表紙06

【雑記】はじめてのゲーム会社設立

イクシールというゲーム会社を、13年程前に作りました。
もうすぐ第14期目に突入する小さなゲーム開発会社です。

この会社を作った理由は単純明快。
ゲームを作る会社として、純粋にゲーム開発に打ち込める理想の環境を作りたかっただけです。
クリエイターにとって理想の会社を作ろうと。

初心忘れるべかるずということで、設立時に考えたアレコレを書いておきたいと思います。


会社を誰と作るか?設立メンバーを集める

イクシールの設立メンバーは、わずか三人でした。
職種的な内訳は、

・プランナー(兼プログラマー)…1名
・プログラマー…1名
・デザイナー(兼ディレクター)…1名

というような感じです。
なんとなくバランス的には良いような気はします。
(デザイナー(兼ディレクター)というのが、私のことです。)

この三人は、何度も同じプロジェクトで修羅場を乗り切ってきた戦友でもあります(どんな困難に対しても、共に立ち向かって乗り越えてきたという信頼関係はとても大きいです)。
腹を割って言いたいことを言い合える仲間です。設立メンバーとして、この三人で意気投合し、タイミングを合わせられたのは理想的でした。

ただ、三人とも開発畑出身で、経営ノウハウゼロのド素人です。
経営ノウハウどころか、お金も有りませんし、後ろ楯となってサポートしてもらえる存在もありません。
当時、勤めていた会社を辞めて、新しく会社を作るわけなので、ご迷惑をおかけしてしまっている方々が存在します。勝手に三人で会社を作ったわけなので、まずは自力でしっかり立てるようにならないといけません。


拠点となる事務所を構える

最初の事務所は、社長の自宅兼事務所という、狭いマンションの一室でした。朝早くに出社して、襖を開けると社長がイビキをかいて寝ているというような環境です。お昼と晩は、社長の作る男の手料理を三人で食べます。

ある意味、ゲーム開発に必死に打ち込んで結果を出さないと、お給料も出ないので生きていけないという背水の陣のような環境です。(たしかに、仕事に打ち込めるものの、思ってた理想の環境と違う…!)

駅からも少し離れており、駅からバスに20分ほど乗らないと事務所にたどり着けません。

ただ、自分達の力だけで構えた小さな事務所なので、不思議と何となく楽しかったりはします。

まあ、何事も最初から上手くトントン拍子で進むわけもないので、前向きな気持ちを持ちつつ、色んなことに苦労しながら、理想を目指して一歩ずつ歩いていくしかありません。


会社としての考え方、企業理念を考える

せっかく会社を作るのであれば、とことん理想にこだわろうと思い、そのことを前提に、企業理念というものを考えてみました。

・会社を創るのは人であり、会社=人なので、経営者である役員は、自分達のことよりも従業員のことを第一に優先して考える。
・できるだけ長く安定して勤められる会社を目指す。
・良好で円滑な人間関係を形成できるよう、コミュニケーションを大切にする。
・イクシールという会社に関わる全ての人の幸せを目指す。
・従業員一人一人の成長、組織として会社の成長を考える。

…といったところでしょうか。
会社という組織作りに対しての、内向きの企業理念ですね。

これらの理想を掲げつつ、日々試行錯誤しながら、会社経営を行うことになります。同じ目標を持って同じ方向を向き、同じ方針を持つことがとても大切だと思います。


どんな仕事をする会社にするか

三人は、それぞれアーケードゲームやコンシューマゲーム開発しか経験がなかったのですが、三人で今までと同規模のゲームを開発するのは、さすがに厳しいものがあります。

とはいえ、三人とも職人肌のクリエイターなので、外部に開発を委託してディレクションのみを担当するというのも好みません。自分たちで作りたいから会社を作ったわけなので。

では、この新しい会社では、どのプラットフォームのゲームを開発するのか?

技術的にも規模的にも対応できそうなゲーム開発として出会えたのが、フィーチャーフォン向けのゲームアプリでした。

ゲームとしての規模は小さいものの、オリジナル企画が比較的通りやすく、ゲームの内容もパズルゲームからRPGまで幅広く存在しており、ゲーム開発の楽しさを改めて実感できる仕事ばかりでした。

少人数での開発になるので、自ずとデザイナーやプログラマーは、職種の枠を越えてそのゲームに必要な作業を担当することになります。
ゲームのために、できることをできる人がやる、という発想です。
プログラマーがシナリオを書いたっていいし、デザイナーが仕様書を書いたっていいんだと実感できるいい機会になりました。


会社の名前を考える

最終的にイクシールという名前に決まるわけですが、役員三人でアイデアを持ち寄り、数日かけて検討しました。
こればかりは正解があるわけではないので、どう決定させるか悩みましたが、最終的には、代表である社長の案にするのがいいだろう、ということで、イクシールに決めました。

結果的に、イクシールという社名が正解で、イクシールという社名に決まって良かったように思います。

アルファベットで表記すると、IXILLになります。
IMAGE(イメージ)とEXPERT(職人)とWILL(決意)の組み合わせによる造語です。
当時は、同じ社名のゲーム企業も存在しないようでした。独自性も有って、良いと思います。アルファベットの並びも良いような気がします。

IXILL

しかし、最近、似た感じのアルファベット並びの企業名ロゴを街中でよく見かけるようになりました。CMでも見かけます。
さすがにこればっかりは予想できないので、もう仕方ないですね…。


会社紹介資料と名刺を作る

できるだけ早くゲーム業界でお世話になった方々に、会社設立のご挨拶が必要です。
その為には、どんな会社を作ったのかという会社紹介資料と、連絡先を記した名刺を用意しなければいけません。

会社紹介資料には、

会社概要
設立メンバーのプロフィール
事業内容

を、書くわけですが、まだ実績ゼロの会社なので、内容的にはシンプルな書類になってしまいます。

勿論、お金が無いので、会社紹介資料も名刺も自分たちで作ります。

どんな会社なのかが、できるだけ書類からも伝わりやすいように、この会社のイメージもしっかり考えておく必要があります。

・社長が沖縄出身
・社長が恵比寿顔
・社長が料理得意
・アクションゲーム開発が得意なベテランが揃っている

最初は、これぐらいしかイメージが持ててなかった気がします。

不器用で地味で手作り感のある素朴な小さなゲーム開発会社であることは間違いないので、ありのままで、変に無理して背伸びしないようにしようと思っていたので、そんなテーマで会社紹介資料や名刺の用意を進めました。


営業活動開始。お仕事をください!

会社を作ってもお仕事が無ければ、すぐに潰れます。設立メンバーに貯金があるわけでもないので、ゲームの開発資金もありません。

開発資金が無いということは、オリジナルゲームを開発して、各社に売り込みの営業をかけることもできないので、受託のお仕事をいただく必要があります。

まずは、営業してイクシールという会社を売り込まなければいけません。
様々なゲーム会社様にメールをお送りし、アポが取れれば、お伺いしてご挨拶させていただきました。

段ボールの空き箱の上に置かれた電話機からも、色んな会社に営業のお電話をかけさせていただきました。

人手が足りず困ってそうなゲーム会社さんを狙って、求人サイトに掲載している企業様にもたくさんメールを送りました。

ありがたいことに、実績ゼロのたった三人のゲーム開発会社に対して、丁寧な御返信とお仕事を御相談をいただけることもあり、 そういった企業様とは今もお付き合いが続いていたりします。

また、幸いにも三人の中の一人が、フィーチャーフォン向けゲームの大手開発・運営会社様と繋がりを持てていたので、そこから記念すべき最初のお仕事として、二本のゲームアプリ開発のお仕事をいただきました。

それが、3Dモデルを使った釣りゲーム「にゃんころ ~不思議なフィッシング~」と、トランプゲーム「天使のソリティアDX」というフィーチャーフォン向けのゲームです。

全力でお仕事させていただき、納品完了後に三人で食べたしゃぶしゃぶは、格別でした。


大切なこと

ということで、会社設立時のアレコレを書いてみましたが、会社を経営してきて、本当に大切に思うのは、たくさんの方々から支えていただいて、たくさんの奇跡の積み重ねで今も存在できているということです。

そのことに対しての感謝は、絶対に忘れてはいけません。

イクシールというゲーム開発会社は、もうすぐ14期目に突入するわけですが、相変わらず不器用な会社ながらも、17名に増えたスタッフと共に、日々コツコツと前を向いて歩み、成長を続けています。

イクシールの考える理想の実現もまだまだ途中です。作りたいゲームも山のように存在します。

相変わらずな会社ですが、皆様、今後とも何卒よろしくお願いいたします。


★イクシールのホームページ★
http://www.ixill.net/

★BOOTHのイクシール通販サイト★
https://ixill.booth.pm/

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