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給与制度の方向性とは?【 体系4分類・ピアボーナスなど 】



【 昇給なき時代の給与は4タイプ あなたが選ぶべきは・・】(日経スタイルの記事より)

♦ 記事の概略

1 記事の目的

 働き方改革の中で、給与制度の見直しが個々の企業で行われている。改革の現場で起きている給与制度の4つの方向性について説明しよう、という内容です。

2 業種に合う給与体系の説明(4分類)

① 売り上げや市場シェアの拡大が常に求められているビジネスには、流行りのインセンティブ「市場報酬」型が適している。

② 業務の品質や正確さが常に求められるインフラ系には「年功報酬」型が適している。

③ 大手企業は売上・シェア拡大が求められる一方、雇用者は終身雇用を求める傾向が強く「相対報酬」型が合致する。

④ 資格業等の専門職、キャリアアップのニーズが大きい業種には「成長報酬」型が適している。

3 まとめ

もし皆さんが自分にあった会社を選びたいのなら、まずその会社のビジネスが求めるものが何なのかということを確認してみてください。そして自分が会社に求めるものが、キャリアアップなのか終身雇用なのか。その上で、あらためて会社の給与の仕組みを見てみると、今後10年をこの会社ですごすべきか否か、ということがより具体的に見えてくるでしょう。(平康慶浩 ,セレクションアンドバリエーション代表取締役)

(簡潔に記しましたので、詳細はぜひリンクの記事を読んでください。)

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 雇用者のニーズと企業側のニーズ。非常に分かりやすく、勉強になりました。このように図解されると、「なるほど~、じゃあうちの会社は・・」と検討しやすいですね。

♦ 私見

1 社会構造の変化

 グローバル企業は様々な報酬システムを導入しています。

 給与体系自体にも、企業のイメージ戦略、人材育成、方向性を明らかにするためのメッセージ性があるように感じます。

 日本も以前はストック・オプション、最近は譲渡制限付株式報酬等、新たな体系に対応した法整備が進められています。(私の専門である税の分野でもストックオプションは10年以上前に、譲渡制限付株式報酬はH28.29改正で、他の給与と同様な取り扱いができるよう整備されました。譲渡制限付株式報酬は、当時「攻めの経営を促す」というキャッチフレーズで注目されましたね。)。

(参考)両制度をサクッと説明

ストック・オプションは、役員や社員に、自社株を予め定めた金額で購入できる「権利」を与えます。ただし、その権利は、会社で定めた期間(2年間など)は行使できず、それまでは頑張って働いてもらいます。権利行使期間を迎えて、株価がもし上がっていたら、当初の定められた金額で自社の株を買い、高い価格の市場で売却すれば、売却益(給与の意味合い)がその人に入ります。株価が下落した場合には、権利行使しないでしょうから、ストックオプションによる報酬はゼロとなるリスクもあります。
譲渡制限付株式報酬もストックオプション制度と概念自体は同じです。こちらは最初に譲渡制限付株式が対象者を与えられます(厳密にはもう少し複雑ですが)。ストックオプション同様数年は譲渡(売買)できず、それまでは一生懸命働いてもらい、譲渡制限が解消されたら、自由に売買してねというもの。こちらは、ストックオプションと違い、労働の対価として金銭面では無償で株式を得られるので、株価が下がっていたとしても、とりあえず保有して配当やその後の値上がりを期待できます。

(どちらも税制上は、給与となるケース、単に株式の売却となるケースもあり、解説が必要なのですが、解説しだすと、それだけでこのnoteが終わってしますので割愛します。・・本当はこの解説こそが私の本業ですが 笑 )

 インセンティブ型報酬はリスクもありますが、株価が向上した際のリターンもとても大きいです。

 また、制度そのものというよりも、こういった制度が導入されることで、従来の給与体系の見直しも重要視されるようになったという「副次的な効果」があると思います。(うちも、いろいろ特色ださねば!!と。)


2 興味のある給与体系(ピアボーナス)

 以前から「いいな~」「羨ましいな~」と思っていたシステムが【 ピアボーナス 】

 ピアボーナスとは、例えば会社が社員それぞれにポイントを与え、他の社員で頑張っている人や応援したい人に、そのポイントを送る。ポイントを受け取った人は、ポイントに応じた報酬を会社から受けるというもの(あくまで一例ですが)。要は従業員同士で成果給を評価し合うような、新たなインセンティブ報酬です。ポイントを送りあう時は社内チャット上でやり取りするとか。

 なんか、導入している大手さんの記事を見ても、

「〇〇さん、この間の資料、とってもわかりやすかった!ありがとう」(ホイント付与★)
「いつも、助かってます!」(ポイント付与★)

とか。

 こんなキラキラしたやり取り、報酬制度をみると・・ちょっと憧れませんか 笑

 当社のように、常に全員の顔が見え、上司もそれぞれの仕事ぶりをがっつり把握できるような小さな会社には全くもって不要ではあります。(日常的に全員で会話しているので、コソコソ社内メールで「いつもありがとう」なんてやっていたら、それはもはや不・・・自粛)

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 私も大手資格学校で働いていた頃、私は講師でしたが、出版部や人事、各校舎の受付、営業・・いろいろな人と仕事をしました。風の噂とかで、

「出版部の〇〇さんが、いつも岩下さんの原稿が早くて助かっていると言ってたよ」

とか、

「〇〇校舎の受付がフレンドリーで嬉しいって言ってたよ」

とか。

 直接でなくても、そんな話を聞くと、モチベーションが上がりました。愛社精神というかいい会社にいるなと実感できました。

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 インセンティブはあくまでおまけで、そうやってコミュニケーションを円滑にする。経営陣も社員同士で評価されている人材を見つける。非常に良い仕組みだなと思います。


3 まとめ

 税理士として、この時期、お客様から賞与の相談を受ける事がとても多いです。以前は、「資金繰り的に・・今回はこんなもんかな?」とか「他はどう?出てる?」という相談が多かったです。

 その度、「社長、資金繰りよりも業績です。会社全体の業績と、個々の社員の成果双方から考えましょう。」という話をしました。そりゃ、資金繰りが厳しければ、経営を圧迫しますが、考える出発点がそこからでは、社員がついてきません。そんな発想の賞与は、社員にとっても、おそらく「成果」というより、ただ1か月分多くもらったものという形式的な意味合いしかないように思います。

 最近は、世の中の給与体系や取り組みが豊富になったことや、働き方改革でいろいろ見直しされている結果からか、より踏み込んだ相談、報酬全体の改革に対する相談が増えました。

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 今回の記事は、社員側へのアドバイス記事。でも、経営者側も同じく、自社が図表の4分類でどこに属するのか。そして、魅力ある給与体系への改革はどういった方向性が望ましいか

 それこそ最近は、AIに対応できる人材を高い報酬で受け入れるブームもあります。フリーランス、副業者の増加もあります。企業全体ではなく、人材ごとに柔軟な体系も求められるのかもしれません。ここら辺は、差別化、平等・不平等のバランス。その場その場の対応ではなく、よく練って練って、制度化しないと後々大変かなと思います。

 ちなみに当社は専門職なので「成長報酬型」。理想は皆が活躍できる専門家集団になること。だから、社員には・・プレッシャーになりすぎないよう注意していますが、資格の取得を心から応援しています(頑張れっ!)。報酬制度でもそれが伝わればいいな、なんて思います。

#COMEMO #NIKKEI

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