ボードレールについて

ボードレールといえば、ポオをフランスに紹介し、象徴派の詩人にも多大な影響を与えた人物で、私は特にリルケの『マルテの手記』にも引用されている『巴里の憂鬱』の中の一節が気に入っています。

僕の愛した人々のたましいよ、僕の讃美した人々のたましいよ。僕のこころを強くせよ。僕を支えてくれ。この世の虚偽と腐敗した悪気を僕からとおざけよ。そして、爾、主なる神よ、ねがわくは聖寵をさずけたもうて、佳き数行の詩を僕の手に成らしめたまえ。せめて僕が人間最末の者でなく、僕の侮蔑する人々よりもさらに劣れる者でないことを、僕自身にあかしする態の数行の佳き詩を書かしめたまえ。

芥川龍之介の『或阿呆の一生』に「人生は一行のボオドレエルにも若かない」と書かれていることは有名ですが、人生でたった数行でも優れた詩を残すことができれば、それは価値のあることなのかもしれないなと思ったり。

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