力仕事ができるようになりたい

深夜の仕事が終わり、朝になっても霧がかかっていた。
これが旅先ならなんかテンションが上がるけれど、
仕事先だとほんと気持ち悪い街だなとしか思わない。
わたしはやっぱりこの街が嫌いだ。
往復1000円以上の交通費をかけてまでここに来る時は、間違いなく金欠の時だから。
できればこの街には来たくない。何にもないし。



そしてわたしは本当に、

倉庫業は向いていない。



以前600ミリのペットボトルのケースを持ってぐらついてダンボールを破いてしまい、
破損になったことがある。
プライベートで購入した時も玄関で同じように破けてしまったので、
600ミリ✕24本=14.4キロを持つのはわたしには厳しいのかもしれない。


今日は深夜の仕事というのもあったのか、
身長より高く積まれた商品の入ったカゴを2つ運んでいたら柱にぶつけて倒してしまった。

今日の現場は慣れている人が多く、
「無理して2つ運ばなくていいから!」とか言ってくれるような現場ではなかったのだ。
土台のタイヤもなんか癖があって思うようには動かないし、
カゴが高く積まれすぎて前が見えないし、
慣れない現場でどこに柱があるかわからない。
それで慣れている人達に遅れずに作業をするのはわたしには無理だったみたいだ。
(みんな優しかったのが救いではある)


着いた時から、他にも女性はいたのにどうしてわたし一人だけ男性と同じ冷凍庫での作業を命じられたのかも謎だった。
わたしがタイミーで働く時はこういうのが本当に多い。
来た時には女性がいたはずなのに、
気づくと周りには男性しかいなくて、
「ここに女性が来たのは初めてですよ」なんて言われたこともある。
わたしそんなに力ありそうに見える?
それとも男に見えるの?



しかし162センチ48キロ、
運動経験一切無しのずっと帰宅部、
早生まれで子供の頃からずっと実家暮らしのアラサー女が、
テキパキと男性並みに働けるはずはなく、
結局今日のようにご迷惑をかけてしまう。


まだ工場の仕事の方が良いのかもしれない。
しかし力仕事のない工場は、
たいていおばちゃんばかりでタイミーへの言い方も扱いも大体キツいのだ。
工場より倉庫のおばちゃんの方が優しい気がする。
食品工場、それもお惣菜とかパンとか一見美味しそうなものを作る現場はたいてい人の質が悪い。
男の人と働く方が肉体的には厳しいけれど、
精神的にはだいぶ楽なのだ。
だからわたしはタイミーで倉庫に行くことが多い。


でも今日の現場は本当にキツかった。
できればもう行きたくない。
前来た時にも思ったけれど。

ダンボールにかかっている硬いバンドを切る作業もあったのだけど、
わたしはそもそも力がないしカッターの使い方もきっと下手なのだろう、
絶望的にできなくて全く作業が進まず、
結局ほとんど社員のおじさんが切ってくれていた。
切ったバンドを抜く方にまわってと指示され、
それもまぁまぁ力が要るので、
最終的にはカゴの整理整頓係をやってくださいと言われてしまった。
バンドはたいして切れなかったはずなのに、
さっき軍手を取ったら指の皮が剝けて血が出ていた。引っ張る時にカゴに指をぶつけまくったからたぶんアザもできているだろう。
軟弱すぎて情けない。



わたしにもっと力仕事をする能力があったらなぁと思わずにはいられない。


そしたら引っ越しやゴミ収集の仕事もできて、
もっと稼げるのに。
タイミーだって田舎は結局倉庫や工場だから、
男性限定の仕事が意外と多いのだ。
なんでこんな軟弱な女に生まれてしまったんだろう。
痩せていてもモテるわけでもないし、
守ってくれる男性なんてひとりもいない。

やっぱり人間、稼げるほうがいいに決まってるのだ。