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下田最前線㉕いざ、出陣!

 今度の日曜日から、下田でも市議会議員選挙が始まる。
 4年前、僕は一人だけ落選し、苦汁を飲んだ。政策は、「下田を世界のリゾートに」。しかしこの政策が、浸透することもなく、同級生やら親戚やらの壁を前にして、人々と強い関係性を持たなかった僕は、敗れたのである。
 すると、落選の報が届くや、支援者の一人井田さんが、こういって、一枚の紙を僕の目の前のテーブルに置いた。
「そんなに下田のために働きたいなら、NPO法人を立ち上げるから一緒にやってみないか」
 僕はうつろなまま契約書にサインして、NPO法人伊豆in賀茂6の理事に就任し(現在は理事長)、秋から本格的に下田市と協働で、空き家バンク、移住促進事業に勤しむことになったのである。
 下田市内をくまなく回り、空き家の相談に乗る。するといろいろみなさんから話を伺う。若い人がいなくて、もう年寄りばっかだよ、草刈りが大変で、二人で生活保護で10万円ちょっとだよ……。時にはうめきにも似た声も聞く。
 一体どれくらいの人の話に耳を傾けてきただろうか。年配者が多いが、子育て世代も少なくはない。
 僕はNPO活動をする中で、実は人と人とを結びつける装置がこの町にないことに、だんだんと気づき始めた。いつしか僕が、みなさんの接着剤というか、ミツバチのように、人と人を受粉させるような役目を担うようになっていたのだ。
 この地域では、長いこと地方政治の役割が見失われている。議員たちは、議会で賛成反対ばかりをやって、何も前に進む気配が見えない。停滞と人口減、過疎化に押しつぶされそうである。
 ところが、空き家バンク、移住政策という制度を作ってみると、地元の人だけでなく、インターネットで世界とつながったことで、首都圏はもちろん、海外の人まで、コンタクトを取ってくるようになっている。
 にわかに僕の周辺で、この町が動き出し、停滞から前進へと活性が始まったのである。
 前の選挙から4年経っても、僕の「下田を世界のリゾートに」は変わらない。反対に、共感する人が、日本人、外国人を問わず流入してきている。
 さらに、大きなテーマも見つかった。人口減対策である。つい最近下田は、人口2万人を切ったばかりだ。往時は3万人以上人が暮らした。
 今や人は、自分の好きなところで暮らせる時代になっている。だったら、この下田、伊豆に暮らしたい人を連れてくる。そうすれば、次世代人口が増加し、ふんづまって硬直し、動かなかったこの町が、新しく来た人たちの意欲や希望、夢が原動力となり、変わるはずである。
 僕ができるのは、意欲的な人たちに、環境を整えてあげることだ。
 「人を集めて、希望をつくる!」
 これが今回のメインテーマとなった。
 僕は政策で、この町をいい方向に変えるのである。同級生も親戚もいないが、別の形で深い関わりを持つ人が断然増えている。
 12月から、さらに1,500軒のお宅を回った(写真は山間部を回っているとき)。 
 「いざ、出陣!」である。





 

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