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2024/04/07 シャビい看板を青い光線の中で眺めて

椎葉村に来て一週間経った。昨月末から本当に慌ただしく、この一週間様々な手続きや生活リズムの変化もありかなり疲労感があったので土日はゆっくり休むことにした。

朝方、まだ日の昇らないうちにぱっと目が覚めて、天井裏でカリカリいう音が激しい。
昨日コメリで買ったハタキの柄で天井を叩いて回ると静かになったけど、すっかり目が冴えてしまった。
また布団に入って眠るとも眠らないともしていると、外が明るくなってきて明け方のあの世界が全部青い時間がやってきたので嬉しくなって起き出す。
窓から見える新緑の杉木立とその向こうを流れるエメラルドの川が青く染まっている。

住んでいる場所は竹の枝尾という不思議な名前の地区で、嶽枝尾神社というのが近くにあると聞いたので歩いて行ってみる。
しかし神社の入り口がわからず、雨と霧に煙る山と川を眺めて満足して帰って来た。

この暮らしの中でまだやるべきことや、やることの方向性がハッキリ見えず慌ただしく落ち着かない気持ちで暮らしている。
どうにも忙しい気を落ち着けたくて、夕食後に去年台北で買って来た烏龍茶を飲むことにした。
さいちゃんに連れてってもらったあのお茶屋さんでしてもらったように、蓋付き茶碗に茶葉を入れて茶海に移し、小さなお猪口で飲む。
飲む前に茶碗の蓋の匂いを嗅ぐ。
ぶどうを思わせる、と書くとまるでワインだけれど、本当にそんな香のするフルーツのような瑞々しさで一気に想念が地に落ちたように頭がすっきりとした。

外に出ると夕方の、あの全てが青い時間で、一日に二度もその青さを見ることが出来て幸せだった。
お借りしている建物は古い商店兼民宿跡で、外にその看板がそのまま残っていてとても気に入っている。
そのシャビい看板を青い光線の中で眺めていたら、遠くからニャーニャーニャーと話しかけられた。
車の下に三毛猫がいて、こっちにめちゃくちゃニャーニャー言ってくる。
近づいて一進一退の攻防を繰り広げて、うまく双方の折り合いがついて、しゃがみ込んでいる私の手足や腰に体を擦り付けてくれるようになった。
尻尾の根本をケガしているようで、そこだけ毛が禿げている。

ちょうど今朝Discordで、天井のネズミ退治には猫を飼うのがいいというやりとりをしていたので、家に招き入れたい。
玄関先でもまた一進一退を繰り広げて、土間まで入ってくれたけれど、日が落ちた外の空き地をじっと見つめていた猫は突然外に走り出て、何かを狙うように姿勢を低く、山の斜面を登って去った。

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