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歌ヲ聞キ乍樗堂一茶両吟/降雪やの巻

En écoutant la chanson......
     05

 春めく風呂の月しづか也
一里の田畠あらまし打じまひ         一茶

初オ五句、一里で「ひとさと」と読ませていました。

     〇

一里の ひとさと・の。この邑の、この谷々のと、充足しきった<小宇宙>とでも。

田畠 た・はた。耕作地のこと。(江戸時代の課税地で、税率はとても高かったのです)

あらまし 副詞の「あらまし」、おおかた、おおよそ。

打じまひ うち・じまひ、打ち終ひ。春の田おこし、畠おこしが、あらかた終わった安堵感を表していました。

     〇

   はるめく ふろの
   つきしづか なり

ひとさとのたはた あらましうちじまひ

「しづか也」に「打じまひ」と、安堵・充実感を句にして月の空き家を埋めていました。「一里の」措辞がよくきいた春の句でしたね。

     〇

一茶に

田を打って弥々空の浅黄かな

「七番日記」

近代の句に

谷底に田打てる見えて一人なり      亜浪
水流れきて流れゆく田打かな      不器男
春田打つ鶴女房の村はづれ        朗人
母の忌や田を深く鋤き帰り来し      清子

春耕の老の休める鍬に寄り        五申

など。

27.10.2023.Masafumi.

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