を入れて出す』のが流儀なようです。ベトナムビールも常温のビールを氷の入ったグラスに注ぎますし。

 さらにさらに日本と異なる傾向として、コンビニなどで冷蔵庫に入っているドリンク類も日本ほど冷えてはいません。キンキンに冷えたコーラを期待していると、「なんかあんま冷えてねーな」とガッカリすること請け合いです。あまりに冷えた物を飲むと体調を崩すのかなぁ、とか思ったり。

 で! 食事ということはイコールめてお写真タイムでもあります。

 めておさんは食事の度にねんどろいどやfigmaを取り出して撮影を始めます。温かい料理が冷めようと冷たい料理が溶けようがお構いなしに納得がいくまで撮り続けます。不用意に料理に手を付けると怒られます。お出かけフィギュア界の加納典明です。怖いです。

 帰り道。

 着替えは現地で買えばいいだろうという考えで来たのでろくに服がない私達は服屋を探しますがこれが見当たらない。あるのは観光客向けのお店か、女性物のお店ばかり。たまーに男性向けの店があったかと思えば豹柄がこれ見よがしに売られている下着屋だったりします。

 諦めて観光客向けの店で買うことにしたのですが、値札がないので値段が分からない。とりあえず一着買ってみればわかる、という冒険心で旅慣れためておさんがTシャツを購入。価格は40万。つまり400kドンでした。日本円でザックリ2000円ほどです。390㎖コカコーラペットボトルが10k、タバコが一箱27~30kというハノイで400kです。全然安くねーです。

 ベトナムでは交渉力の無いものはボッタくられるという伝説は本当でした。他の店はともかく観光客向けのお店は容赦なくボッタくってきます。

 というのもこの直後、納得のいかないめておさんは再び別の観光客向けの店に挑み、今度は300kドンでの購入に楽々成功。さすがめておさん! 旅慣れてる!

 この観光客向けの店というのは通り一つに一店舗くらいの密度で存在し、置いている商品も「チェーン店じゃなかろうか」というくらい同じ物です。相当緊急事態でない限りこの手の店で買わない方がよさそうです。

久「おお、賑やかだな」

平「毎週末にやってる夜市だよ!」

久「ほう」

平「観光客向けのお店で売ってたTシャツが50kドンで売ってるよ!」

久「よく分からんが……」

平「1/8だよ1/8! 1/8計画だよ!」

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