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自分で自分の機嫌を取るということ


朝、会社に出社すると、
『いいよ、全部、(私の名前)にやらせるから』と、直属の上司が、グループ内に話している。


グループ内には6年目の女の子(28歳)(仮にA子としよう)がいる。
A子は今年度からか、業務時間中、トイレや更衣室にこもっているそうだ。たしかに携帯やなんかをしながら、時間を潰しているのをよく見かける。
締め切りの仕事を守れず2ヶ月はその仕事に取り組んでいる。先日A子の仕事のフォローで書類を作ったばかりだ。


わたしはというと、
長期的スケジュールと短期的スケジュールを組んだら淡々とやる。日々、業務時間内に終わらせるよう、黙々と取り組んでいる。
たぶん、それが、周囲からは暇そうに見えるのだ。余力があるように見えるのだ。



余力ではない
総量に対して、作業効率をあげているだけだ。


暇そうに見えれば、
業務に対して真摯に取り組んでないように、見える。
超勤をしていれば、
忙しく頑張っているように見える。

トイレにこもって、携帯しながら、ネイルを磨いていてもだ。



しかし、A子に対しては特に何も思わない。
わたしも6年目くらいに、仕事にいちど嫌気が差したことがある。
(まあ、一度でなんてものはないが)
誰だって、とおる道だ。
そこで転職するか、食らいつくかの違いだ。


わたしは、若手の頃に体調を崩して異動させてもらったことがある。だから、今のA子の状況がなんとなく分からなくもない。
A子は体調崩して、仕事に向き合えないのか、ただサボっているかは不明だが。
ただ、わたしの場合は状況を伝え、後任を用意してもらうくらいの段取りはして、耐えに耐えた。


そう、今回だって、
仕事を代わりにわたしがすれば済むことだ。
わたしが……
そう、わたしが……



上司の、差配の変更も頭では分かる。

仕事の終わらない26歳の女は
リンゴ🍎3つぶんの仕事を、
6日かけてやります。
34歳の女ならば、
リンゴ🍎3つぶんの仕事を、
3日で終わらせるでしょう。

簡単な問題だ。


得られる報酬は6日だろうが、3日だろうが、変わらない……むしろ、3日の方が安い。

わたしは雇われOLであって、
経営者でも管理職でもない。





『悪いけど、やって』って指示がきた。
『悪いけど』って免罪符みたいに使わないで。

プロジェクトへのアサイン方式や、
ジョブ型への業務体系の見直し(笑)
もはや、笑うしかない。
言い直そう、『デキる奴へのしわ寄せ方式』

その方式に組織転換したと会社はいう(笑)(笑)
とはいえ、
旧態依然のこの会社では、チーム力や組織力を発揮できる、有能な管理者やリーダーはごくわずかだ。

それでも、対価も変更してくれたら納得できるのに。



わたしは、抑揚のない声で『分かりました。』と言うだけだ。
『君がもっと前から、業務分担見直してたら、こんな締め切り間際の尻拭い的なことにならないのに』と、口には出すまい。



代わりに、
違う事柄で話しかけてきた同僚に、笑顔でアドバイスする。
向こうも珍しく、わたしに微笑みかえす。

代わりに、
グループ外の後輩に、雑談を持ちかける。
向こうも、『どうしたんですか?』
なんて言って、話してくれる。


涙がでる。


自分で自分の機嫌を取る。
人間が嫌になったら、
人間の返してくれる反応でしか、
わたしの心は落ち着かない。

わたしがいくら悲しくなっても、
不機嫌になっても、
誰かが慰めてくれる訳でもない。

わたしが自分で、
気持ちが温かになることを作り出さないと。
なんて、寂しい作業なんだろう。


それでも、笑顔で笑います。
たぶん、わたしは相手の鏡だから。
相手に写るのはわたしの顔。



それだけを頭に叩き込んで、
名前を呼ばれたら、元気に返事します。


SNSにどれだけ、叩き込んでも、
画面の向こうの、
リアルなわたしは平然としています。



それが、自分で自分の機嫌を取るということ。


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