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第40回 【改訂版】アニメ セロ弾きのゴーシュと高畑勲展

まずは、前回36回 アニメ セロ弾きのゴーシュと高畑勲展 のリンクを張ります。ここに、アニメ作品と原作を再度読んでを大幅に見直し、同時に第二回目鑑賞の感想を追加したものになりましたので、【改訂版】として投稿いたします。


高畑勲展鑑賞

 先日、9/30から始まった、#岩手県立美術館 #高畑勲展 を見てきました。#かぐや姫の物語 が最後となった、日本のアニメ界の巨匠ですが、何といっても、#宮沢賢治 と縁が深いのは、#セロ弾きのゴーシュ ですね。事前情報で展示があると聞いて訪問しました。当然、#アルプスの少女ハイジ、#赤毛のアン、#母を訪ねて三千里、#火垂るの墓、#おもいでぽろぽろ、#かぐや姫の物語等々とても1時間くらいでは見ることはできません。
時間の都合もあり、#セロ弾きのゴーシュ、#おもいでぽろぽろ、#かぐや姫の物語 に絞って見てきました。

美術館にて

あまり詳細を書くにもいきませんが、#セロ弾きのゴーシュ のコーナーはそれほど大きくありません。当時の資料の展示と、予告編の動画を流している状態でした。それでも、母を訪ねて三千里などと跨いで、五年の制作期間であったことには驚かされます。そして売店には、小冊子、#セロ弾きのゴーシュ 新劇場版 があり、これは希少と思い購入しました。確かに再編集されたパンフレットになっています。下記は同じではものの、ジブリがいっぱいシリーズ予告編です。


クレジット

美術館で改めて、アニメ、#セロ弾きのゴーシュ にも興味が深まり、自宅に戻ってからDVD #セロ弾きのゴーシュ を購入することにして、15年以上ぶりに鑑賞しました。主要クレジットは下記のとおり。

企画:小松原一男・米川功真
製作: 村田耕一
原作:宮沢賢治
監督・脚本:高畑勲 
キャラクターデザイン・原画 才田俊次
音楽:間宮芳生
べートーヴェン「交響曲第六番へ長調」
間宮芳生 指揮 東京室内楽協会岩城宏之 指揮 NHK交響楽団「インドの虎狩り」「愉快な馬車屋」他 
美術:椋尾 篁
題字:宮沢清六
監修:宮沢清六、堀尾青史、天沢退ニ郎
日本映画/企画・制作オープロダクション作品
1時間3分 公開1982年1月23日 (配給: オープロダクション)

賢治ファンとして目を引くのが、題字:宮沢清六。監修:宮沢清六、堀尾青史、天沢退ニ郎 といったところでしょうか。そこまで深く、宮沢家、宮沢賢治研究家が関与していたとは知りませんでしたね。
また、昨年2022年が、制作40周年にあたり、再度劇場公開されており、再度小冊子、パンフレットが作成されたのだと知りました。ご縁があってのパンフレットだったのは驚きです。
DVD付属の冊子で気になった事がありました。1980年、一旦完成し花巻文化会館で約1500名が鑑賞。#宮沢清六 さんも鑑賞したそうです。その後若干の手直しがあり、1982年一般公開になったということ。経緯として何処が変更になったのか、興味深いと思いました。

アニメ作品と原作を再度読んで

ここからは感想になります。皆さんの方が詳しいと思いますが、原作では、「第六交響曲」としかありませんが、アニメでは、賢治さんが好きだったベートーヴェンの、交響曲第六番田園が使われています。また、作品中の「インドの虎狩り」等も実際にきちんと作曲されていて、作品全体として音楽を重視しており、かなり手の込んだ作品であることが分かります。音声を先にとって、セロの指の動きは音楽に合わせて作画するという非常に手の込んだ手法をとっています。キャラクターデザインの才田さんは実際セロ奏者にセロの弾き方を習いにいったそうです。そうした努力により、自然な形で音楽を奏でているところがこの作品の名作たる所以だと思います。
実際原作を再読しましたが、自分は約15分くらいで読み終えて終いました。音楽が想像できない貧困さもあり奏でている音楽が予想もつかないからです。この原作、#セロ弾きのゴーシュ のアニメ化は、#高畑勲 監督の慧眼であると思います。自分は、#高畑勲 監督の63分のアニメ世界を通して宮沢賢治原作を楽しむことができます。そうでもなければ、ゴーシュが動物たちを相手にひたすらにセロを弾き心の交流をするところをイメージできなかったでしょう。
今からすれば、美術、作画等に関してはCGもない手書きの時代。よく描ききったと思います。夜の風景は何処か墨絵のような背景で郷愁を感じさせ秀逸だと思います。演出には異論はあると思いますが、原作を尊重した名作であることには間違いありません。鑑賞するには、サブスクにも無く鑑賞は難しいと思いますので、ぜひ購入して楽しんでください。最後に、「インドの虎狩り」のリンクを掲載します。皆さんのイメージと比較してみてください。

第一回鑑賞後

DVDの特典、インタビューを見ましたが面白いです。おもいでぽろぽろの後の頃らしいですが、実際、#高畑勲 監督のインタビューがあり、#セロ弾きのゴーシュ への熱い思いを語っています。#高畑勲展 の会場で、予告編の映像を映していましたが、それはDVDに収められているオープロダクション時代の予告編でした。主人公をあえて青年に設定し、動物たちと心の交流をすることで縮こまっていた心の解放をする。その事で急激に技術が向上するのは青年の特権なんだと語っていたのは印象的でした。ぜひ、DVD購入して、インタビューもご覧ください。

高畑勲展第二回目鑑賞

11/3 妻を連れて #高畑勲展 第二回目の鑑賞をしました。前回より時間かけて2時間程鑑賞しました。経歴で目を引いたのが、東大仏文卒。 同窓といえば、太宰治(中退)、大江健三郎、蓮実重彦、天沢退ニ郎となります。このことは紫綬褒章受章以上に文学熱を感じ取ることができると思います。
そして、アルプスの少女ハイジ、母を訪ねて三千里制作での海外ロケハンの様子が、若き宮崎駿と共にスライドに収まっていて、インタビューで、「宮沢駿さんがいなければここまで来れなかった」という趣旨の話もされていました。全くその通りの展開であったと思います。作品の演出についても多いに若き宮崎監督とやり合い互いに刺激しあったことでしょう。
また、美術監督にも再度注目して見ました。セロ弾きのゴーシュで美術をやった、椋尾篁さんが同時進行で制作したという、#母を訪ねて三千里 を見ると、やや角ばった印象の洋画風の背景でそれはそれでとても美しいのですが、朝夕夜の光の加減という点ではやや単調な印象でした。ですが、セロ弾きのゴーシュDVD インタビューを見てから、セロ弾きのゴーシュの背景を見てみると、インタビュー通り水彩画で朝夕夜と見事に描き分けています。単なる墨絵風ということではありませんでした。この事も作品の美しさに影響を与えているのだと思います。
セロ弾きのゴーシュ作成時、カッコー通信というものを作っていて展示してあります。高畑勲がクラシック音楽について書いたエッセイがありました。クラシック音楽にも親しんでいたことが分かります。だからこそ、ベートーヴェンの田園交響曲を使っていけば映画作品になると選択したんだろうと思いました。文学作品では数行で終わる部分でも、音楽ならば余韻を含めてというべきなのか分かりませんが時間を当てて作品に映像の肉付けができるというわけです。
その他高畑作品についてもじっくりと鑑賞でき、再度鑑賞にいって非常によかったと思いました。

特別コーナー 高畑勲と宮沢賢治

此処は前回見落としました。最終の出口右側に、岩手県立美術館独自企画 特別コーナー 高畑勲と宮沢賢治  があったのです。こちらは鑑賞に行かれた方は見落としのないようにぜひご覧ください。高畑勲と宮沢賢治の繋がりについてまとめてあります。さわりだけ話しますと、最初に宮沢作品の映画化を検討したのは、『貝の火』で、1960年4月に『貝の火』を元に記したシナリオ風プロット『もらった宝石』を初めて観ました。その他高畑勲と宮沢賢治に関する資料を展示しており、賢治ファンにとっては楽しい空間になると思います。

追記

セロ弾きのゴーシュグッズの案内です。自分が初回10月上旬鑑賞時は、新劇場版パンフレットのみでしたが、クリアファイル、ポストカードが追加されていました。セロ弾きのゴーシュファンはぜひご検討ください。
また岩手県立美術館売店でも、キネマ旬報高畑勲等、企画展売店で取り扱わないものもありますので覗いて見てください。


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