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キャリア戦略としてのダブルワーク【 副業歴10年の私見 】

 ちょっと前から、日経COMEMO企画で「あなたのキャリア戦略のモヤモヤを教えてください」という募集が始まりました。興味のある企画なので、日々投稿を楽しみにみています。

 私は、ありがたいことに、あまりモヤモヤしていません。まぁ、モヤモヤする時期を過ぎたのかもしれないし、今は経営者側として、転職する気は一切なく、自身よりも会社やお客様をどうしていくかに目線が向いているからかなと思います。

しかし、改めて募集事例を読み返すと

●副業の本業のベストバランス、本業でのお給料の上げ方を知りたい。

という項目があり。これは、私の経験談から少し書けそうかなと思い、今回投稿に至りました。

♦ ダブルワークが当たり前の業界

 私は大学卒業後、税理士受験の専念期間(フリーター)を経てから、24歳から資格予備校や専門学校の講師業と会計事務所(現 税理士業)を兼業しています。

 今、「副業」が注目されていますが、私の場合、この働き方が「特殊」だとは一切思っていません。

 というのも、先に講師を始めたのが23歳の時でしたが、先輩方を見ると、「かなりの人数がダブルワーク」の業界だったからです。

① ご自身の税理士事務所を開業しながら、講師業もする先生
② 会計事務所に勤務しながら、講師業もする先生

 もう何十年も前から、この業界では、当たり前のこと。このダブルワークが当たり前のメリットは

① 専属講師の目線(日々の改正内容や、学問的な見解・情報)

② 兼業の実務家講師の目線(改正内容の実務への影響、実務上で話題となっている情報)

 この2つの視点が、交流することで、学問的かつ実務的に重要な箇所が導き出される。そんな相乗効果だと思います。

 また、受講生側にとっても「あの先生は実務家だから、勉強以外の仕事の話もあってお得感がある」など、結構、実務家講師というブランドもニーズがありました。最近、大学でも、実務家出身の先生が増えているという記事を見た記憶があります。この風潮も学問だけでなく、現場の知識という意味でニーズがあるのだろうと思います。

♦ 副業が武器になる

 講師業の業界では「税理士兼講師」は多数いますが、逆に、税理士の業界では「税理士兼講師」は極めて少数派です。

 私の所属する税理士会の高崎支部も約300名の税理士がいますが、「税理士兼講師」とか、もっとアカデミックな「税理士兼教授」の先生は、知っている限り5人いるかいないかです。(教授とか学問系のお仕事をされている先生は本当にすごいな~と思います。)

 そのため、良くも悪くも、税務に関する原稿依頼とか、セミナー関連の依頼が「肩書き」だけでも結構あります。

 まあ、でも一番の武器は、人前で話したり、分かりやすく伝えることが「必然的」に求められる環境で、努力できること、経験できること。すなわち、他の人と違う環境で自己を高めることができる事だと思っています。

 まだまだ未熟者ですが、私自身の自己ブランディングは、「伝える能力を有する税理士」。そんなのは上には上がいて。また、もっと能力をあげるのに効率的な方法もあるかもしれませんが、自分なりに現状の仕事や生活のバランスを重視した上で、キャリア戦略をしています。

♦ 目的は何か?

 副業をするうえで、最も重要なことは「目的はなにか?」ではないかと思います。

① 私は、第一に「やりたい仕事」だったこと。

② そして、ダブルワークが「双方の仕事に相乗効果を生む」という事。(これは、何年かやってみて実感しました。)

 収入の面は、あまり目的としていません。(・・いや、家計は大変なので、副業があることは助かってはいますが、「目的」ではないです。)


♦ 今後のこと

 実は、私が講師をしている専門学校もカリキュラム改革等があり、次期から私が受けもってきた授業が無くなります。ですので、自動的にダブルワークでは無くなります。

 好きな仕事なので、寂しい気持ちも強いですが、悲観的には思っていません。

 今後も、縁があれば、そういった仕事へのアンテナも張っておこうと思いますし、何よりも、この約10年の経験は、本業だろうが副業だろうが、私のチカラになりました。

ダブルワークをしているという肩書が、ブランドなのではない。

経験を積んできた自分自身がブランドなんだと思います。

●副業の本業のベストバランス、本業でのお給料の上げ方を知りたい。

 この問いへの私なりの答えは、副業がどのように自分を高め、その高めた能力をいかに本業で発揮できるか。ベストバランスは、本業の勤務先によると思いますので、私はなんとも言えませんが、「給料の上げ方」は結局、肩書ではなく、自己を磨き上げた結果が評価されるものだろうと思います。

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あと、ダブルワークする際には、どうしても「時間」が犠牲になります。

 私は、「本業」「副業」「家族」の時間を確保しました。そのかわり、もう1つ興味のあった「社会活動・地域活動」は断念しました。地域活動を一切していないわけではないですが、同世代がお祭りの運営や町おこしとかやっているのを見ると、私もこのままでよいのか・・と思う時があります。しかし、あれもこれもとやってしまえば、どこかが疎かになる

 優先順位なく、仕事と家族は絶対に疎かにできない。だから、「時間」の確保はおそらく「本業」だけの人よりも真剣に考えてきたと思います。

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♦ まとめ

ダブルワークをまがりなりにも、10年やった身として一言助言をするとすれば・・

① 副業する「目的」
② 充てることになる「時間」

 月並みな意見ですが、この2つをよく考えることが成功の秘訣ではないか、と思います。どういった方向性で成長していきたいか。どういった武器をもちたいか。時間は確保できるか。確保するために犠牲となるものがある場合、それについてどう考えるか。

 ・・結構、副業始めると、交流関係も増えるわけで、当初想定していた勤務時間だけよりも、費やしたい時間が増えるはずです。勤務時間だけで、成立すると思っていたら、交流する時間も欲しくなった。でもキツキツ。あぁモヤモヤ。私も当初たくさん経験したモヤモヤです。

  また、家族など、自分のキャリア戦略を伝えるべき存在には、どういった目的で、時間についても勤務時間だけでなく、交際時間や準備時間など含めた総合的な目安を伝えた方が良いでしょう。やはり応援してもらえる環境作りが一番!

   ちなみに、私の会社の社員が同じようにダブルワークを求めてきたら。率直に嬉しいです。お、給料減らせるじゃん、ではないですよ笑! 先に書いたように、副業で得た知識、能力がその人を高めてくれる、また、会社にも新しい考えを提供してくれる。新たな発想の人間を雇用するのではなく、今いる社員がそれも担ってくれると考えたら、とても魅力的です。相談があれば、やはりその社員にも、「目的」と「時間」を確認した上で、応援したいと思います。

  余計、モヤモヤさせてしまったらすみません。以上、社会人をほぼダブルワークで過ごしてきた人間の私見でした。

※ ダブルワークもいろいろなケースがあると思いますが、あくまで今回は「キャリア戦略」の目線で書きました。

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(参考)イベント:キャリア戦略大相談会

このイベント、いいな~。トークセッションの方を見ただけで、面白そう。あと10年若ければ・・(というか、もう相談受ける側になれってことですよね 笑)。

#キャリア戦略大相談会

#日経 #COMEMO

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