あおいさばく
何もない暗い砂漠の上に1人で立っている。
足元には砂しかない。
どうしてここにいるのかもよくわからない。
遠くには光る雲、人々の焚き火も見える。
どちらも遠くて、歩いて辿り着ける気がしない。
1人で暗闇の中、当てもなく歩くと、遥か遠くに煌く雲が、よく見えた。
時たま、流れ星が光るが、速すぎて、一瞬で見失う。
美しい星がどこに落ちたのか、誰の元へ落ちたのか、思うだけで身体は動かない。
勝手に羨むだけ。
またある時、灯火を分けてくれる人もいた。
喜んでいるうちに、砂漠の風に揺られ、火が消えてしまう。
火が灯っていたそれを、握りしめたまま、また動けない。
よく見ればすぐ近くに、焚き火を囲う人たちがいるのに、遠くにいるように感じて、どうやってそこに行けばいいのか、わからない。
暗い砂漠で吹きさらされてるわたしを受け入れてくれるんだろうか。
流れ星はどこへいくんだろうか。
焚き火が強すぎると、雲を見失わないだろうか。
誰が喜んで、誰が苦しむのだろうか。
あの遠くにある、大きな光る雲にどうやって辿り着けばいいんだろうか。
1人では無理だ。
前もこうして1人で歩いていた気がする。
雲に向かって歩く途中、手を差し伸べられたから、神の啓示だと思って、そこへ行った。
仲間と思える人が集まっていて、居心地が良かった。
遠くにある雲にも、近付けるんじゃないかと、希望が持てた。
いろんなものが手に入ったような気がした。
神なんていなかったけど、そんなことすらどうでもよかった。
長いことそうしているうちに、この砂漠の暗闇を忘れてしまっていた。
生ぬるい風が吹く暗い砂漠。
灯りを消してしまう風を、誰が、塞いでくれ。
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