「やさしい人ほど使いがち」…不親切な話の切り出し方3つ 【インドア目線】
noteに「遺言」シリーズを書いていて、シリーズの中に収めきれなかったことを、番外編で単発で書いてみます。
※noteの初投稿および「遺言」シリーズはこちらから
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初対面の人と話す時、
初対面じゃなくても、その人と親しくなりたい時、
グループの中で、口数の少ない人に話を振ってみたい時…
相手のことや相手の考えを知りたいから、なにか話題を振ってみます。
…ところが、聞いた相手は、言葉に困ってしまいました。
相手が、口下手だからなのかもしれません(僕もそういうタイプです)。
しかし、僕は鳥取の人との出会いがきっかけで、人に話しかける訓練をしたり、
価値観の様々な人と学内サークルの運営をしていったり、地域の参加型トークイベントに携わっていくうちに、
話を切り出す側にも、
「いい切り出し方」と「悪い切り出し方」があることに、ジワジワと気づくことができました。
これを書いている僕自身も、話を切り出すことにおいて、これまで数えきれない失敗をしてきました。なんならこれを書く数日前にもその失敗をしています。
悩み事を聞いてあげたい!話を聞きたい!
その「やさしさ」や「好奇心」ゆえに、それがどうにも裏返り、
「不親切な」話の切り出し方をしている人を何人も見てきました(以前は僕もそれに気づきませんでした)。
今回は、やさしい人が話を切り出す時に陥りがちな「病名」を勝手に、3つまとめてみたいと思います。
話し上手になりたい。聞き上手になりたい。
かつて心理カウンセラーになりたかったインドア人間の僕がここまで気づくには、場数と反省が必要でした。
なので記事の中でもなるべく実例や改善策を挙げながら、ゆっくり紹介したいと思います。
こんな時に役立つ(はず)
・初対面の人とスムーズに話せるようになりたい
・まだ信頼関係ができていない同僚、後輩、新人の話を聞いてみたい、不安や悩みを解決したい
・グループの話し合いの中で、いろんな人の発言を促したい
・話下手な人が相手でも、意見を聞いたりコミュニケーションを取れるようになりたい
・ヒアリングなどで、相手のリアルな声を聞きたい
●1.なになに病
「何か困ってることない?」「何か聞きたいことはありますか?」
◯補足:オープンクエスチョンとクローズドクエスチョン
●2.どうどう病
「どう思う?」「◯◯はどうだった?」
●3.なぜなぜ病
「なぜそう思ったの?」
1.『なになに病』
時には話し合いの進行役。
時には後輩の面倒を見るとき。
時には聞き込み調査…
皆が・相手が思ってること、かすかな悩み事、ちょっとした要望…
聞きたい!解決してあげたい!と意気揚々です。
その「やさしさ」は尊敬します。しかし、こんな聞き方はかえって「不親切」になることがあります。
大学時代のサークルの勧誘シーズンにおける、新入生とのエピソードを例に挙げたいと思います
(上級生A、B、新入生Cが同じ場にいる。Cは二人とは初対面である)
上級生A「今日は◯◯部の見学に来てくれてありがとう!」
新入生C「こちらこそ、ありがとうございました!」
A「そうだ、何か新生活で困ってることない?」
C「え…?えっと…」
(その後沈黙…)
上級生B「そういえば、怪しい勧誘は来なかった?」
C「あ!そういえばこの間…」
…さて、AとBの話の「切り出し方」の違い、わかりましたでしょうか?
Aさんは、新入生が困っている事に答えたい、
「やさしい」先輩です。
なんでも答えるよ!どっからでも来い!
そういう広い心で、こう新入生に聞きました
「何か困ってることない?」
…だがしかし、なんとでも答えられるということは、
答え方がいろいろあるということです。
相手が、すぐに答えられる(もしくは答えが何もない)ものを持ってる場合はともかくとして、
答え方がいろいろある状態だと、すぐに頭には浮かんでこない人もいます。
浮かんだとしても、後になって浮かんだ、という場合もあるでしょう。
答え方が何通りもある、「何かない/ある?」という質問は、
何通りもあるがゆえに、
かえって「不親切」な切り出し方になることがあります。
対してBさん、新入生Cに起こりやすいトラブルの1つに絞って、こう聞きました。
「怪しい勧誘は来なかった?」
これに対して、答える側にある選択肢は
「来た」「来ていない」の2択だけです。
Cはすぐに答える(答えを絞る)ことができ、初対面の彼らに話してくれました。
◯補足:
「オープンクエスチョン」と、「クローズドクエスチョン」
Aが聞いたような、答え方が何通りもある質問は、
「オープンクエスチョン(open question)」といいます。
英語でいう「5W1H」がオープンクエスチョンだという見方もありますが、
僕が思うに、この中の
What(何)
How(どうやって)
Why(なぜ)
は、特に自由度の高い「強敵」で、
まだ相手との信頼関係ができていない段階でこれらをいきなり繰り出すのは、「不親切」な切り出し方になります。
無論、これらを会話で絶対使ってはダメだとはいいません。
相手の意見を聞いたり、相手と深い話をする場合には、オープンクエスチョンは非常に役立ちます。
ただ、信頼関係のできていない状態でいきなりオープンクエスチョンを切り出すのが、「不親切」なだけなのです。
対して、Bが聞いたような、答え方が限られている質問は、
「クローズドクエスチョン(closed question)」といいます。
英語でいう「Yes/No」の2択で答えられる質問や、
先述の「5W1H」の中でも
When(いつ)
Where(どこ)
Who(誰)
この3つは、比較的答えが決まっている質問になります。
とある人気政治家は、選挙戦で握手をして回るとき、
有権者とのコミュニケーションとして
「今日はどちら(Where)からいらしたのですか?」と聞くそうです。
なぜか。
「どこからも来ていない人はいないから」。
言い換えれば、
「答え方は限られているから」。
ここでも、クローズドクエスチョンを活用していることがわかります。
また、
What(何)はオープンクエスチョンだといいましたが、
答が決まっている項目をセットにして使うことで、クローズドクエスチョンのように使うこともできます。
例:
「お仕事は何をしていますか?」 (What+お仕事)
「学生時代は何を専攻していましたか?」 (What+専攻)
「何の部活動をしていましたか?」 (What+部活動)
また、
クローズドクエスチョンの後にオープンクエスチョンを使っていくことで、会話を比較的スムーズ広げることができます
例:
A「もうすぐ冬ですね…僕は『冬限定』商品を見ると、買いたなるんですけど、『季節限定』って気になります?」
・(Yes/ No)クローズドクエスチョン
B「あー私も、『季節限定』のお菓子には弱いですね、つい手を出しちゃいます」
A「そうなんですね。最近だとどんなお菓子がありましたか?…」
・(What+お菓子)クローズドクエスチョン
B「チョコをコーティングした、スナックがあって…」
A「へえ~!食べたことないなぁ…どうでした?」
・(How)オープンクエスチョン
×NG例:
A「もうすぐ冬ですねー。何かやってみたいことあります?」
・(What)オープンクエスチョン
B「あー…(ちょっと考えて)鍋ですかねー」
※冬の予定などを聞く質問です。こういう場合には例えば、
「何か食べたいものあります?」
・(What+食べたいもの)クローズドクエスチョン
「Bさんはスキーに行ったことはあります?」
・(Yes/No)クローズドクエスチョン
のようにして、工夫次第で「親切に」切り出すことができます。
2.『どうどう病』
ドラマ・映画の感想、旅行したときのこと、
あるいは世間話…
自分の知らない世界を知ってる人の貴重な体験談から、日常で思っていることまで、つい聞きたくなります。
「最近よくテレビに出てる△△、どう思う?」
「台湾行ってきたんだってね!どうだった?」
確かに、思ってること、ぶっちゃけ話を聞くのには、ちょうどいい質問ですし、僕も誰かの意見を聞くときに、「どう」をよく使います。
ただ、好奇心が強いあまり、いきなりどうだったと聞かれるのも、なかなかヘビーです。
どう(How)は先ほども書いたように、「オープンクエスチョン」です。
ここでちょっと、クローズドクエスチョンに換えてみましょう。
例:
A「タレントの△△、最近よく見かけない?」
・(Yes / No)クローズドクエスチョン この聞き方は、自分の話に同調してもらう時にも使えます。
B「そうだね~最近になってよく見るようになったよね」
A「そうなんだ!知らなかった…前はどんなかんじだったの?」
・(How)オープンクエスチョン
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A「台湾行ってきたんだよね、暑くなかった?」
・(Yes /No)クローズドクエスチョン
B「いや、行ってみたら、案外過ごしやすかったよ」
A「へえー。台湾料理とか、どうだった?」
・(How)オープンクエスチョン
※「台湾料理」という項目がセットになっているので、オープンクエスチョンの中でも答え方を絞った聞き方をしています。
繰り返しますが、会話の中で「どう」を使ってはいけないわけではありません。
信頼関係ができる前、雰囲気が良くないときなどに、いきなり「どう」を切り出すのは、「不親切」になるときがあります。
3.なぜなぜ病
「なぜ、どうして」
これらは、英語の「Why」
先述の通り、オープンクエスチョンです。
面接をするのならともかくとして、雑談程度のことで、いきなり「なぜ」「どうして」と突っ込んで聞いてしまうのは、聞かれた側からすれば困ってしまいます。
当の聞く側は、「相手のことが知りたい」。ただそれだけなのですが…。
他ならぬ僕も、大学入学して間もない、勧誘シーズンの時に、いきなり「なぜ」を聞かれましたし、
上級生になった時に後輩に対していきなり
「なんで○○部に入ろうと思ったの?」と聞いてしまったこともあります(笑)
(自戒を込めて)こういう言い方に直すことができると思います。
例1:
「○○部のことは、何を見て知ったのですか?」
・チラシ、ネット、知り合いからの紹介等、答え方の限られているクローズドクエスチョンです。
例2:
「今日のこのイベント、参加者に知り合いがおられるんですか?」
・(Yes/ No)クローズドクエスチョン
しつこく言いますが、「なぜ・どうして」を使ってはダメだというわけではありません。
緊張がほぐれて来た時や、核心に迫りたい時に、 「なぜ・どうして」を使うことで、話を膨らませることができたり、
相手のバックグラウンドをより知ることができます。
ただ、
いきなり「なぜ・どうして」と聞くのが癖になってしまうと、「この人はなんでも根掘り葉掘り聞く人だ」と思われてしまいます。
今回は「話の切り出し方」に関して、3つの「病名」を挙げてみました。
これらに当てはまってしまう人は僕の経験上「やさしい人」が多いです。
もし、自分にも当てはまる!と思った方、
まずはクローズドクエスチョンを使って、
答え方に限りがある「親切な」切り出し方をはじめてみてはいかがでしょうか!
なかには、無意識的にこの「親切な」切り出し方をできる人もいます。
口下手な学生が相手でも、スムーズに言葉を引き出すことのできる「親切な」人を、僕もこの目で見てきました。
僕にとってはそういった人が羨ましいです…
もしかしたら、彼らも訓練や場数を通じて、それを身に付けてきたのかもしれませんが…。
終
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