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投影してしまった 2024年4月7日

本を読みました。
ずっと読もう読もうと思って後回しにしてたけど、ようやく恩田陸氏の「夜のピクニック」を読みました。


僕は本当に00年代の青春が大好物で、デジタルに汚染されすぎていない、かと言って古めかしくもない、若者の苦悩と心の機微が本当に美しく見える。
ちょうど僕が生まれた年に刊行され、翌年に本屋大賞に輝いた作品。
話としては、高校生が歩行祭という学校行事に参加して、ただひたすらに歩き続ける話。
この作品で最高なのが、男の子の主人公である西脇融が、自分の周りを取り巻く友人たちへ向けた感情が「愛」以外の言葉では表現出来ないことに気づく場面。
男子高校生で!?
その境地に辿り着く!?
実際、出てくるキャラクターで悪いやつはほぼいない。融は家庭環境に思い悩み、貴子に対する嫌悪感や、嫌悪感を覚える自分に対する嫌悪感、それを独りで抱えてしまう。
融は案外不器用な男で周りから何か一物抱えているのだと察知されて、あれこれ探りを入れられる訳だが、何とも高校生らしいお節介焼きだ。
あんまりネタバレみたいなことしたくないけど、融の親友の忍ってやつが良いキャラなのよ。
飄々としながらも人の視線や気持ちに敏感で、優しい男なのだが、融のことを思って、貴子のことを思って起こすムーブが微妙にズレてしまう。
でも読んでて「おいいいい!何してんだよ忍!!」とはならない。忍の懐の深さよ。

本当にぜひ読んで欲しい。

僕が高校生の時はマラソン大会がコロナで3年連続中止になったんだよなぁ。
体力がない僕は、当時ウルトラ喜んでいたけども、あったらあったで思い出に残っていたのだろうか。
うーむ。でも走りたくないなぁ。
百人一首大会とかにしてくれねぇかな。
百人一首大会で起こる青春群像劇ってなんだよ。


読み手が「む」と口にした瞬間、脳が伝達するよりも先に、身体が動いていた。糸で引かれたかのように手の先が最短距離で「きりたちのぼる あきのゆふぐれ」の札へと向かう。
もらった、と思ったのも束の間、僕の手と札の間隙を衝いて、横一文字に絹のように白い手のひらが滑り込んできた。
そして、手と手が重なり合い、僕らの胸に音楽が流れる。
𝑳𝒐𝒗𝒆 𝒔𝒐 𝒔𝒘𝒆𝒆𝒕


ってこと?
そりゃ百人一首なんだから手と手が重なるやろ。
かるたエアプか???
くそっ僕が青春エアプなばかりに……

でも実際、青春甘酸っぱラブコメを書いてる作家や漫画家の何割かはエアプだろうな。
自分が体験したかった(出来なかった)ラブストーリーを主人公に託して、読者もとい筆者が自分自身を投影するオナニー作品。
最近のラノベのタイトル見てたらそんなんばっかりですもんね。具体的には言わんけど。
別に否定するつもりは無いです。創作活動の九割九分は自慰行為である事に変わりはありませんし。

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