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仕切り直し樗堂一茶両吟/藪越やの巻

     二十

名産の海苔のあつもの盛並べ     一茶
 葎がくれの雅なる雪隠       樗堂

名オ二句、句は寛政版厠譜、ここにもトイレの神様がいましたね。

     〇

葎 むぐら

かくれの そそとある佇まい

雅なる みやび(鄙には稀な)

雪隠 トイレ

     〇

めいさんの のりのあつものもりならべ

 むぐらがくれの
 がなるせっちん

付け筋は川柳の「猫舌と長雪隠は旅のきず」あたりでしょうね。羹を流し込み、さっと用を足す「早飯早糞芸のうち」とか。

     〇

上から下まで、とかく手回しがいいのが歌仙の特徴です。ここは名残裏二句目、みやびの雅をガと読ませ「がなる」としたところが樗堂の工夫だったのです。

俳諧には、

萩かれて雪隠見ゆる寒さかな     也有
かつしかや雪隠の中も春のてふ    一茶

句には、

雪隠の窓にかゝりし一葉哉      寅彦
帰り花雪隠ひそとありにけり     義子

などが。

     〇

ちなみに「トイレの神様」は沖永良部島の民潭、植村花菜の楽曲でした。

6.9.2023.Masafumi.

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