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歯科にもお薬手帳をご提示ください

 今週は歯科でもお薬手帳提示のお願いです。歯科医院で治療を受けられている方の中にも医科でお薬を処方されている方も少なからずいらっしゃるかと思います。そういった方の中には歯科は口、医科は体といった感じで歯科と医科は関係ないと思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 しかし、高血圧症、糖尿病、心臓病、骨粗しょう症、気管支喘息、甲状腺疾患などの持病をお持ちの方やステロイドや抗がん剤を服用されている方、胃腸の治療を受けている方などは注意が必要になります。現在の体の状態と内服や注射の薬がどのような物か教えていただくことは歯科医師、歯科衛生士など歯科医院と患者様の双方にとても重要なことです。
 ただ、飲まれている薬が複数ある、薬の名前が難しくて分からないなどとても覚えていられないということもあると思います。それを防ぐのに便利なのが「お薬手帳」。歯科と医科だけでなく、医科と医科での薬の確認などもでき、飲み合わせの悪い薬の処方も防ぐことができます。
 歯科治療中は緊張もあり誰でも血圧が上がりますが、高血圧で血圧を下げる薬を飲まれているのに自己判断で飲むのを止めると治療中に血圧が急上昇して危険なことがあります。
 歯石の除去などの歯周病治療や抜歯の際、血液サラサラの薬を飲まれている方は血が止まらなくなることがあるので必ず教えてください。
 心臓や血管の手術をされた方や糖尿病の方、ステロイドをお使いの方、抗がん剤治療を受けている方は、事前に抗菌薬を飲んでいただくこともあります。
 さらに、骨粗しょう症の薬をお飲みだったり、注射をうたれたりされている方、特に半年に1回の注射をすればよい方はお薬手帳にも記載されないので口頭でも絶対に教えてください。非常に低い確率ですが、骨粗しょう症の薬を用いられている方は抜歯などの傷をきっかけに顎の骨が壊死しやすくなるという報告もあります。
 治療中だけでなく、治療の前後にも持病の薬は関係します。むし歯治療で歯を削る時や抜歯になってしまった時は局所麻酔を使うことが多くあります。麻酔薬には様々な成分が含まれていて、その成分にアレルギーがあるかもしれませんのでアレルギー体質の方も是非教えてください。ちなみに、鼻炎や花粉症もアレルギーの一種です。
 糖尿病の方は治療の前後に食事を抜いたり薬を止めたりすると逆に血糖値が不安定になって意識を失うなど危険なこともあります。飲み薬は飲まれていなくてもインスリン注射をうたれている方も教えてください。
 甲状腺の薬を飲まれている方は麻酔薬の成分で脈が速くなりやすいので教えてください。
 むし歯治療後には痛み止めを飲むことが多いですが、気管支喘息の方はこれまでにどのような痛み止めを飲んでいたか教えてください。
 胃腸の調子が悪い方には処方できない薬もあります。
 歯科医師は、医科から処方されている薬の記録や所見から患者様の状態を把握して、歯科治療と医科治療の両方に影響の出ない最善の歯科治療を提供するように配慮しています。歯科と医科の連携は安心安全な治療を提供するために絶対に必要なことですので、歯科にも必ずお薬手帳と保険証、マイナンバーカードをご持参ください。

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