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モロアキドミチ...…商人道         カムナガラノミチ 14            【直観物理と相似象 その 32】 

 カムナガラノミチの最後の部分では、モロアキドミチ(商人道)が対象となっています。今日の、儲けを狙って大量生産と宣伝を行うのが主体の資本主義の経済世界と比較したら、カタカムナのサトリにおけるアキナヒ(商)とは、たいへんささやかなものとして捉えられそうですが、カタカムナではモロアキドミチ本来のナリタチは、「消費」を先に考えたものであります。そして、現代人の発想の根源にある欲望とは異なり、彼らはアキナヒといえども、天然のナリに基づくことが大原則であると考えていたようです。
 何事においても、目先の利益や自分のみの利益を考えるのではなく、他のため、人の為を優先する精神が、この商人道にも貫かれています。このような考えを持ち、心からそのように振る舞うことを良しとする点において、上古代人の精神性は、実に崇高なものであったかという事が、ここにも見ることができるのです。


第97句 マギ ナガレ(需要供給の流れ)

カムナガラノミチの最後の部分では、モロアキドミチ(商人道)が対象となっています。今日の、儲けを狙って大量生産と宣伝を行うのが主体の資本主義の経済世界と比較したら、カタカムナのサトリにおけるアキナヒ(商)とは、たいへんささやかなものとして捉えられそうですが、カタカムナではモロアキドミチ本来のナリタチは、「消費」を先に考えたものであります。そして、現代人の発想の根源にある欲望とは異なり、彼らはアキナヒといえども、天然のナリに基づくことが大原則であると考えていたようです。
 何事においても、目先の利益や自分のみの利益を考えるのではなく、他のため、人の為を優先する精神が、この商人道にも貫かれています。このような考えを持ち、心からそのように振る舞うことを良しとする点において、上古代人の精神性は、実に崇高なものであったかという事が、ここにも見ることができるのです。


第97句 マギ ナガレ(需要供給の流れ)

カムナガラ
 アマネフタハシ ミチタリヌ
 アオアカヤコト マギナガレ
 モロアキドミチ ムカヒナリ


概要の意味
「カムナガラのサトリによれば、すべてのものに(アマネ)、正反の二つのハシ(端、極限)があるように、ミチ(充実した状態)とタリヌ(不足の状態)も二つのハシである。そのような正(アカ)反(アオ)のヤ(極限、すなわち二つのハシ)の間には、循環する(コト)希求(マギ)の流れ、すなわち、需要と供給の「マギナガレ」を生じる。そのことは、「正反対向発生の天然則の相似象(ムカヒ ナリ)」であり、諸々の商人(モロアキド)の知るべき道である。」

「相似象」第5号 344ページ

 この句に於いてわかることは、カタカムナ人達はアキナヒの成立の条件として、「不足ー充足のマギ(希求)の流れ」という「正反対向発生」の天然のルールに基づくものであることを洞察していた、ということです。

 このように、上古代においては、我々の認識をはるかに超え、我々の知性をも凌ぐような人々が存在していたことがわかるのです。しかも、後代人の商売は売り手の欲望が先行するものですが、カタカムナ人達は天然のナリに基いた上での商業活動をしていたことがわかるのです。
 取引される主要な対象物は、今と変わらぬ、衣食住に関するものでした。

 

第98句 トコロカヘ(交換)、シホドキ(時期)

カムナガラ
 オオチスクナチ トコロカヘ
 ナガレシホドキ ハカリカヘ
 モロアキドミチ ムカヒナリ


概要の意味
「カムナガラのサトリによれば、アキナヒ(商)は、物の多い所(オオチ)と少ない所(スクナチ)とのトコロカヘ(交換)であり、マギ(希求)の流れのシホドキ(汐時、すなわち時期)を計って(ハカリ)カヘ(交換する)ことである。それは、天然の「正反対向発生」のナリ(本来のスガタ)であり、諸々の商人(モロアキド)の知るべき道である。」

「相似象」第5号 345ページ

 これは、アキナヒ(商)の成り立ちの、場所、時、そのハカリ(計測)カヘ(交換)という需要条件のサトリを示したものであり、今日でも通用する、諸々のアキドの知るべき道なのであります。


第99句 ハテヌ ハミシロ(際限のない食料の取引)

カムナガラ
 ハテヌハミシロ ヤカリモノ
 タガラタナモノ ウカリモノ
 モロアキドミチ ムカヒナリ


概要の意味
「カムナガラのサトリによれば、際限のない(終わりのない)食料のアキナヒ(ハテヌ ハミシロ)には、ヤカリモノ(野狩物、すなわち鳥や獣)があり、タガラモノ(穀物や果物)、ウカリモノ(海狩物、すなわち貝類、魚類、海藻類)がある。それは、天然の「正反対向発生」のナリ(本来のスガタ)であり、諸々の商人(アキド)の知るべき道である。」

「相似象」第5号 346ページ

 食物の需要供給が、商いの主要品目であり、これは、今でも変わりはありません。

 なお、楢崎氏によれば、以上とは別の歌詞の中に、次のようなものが出てくるという事が指摘されています。
  イクヒモノ   生喰物(生で食べるもの)
  ヒクラヒモノ  乾咋物(干しておくもの)
として、
  ハト(羽鳥)
  イト(猪兎)
  セナ(瀬魚)
  マナ(真魚)
  カドミ(角実、すなわち穀物)
  タナミ(棚実、すなわち果実)
等。


第100句 クラシモノ(日常生活用日品)

カムナガラ
 ツクリツキシロ タラシモノ
 マワリテメグル ウツリモノ
 モロアキドミチ ムカヒナリ


概要の意味
「カムナガラのサトリによれば、日常生活の衣服や用具(クラシモノ)の製作材(ツクり)や、加工築造材料(ツキシロ)は、生産と消耗の循環(マワリテメグル)的変遷物(ウツリモノ)であり、アキナヒの対象である。それは、正反対向発生の天然則(ムカヒ ナリ)であり、諸々の商人の知るべき道(モロアキドミチ)である。」

「相似象」第5号 347ページ

 <ツキ>とは、もともとは、木で物を作るという思念であって、ここでは生活用具の加工築工の品物です。また、家をつくるのもツキと言います。


第101句 ハヤリウツリミ(流行現象と商)

カムナガラ
 ハヤリウツリミ アラクモノ
 カクレカギリミ ウツロモノ
 モロアキドミチ ムカヒナリ


概要の意味
「カムナガラのサトリによれば、ハヤリ(流行)ウツリミ(変遷)の新製品(アラカモノ)は、やがて姿を消す(カクレ)限界のあるもの(カギリミ)であり。空虚な物(ウツロ モノ)である。それは、正反対向発生の天然則の相似象(ムカヒ ナリ)であり、諸々の商人の知るべき道(モロアキドミチ)である。」

「相似象」第5号 348ページ

 この句によって、上古代の社会にも、好みや流行現象があった事がわかります。このような流行に乗じて儲けのみを追うことについては、商人としては軽率であり、慎重になって消費者の立場を弁え、商人道に徹するように戒めた句であると思われます。


第102句 ツネソナヘ(商品の充実)

カムナガラ
 タタヘタシカメ クダレノケ
 コノミサワヨセ ツネソナヘ
 モロアキドミチ ムカヒナリ


概要の意味
「カムナガラのサトリによれば、アキナヒの品(商品)は、その耐久性(タタヘ)を確かめ、品イタみの物を除き(クダレ ノケ)、客の好みに合ったものを、多量に寄せ集め(サワヨセ)、常時備えておく必要がある(ツネソナヘ)。それは、正反対向発生の天然則の相似象(ムカヒ ナリ)であり、諸々の商人の知るべき道(モロアキドミチ)である。」

「相似象」第5号 349ページ

 この句は、いつの時代にも共通な、アキド(商人)の心構えを教えるものです。


第103句 アタヒサヅカリ(交換経済)

カムナガラ
 ヒトヨヤホロツ トモササエ
 アタヒサヅカリ タヨリサチ
 モロアキドミチ ムカヒナリ


概要の意味
「カムナガラのサトリによれば、ヒトヨ(人間社会)は、ヤホロツ(八百万、すなわちあらゆるもの)のトモササエによって成り立つものである。アキナヒのアタヒ(代価、すなわち儲けを含む価)はサヅカリ(他から与えられたもの)であり、他からのタヨリ(信頼、信用)に基くサチ(幸)である。それは、天然の正反対向発生のサトリであり、諸々の商人の心得べき道(モロアキドミチ)である。」

「相似象」第5号 350ページ

 この句は、今も昔も変わらぬ、アキド(商人)にとっては信用が第一という戒めを伝えているものです。また、商品の値は、勝手に決めるべきではなく、サヅカリ(授り)として、良心的であるべきことを説いています。


第104句 マギ ツカヘ(商人道の心得)

カムナガラ
 タヨリツチカヒ マギツカヘ
 ムツミイヤマヒ ヤヘツカヘ
 モロアキドミチ ムカヒナリ


概要の意味
「カムナガラのサトリによれば、商人の信頼や信用(タヨリ)を培うためには、需要者(買ってくれる人々)と、供給者(野狩物や海狩物を持ってきてくれる人々)との両方の要求(マギ)に奉仕する(ツカヘ)気持ちが大切であり、親和し(ムツミ)尊敬する心(イヤマヒ)を忘れず、幾重にも奉仕する態度態度(ヤヘ ツカヘ)が重要である。それは、天然の正反対向発生のナリ(本性)の相似象として、諸々の商人の守るべき道(モロアキドミチ)である。」

「相似象」第5号 350ページ

 この句は、商人道(アキドミチ)として、人々と睦み、人々を尊敬する心構えを示すとともに、人々に幾重にも奉仕する(ヤヘ ツカヘ)ことによって、社会のマギナガレ(需要供給の流れ)を示すことにあるという、アキドミチの重要性を指摘したものです。これは、現代の儲け優先の商人道に比べて、非常に崇高な「消費者」の希求に対して奉仕することを優先する立場を貫くという、精神性の高いものであります。




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