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弓取式と新幹線車両基地の夢

神社のようなところで、相撲の弓取式の振付を教えてもらっている。
そこにはたくさんの人がいて、みんな弓取の初心者だ。

教えてくれる人は、木刀を持ってこうきてこうきてこうみたいに見せてくれる。
最初はおおざっぱな型でいいので、まずやってみて慣れていくものだそうだ。
私もみんなも木製の舞台のようなところで、木切れを片手に要領をつかめないまま、それを振り回している。

背後には土俵と思われる建物と、その正面にコロッセオのように広大な雛壇がある。
土俵というよりは、社殿といった建物だが、その建物の天井に近い位置の奥から角材がこちらめがけて降ってくる。
とてもゆっくりと何本も、とても長く様々な形の角材が舞台に降り注ぐ。

先ほどの弓取指導員が、怖がらなくていい、身を任せていれば傷つくことはないと言うようなことを言っている。
角材はどれも鋭い切っ先だが、確かに体にあたる衝撃はどすんとしたもので、痛くないし刺さったりしない。

私は体を伏せて、腕で頭を囲い、衝撃に身を任せた。
視界すべてが細長い角材となって、こちらに向かってゆっくり動く。
白木の色と直線で構成された抽象画を見ているようだった。

視界は真っ暗になった。
体は何かで固められていて呼吸をしていないが、苦しくはない。
重さに耐えながら、ゆっくり立ち上がると、上半身は濃いグレーのコンクリートで固められて、丸い饅頭のようなものに入っていることが分かった。
私は思い切り上半身を仰け反らせて、体ごと地面に叩きつけると、コンクリートが割れて自由になった。
破片が地面に散らばり、生まれ変わったような気持ちで息をして、後ろを振り返ると、舞台に同じ濃いグレーの人ひとりが入る饅頭がたくさんあった。

すぐにそれらも起き上がり、私と同じようにコンクリートを打ち砕いて人が出てきた。

そこで、なにがしかの達成感を得て、一度目が覚めたが、コンクリートの饅頭を打ち砕いた感触が気持ちよくて、またうとうとしていた。
すると短い、次の夢に入っていく。

私は今住んでいる場所の近くの、新幹線車両基地の傍を歩いている。

夜の景色で、基地に沿った側道の真下に、何もないコンクリートの深く大きな空間が、オレンジの街灯に照らされて見える。
ここから落ちたら死ぬなと思うが、ただ落ちるだけでは足りない気がして、何か重いものを抱えようと考える。
すぐに思い立ったのは、平尾の二本木で買った三浦くんの大きな壺。
その美しい緑と黒のチェック柄の壺を抱えて、下の空間に落ちていく。
地面に落ちた瞬間、衝撃で壺は粉々に砕け散る。

少し間があって、私は私が起き上がるのを上の道路から見ている。
動いて歩き出す自分を見て、よし、よくやったという感触が残り、また目覚めた。

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