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歌ヲ聞キ乍樗堂一茶両吟/降雪にの巻

En écoutant la chanson......
     02

降雪に草履で旅宿出たりけり
 身はならはしぞ松かぜの冬      樗堂

脇、発句に添えた同季名詞留めの挨拶。

     〇

身は み・は、わが身。己は。(あなたも、わたしも。)

ならはしぞ 習わし・ぞ、習慣。習い性は第二の天性とも。「ぞ」は、前の語・句を特に強調する係助詞。

松かぜの まつ風・の、景としての松風、音としての松風ともども。「の」は、連体格を示す格助詞。

冬 ふゆ、季語。脇の句は、名詞留めが定石でした。

     〇

        りょしゅく
ふるゆきに         でたりけり
      ざうりで

 みは ならはしぞ まつかぜの ふゆ

「降雪」に「冬」を付け、主客双方に<身はならはし>の詞を係らせながら、「ささ、松風をおきかせいたしましょう」と、炉端で茶の接待をしていたのです。

     〇

俳諧に

松風や炉に富士をやく西屋形        其角

また、おおげさに。

句に

炉を焚けぱ旅愁ともなし茶をすゝる     故郷
炉火楽し手かざし言葉なきときも      蓼汀
炉話は弥太郎のこと仙六のこと       蕪城

などが。

27.10.2023.Masaumi.

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