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写真と思い出

 ここ1年くらい時々山の話をしにある親方のところに通っています。親方は私が撮った写真を1枚か2枚見るのを楽しみにしてくれています。私は親方が昔撮影した写真を現像したアルバムを見せてもらうのを楽しみにしています。親方が思い出と一緒に大切にしている写真だそうです。大きく印刷された北岳の写真や八ヶ岳の稜線の写真はとても迫力があります。写真屋さんに現像してもらったそうです。

 毎度スマホで写真を見せる私に親方は言いました。「今度はプリントして持って来いよ!」。70歳代で私よりITに強い親方は、現像した写真に価値を感じているのだろうと思いました。

 そこで、今まで撮った写真から1枚選んで現像してみることにしました。多くの山行を思い出しながら選んだ1枚は、初めて常念岳に登って初めて近くで槍穂高を見た時の写真です。 自分はろくに見ぬまま親方に見せに行きました。ひたすら見ながらいい写真だとたいそう喜んでくれるので、そんなにいいものかと私もよく見てみました。落ち着いて静かに見ていると、ここにいたときに感じていた空気感や、この山行の記憶が、鮮やかに思い出されてきました。少し驚きました。

この1枚を見ていただけです。現像した写真が、見る人に対してだけでなく「撮った人」に対して発揮する力も感じました。


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