軟式ボール直撃した感触に何て名前をつければいいんだろう

軟式ボールがデコや眼に直撃すると、
鼻の裏側あたりからスーンという感覚が口の中に抜ける。
何故か冷んやりしたその不思議な感覚を、俺は「白」そのものが身体の中に入ってくみたいだと思っていた。
クソ下手っぴな中学野球部の頃の思い出。

名前がない感覚ってのはある。
説明しようとする時に、「あ、あ、」って言葉が出てこない時。
あれは、胸の中のモヤモヤを、表す言葉がないんだろう。
何通りかの言葉が、俺のモヤモヤを表せるはずがない。
ない、ない、本当にないんだろうか。

この人生で最も嬉しいことの一つに、俺は今、名前をつけることができる職業についている。
まだ、誰も見つけたことない感情に、名前をつけられる。
「めちゃめちゃ生きてる」って言葉を与えた瞬間に、沸き立つものがある。共有できるものがある。

名前ってのは大事だ。
先日、BLITZでライブをすることがあったけど、あの会場のことを「マイナビBLITZ」とは呼べなかった。
なんかキモいから。
生まれつきそうじゃない名前、何にも根ざしてない名前ってちょっとキモい。
「高輪ゲートウェイ駅」なんてもんを許すべきじゃない。
じゃあ、なんて呼べばいいか。
知らん。俺に聞くな。

元号なんてクソどうでもいいと思ってるけど、「令和」が発表された日、人々が話題にするのはしっくりくるかしっくりこないか、だった。
しっくりこなかったって思った人は、この時代にとって「令和」って言葉がなんかキモかったんだろう。
「キモい」って言葉は、「平和」とか「冷蔵庫」と同じくらい大事な言葉だと思う。

俺の名前は想太。
親は俺に何かを強いないが、「想」という言葉をどうしても使いたかったという。

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